ゼロコロナ緩和の恩恵銘柄、製品出荷先の多様性に強み

現地コード 銘柄名
01882

海天国際

(ハイティエン・インターナショナル)

株価 情報種類

20.10HKD
(12/1現在)

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 BOCIは中国のゼロコロナ政策の緩和による工業セクターの主要恩恵銘柄として、射出成形機メーカー大手の海天国際を挙げている。同社の新規受注は前年同期実績の低さもあり、9月から回復傾向にあるが、コロナ関連規制の緩和がこの先さらに広がれば、2023年の新規受注は一段と上向く見込み。同社の強みは景気循環株である他の機械銘柄と比べた川下需要の多様性。BOCIは同社をゼロコロナ緩和テーマの推奨銘柄とし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社の新規受注は9月以降、前年同月比で10%台前半の伸びを示している。中国では広東省広州市、深セン市がコロナ対策の緩和方針をいち早く発表したが、BOCIはまずはこうした都市で、産業サプライチェーンが急速に回復するとの見方。さらに、国内経済の復調が不動産セクターの活性化を後押し、不動産バリューチェーンの需要回復が産業部門の追い風になると予想。同社の新規受注の回復ペースが2023年には加速するとみている。

 建設機械メーカーなど、インフラ投資と不動産投資への依存度が高い他の工業銘柄とは異なり、同社製品の販売先は多様性が高い。売上構成比を見ると、全体の20-30%が自動車業界で、他に家電、一般産業、一般家庭用プラスチック製品向けがそれぞれ約20%ずつ。不動産セクターだけでなく、消費の回復や、自動車市況の復調、家庭用品の需要回復がすべて、同社にとってはプラスとなる。

 同社はまた、負債、金融費用、手元現金といった財務指標においても競合他社より良好。金融費用を極めて低水準に抑えているために、負債比率(ギアリングレシオ)は長期にわたってマイナス圏にあり、手元現金も同業他社に比べて明らかに高水準にある。一部企業は米利上げにより打撃を受けているが、この点でも同社には影響がない。配当性向は約40%で安定的に推移している(21年の年間配当は1株当たり0.95HKドル)。

 BOCIは同社の現在株価が2022年予想PER(株価収益率)でわずか9.1倍の水準にあると指摘。工業分野の推奨銘柄であるとし、目標株価を据え置いた上で、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在的な変動要因としては、ゼロコロナ政策の緩和の流れが続くかどうか、より多くの都市に緩和が広がるかどうか――との点を挙げている。