アナリスト評価◎の割安高配当株TOP15

※データは2022年11月30日時点。
※配当利回りは予想、単位は%。時価総額の単位は億円。月間騰落率の単位は%。移動平均線乖離率の単位は%、基準は13週移動平均線。

※コンセンサスレーティング…アナリストによる5段階投資判断(5:強気、4:やや強気、3:中立、2:やや弱気、1:弱気)の平均スコア。数字が大きいほどアナリストの評価が高い。

※移動平均線乖離(かいり)率…株価が移動平均線(一定期間の終値の平均値を結んだグラフ)からどれだけ離れているかを表した指標。この数値がマイナスならば、移動平均線よりも現在の株価が安いということになる。

 上表は、長期投資に適した銘柄の高配当利回りランキングと位置付けられます。11月30日時点での高配当利回り銘柄において、一定の規模(時価総額1,000億円以上)、ファンダメンタルズ(コンセンサスレーティング3.5以上)、テクニカル(13週移動平均線からの乖離率20%以下)などを楽天証券の「スーパースクリーナー」を使ってスクリーニングしたものとなっています。

 配当利回りはアナリストコンセンサスを用いています。

11月日経平均は2.8%上昇、米物価上昇減速が追い風

 11月(11月4日終値から11月30日終値まで)の日経平均株価(225種)は2.8%上昇の2万7,968円となりました。

 米国の金融引き締めペース減速を意識する流れが強まり、緩やかな上昇トレンドを描きました。24日には一時、9月13日以来の2万8,500円台を回復しています。

 米国では10月のCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)とも想定以上に上昇率が減速したことを受けて、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が12月13、14日に開くFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ幅縮小が期待される状況となっています。

 11月8日に投開票が行われた米国の中間選挙では、与党・民主党が想定以上に健闘しましたが、市場への影響は限られました。

 11月後半にかけては、中国での新型コロナウイルス感染再拡大で、感染の封じ込めを図る「ゼロコロナ政策」強化への懸念が強まり、やや相場の重しとなっています。

配当増額や業績上方修正の銘柄がランクイン

 こうした中、ランキング上位銘柄の株価も総じて買いが優勢になりました。NIPPON EXPRESSホールディングス(9147)は2022年7-9月期業績が市場予想を大幅に上回り、通期予想を上方修正したことが好感されて10%を上回る上昇となりました。

 住友林業(1911)は米国住宅受注の減少を受けて決算発表直後は売り優勢となりましたが、その後は高配当利回りなどが下支えとなって、あく抜け感の強まる展開になりました。

 スマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」の好調で業績予想を大幅に上方修正したMIXI(2121)も買われました。西松建設(1820)は決算説明会で減配懸念が払しょくされたことが安心感につながったようです。

 一方、TOYO TIRE(5105)が大きく下落、7-9月期決算の下振れ着地、通期予想の下方修正が嫌気されました。

 今回、新規にランクインしたのは、長谷工コーポレーション(1808)大和工業(5444)、TOYO TIRE(5105)、MIXI(2121)の4銘柄で、除外されたのは、三井住友フィナンシャルグループ(8316)丸紅(8002)住友商事(8053)日本郵政(6178)となっています。

 長谷工はCLSA証券が投資判断を「アウトパフォーム」から「バイ」に引き上げ、コンセンサスレーティングが基準を満たしました。

 大和工業は上半期決算時に年間配当金を従来の200円から300円に引き上げています。MIXIは業績予想を大幅上方修正したことで、配当コンセンサスが切り上がったものとみられます。

 TOYO TIREは株価下落で利回りが上昇しました。半面、除外の4銘柄はそれぞれ株価が上昇したことで、配当利回りが低下することとなりました。

 丸紅や住友商事などの総合商社は、バークシャー・ハサウェイによる大手商社5社の株式買い増しが伝わったことを材料視する動きになりました。日本郵船は自社株買いなどへの期待が高まったようです。

 アナリストコンセンサスと会社計画で配当予想が大きく異なっているものとしては、大和工業(5444)やMIXI(2121)が挙げられます。

 大和工業はコンセンサス利回り5.27%に対して、会社計画では6.37%です。大幅な配当引き上げを発表していることもあって、コンセンサス利回りは会社計画並みにまで今後上昇する可能性があります。

 一方、MIXIはコンセンサス利回り4.95%に対して会社計画では4.46%です。会社側で、株主資本配当率5%を目安に年間配当金110円据え置きとしていることで、こちらは会社計画水準にまでコンセンサスが低下する可能性があるでしょう。

 日本製鉄(5401)SBIホールディングス(HD)(8473)は、引き続き会社側で2023年3月期の配当計画を示していません。

 アナリストの配当予想は、日本製鉄は157円(前期160円)、SBIHDは158円(前期150円)程度という状況です。なお、日本製鉄の上半期配当金は90円、SBIHDは30円でした。

高利回り銘柄、年明けにかけ注意も必要!

 パウエルFRB議長は11月30日の講演で、タカ派姿勢を継続しているものの、12月FOMCでの利上げペース減速も示唆しています。

 12月13~14日のFOMCでは、利上げ幅は0.5%にとどまる可能性が高く、織り込み済みとはいえ、株式市場にとってポジティブな反応をもたらしそうです。

 来年2023年の株式市場の上昇を見込んで、年末にかけ日本株にも期待が高まっていくものと考えます。

 ただ、金利低下を見込んだ地合いにおいては、割安なバリュー株よりも今後の成長が見込めるグロース株に関心が集まりやすく、高配当利回り銘柄も相対的にパフォーマンスは低下する可能性があります。

 また、高利回り銘柄は12月末にかけて今年のNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)枠を使い切るための駆け込み投資で注目を浴びやすいですが、年明け相場を見据えた場合はその反動にも注意する必要があります。

 また、2023年に入ると、来年度の配当を利回りの基準とする動きも強まるとみられます。減配が想定される海運株や資源関連株などは、利回り妙味を買い材料視する動きが後退する余地は大きそうです。

 高利回り銘柄物色も内需系に関心を絞りたい局面です。