買い注文より売り注文の方が重要かつ難しい

　前回のコラムでは、指値注文と成行注文の2種類の注文方法、そして買い注文にて指値注文と成行注文をどのように使い分けるかをご説明しました。

　今回は、売り注文において、指値注文と成行注文をどう使っていくのかについてお話していきます。

　ところで、買い注文と売り注文、重要なのはどちらだと思いますか？ それは圧倒的に売り注文です。

　買い注文は、たとえ注文を失敗して買いそびれても利益を得ることができないだけで、実際に自分自身のお金が減ることはありません。言い換えれば「機会損失」にすぎません。

　しかし、売り注文をしくじると実現損失や含み損に直結してしまいます。

　ですから、買い注文以上に、売り注文についてはしっかりとやり方を押さえ、実行しなければなりません。

売り注文で指値注文を使うのはどんな時？

　指値注文での売り注文は、「○○円以上なら売る」という意味合いになります。

　例えば1,000円で買った株が現在1,100円に上昇しているが、まだ売りたくない。でも1,200円まで上がったら売りたい、という場合です。このときは1,200円で指値売り注文を発注します。

　もしくは、1,000円で買った株が900円に値下がりしてしまった。今売ると損失が実現するので売りたくないが、1,000円まで戻ったら売りたい、というときは1,000円で指値売り注文を発注することになります。

　ただし、900円に値下がりした株が1,000円に戻る保証はありませんし、さらに株価が下がってしまう恐れも大いにあります。そうなったら含み損が拡大し、手も足も出なくなってしまいます。

　そのため、すでに含み損を抱えている状態で買値まで戻ったら売る、というやり方は筆者ならしませんし、お勧めしません。筆者であれば損切りで対応します。

　このように、売り注文で指値注文を使うのは、「今の株価では売りたくないが、もう少し上昇したら売りたい」というケースが大部分だと思います。

売り注文で成行注文を使うのはどんな時？

　売り注文で成行注文を使うのは、今ついている株価でよいから今すぐ売りたい、という場合です。

　今すぐ売りたいケースとして考えられるのが、現時点ですでに株価が値上がりして十分利益が確保できるので、今の株価で売っても問題ない、という場合です。

　もしくは株価が大きく下がって、これ以上下がるとまずい、という恐怖心に駆られていくらでもよいから売ってしまいたい、という時も成行注文が使われることが多いのではないでしょうか。

　ただ、これはいわば「パニック売り」「投げ売り」の状態ですから良い売り方ではありません。

　事前に買った株の損切りルールを決めて、損切り価格に到達したら売る、もしくはバイ・アンド・ホールドを貫き通すのであればどんなに株価が下がっても、ゼロになっても動じないという強い心が必要です。

筆者が使っているのは指値注文・成行注文のどちら？

　実は筆者は、売り注文で指値注文を使うことはめったにありません。

　買い注文の場合は、例えば寄り付きに高寄りして想定より高く買ってしまうことを防ぐ意味もあり、指値注文を使うこともありますが、売り注文ではまず成行注文です。

　なぜ成行注文なのかといえば、買った株の株価がどうなったら売るのかをあらかじめルールとして決めてあるからです。

　具体的には移動平均線を割り込んだら売る、というものです。これは利食い売りの場合も損切りの場合も共通です。

　移動平均線を割り込んだら売ると決めているので、売り注文は確実に成立させる必要があります。このとき、指値注文を出すと、注文が成立しない恐れがあります。

　ルール上売らなければいけない株価まで下がったとき、少しでも高く売ろうと思い、今の株価からちょっと高い株価で指値注文を出す人がたまに見受けられます。

　しかし、これではせっかく売却のルールを決めても売却が成立しない可能性があるのでやるべきではありません。

結論：利食い売りは指値でもよいが損切りは成行で

　売り注文は利食い売りと損切りの二つがありますが、利食い売りは指値注文、成行注文のいずれでもよいでしょう。

　なお、筆者はよほど株価が急騰している場合を除いては、株価が上昇している間は売らず、移動平均線を割り込んだら売るというルールを決めているので、指値注文は使わず、成行注文を使います。

　また、損切りについては、損切りを確実に行って損失の拡大を防ぐという意味では指値注文というのは考えにくいです。

　成行注文を使って、確実に注文を成立させることを意識してください。

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