世界最大の旅行小売企業、「自由貿易港」海南省ビジネスに潜在力

現地コード 銘柄名
01880

中国旅遊集団中免

(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティーフリー)

株価 情報種類

175.00HKD
(11/25現在)

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 BOCIは免税店運営大手、中国旅遊集団中免のカバレッジを開始し、株価の先行きに対して強気見通しを付与した。中国では新型コロナ感染の拡大を受けた行動規制が依然続いているが、海南省でのオフショア店舗の拡大などを理由に、同社のリーディングポジションは揺るがないとの見方。中国政府が「自由貿易港」として強力にサポートしている海南省ビジネスへの投資を継続することで、大きなリターンが見込めるとした。国内旅行者による海南省での免税品購入需要は旺盛であるとし、2025年以降はさらに需要が膨らむと予想。旅行小売市場におけるアドバンテージを理由に、同社が中期的に、中国観光市場の全面回復による最大の恩恵銘柄になるとみている。

 国内消費者の免税品需要を取り込む形で成長を遂げ、世界最大の旅行小売事業者となった同社は、2019-21年に年率平均60%という大幅な利益成長を遂げた。2022年に入ってからはコロナ感染の再拡大によるビジネス環境の悪化に直面しているが、BOCIは中国政府がゼロコロナ政策の大幅な見直しに踏み切れば、同社のオフショア免税ビジネスが真っ先に、景気回復の恩恵を受けるとの見方。かなり慎重な基本シナリオの下、2022年12月通期の前年比54%の減益を予想しながらも、中期的見通しを楽観し、2024年の純利益が140億元に達する見通しを示した。2020-24年に年率平均24%の利益成長を見込む。中国の観光市場が予想より早期に回復すれば、さらなる上振れもあり得るとの見方だ。

 同社に関しては、中国が海外渡航規制を緩和すれば競争力を失うとの懸念もあるが、BOCIは海南省が引き続き、より多くの国内旅行者を誘致するとみて、優位は揺らがないとの見方。特に2025年以降に関しては、海南省が香港と韓国から、シェアを奪う可能性があるとみる。

 今後の支援材料は海南省海口市での新たなプロジェクトや自由貿易港としての海南省に関するより詳細な情報。海南省の1人当たり免税品支出にはこの先、大幅な拡大余地がある。ちなみに2021年の同支出は7万4,000元にとどまり、年間上限の10万元に届かなかった。

 BOCIは海外渡航規制の解除は当面難しいとみて、海南省の小売市場が2023年に回復すると想定し、2022-24年の売上高が前年比9%減、48%増、11%増と推移すると予想。2024年予想PER(株価収益率)30倍をベースに目標株価を設定し、株価の先行きに対して強気見通しを付与した。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、旅行規制の長期化や消費力の萎縮の可能性、政策・規制面の変化、市場競争の激化、空港経営事業者とのコンセッション契約の見直しなどの可能性を挙げている。