2022年7-9月期は予想上振れ、インフィード広告の強化で景気回復を追い風に

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント)

株価 情報種類

294.40HKD
(11/17現在)

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 中国を代表するインターネット企業、テンセントの2022年7-9月期決算は、一過性損益などを除いた非GAAPベースの調整後純利益が前年同期比1.6%増、前期比14.6%増の323億元となり、市場予想とBOCIの予想をそれぞれ7%、7.6%上回った。広告事業の粗利益率が予想以上に改善したことや、販売・マーケティング費などの抑制が背景。BOCIは動画投稿アカウントの新たなインフィード広告(SNSのタイムラインなどでコンテンツの間に違和感のないフォーマットで挿入する広告)が現在の広告業務を補完することで、この先のマクロ経済の回復が追い風になるとの見方。粗利益率の改善見通しやコストの最適化を反映させ、2022-24年の利益見通しを増額修正した。手持ちの美団(03690)株の現物配当を行う同社の方針を受け、美団のバリュエーションを除外した上で、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2022年7-9月期の売上高は前年同期比1.6%減、前期比4.5%増の1,401億元と、ブルームバーグの市場コンセンサス予想およびBOCIの予想を1%、0.3%小幅に下回った。主にフィンテック・企業向けビジネスが下押ししたため。過去6四半期にわたって低下し続けてきた粗利益率は、前年同期を0.2ポイント、前期を1ポイント上回る44.2%。動画アカウントの営業レバレッジ効果とマネタイズ(収益事業化)の加速、加えて高質かつ高利益率を目指したクラウドビジネスの戦略調整が寄与した。

 一方、経営陣によれば、動画アカウントのインフィード広告は既存の広告と喰い合うことなく、広告収入の上乗せにつながっている。インフィード広告のeCPM(有効インプレッション単価)は他社だけでなく、自社の万能アプリ「微信」のモーメンツ(朋友圏)をも上回る水準。特にFMCG(日用消費財)やハイエンドブランドからの広告需要が旺盛で、現時点では全般に需要過多の状況にあるという。経営陣は10-12月期には、動画アカウントの広告収入が10億元を超えるとみている。

 テンセントは11月16日、保有する美団株の現物配当を行う方針を発表した。テンセント株10株に対して美団のBクラス普通株1株を特別中間配当として分配するもので、対象となる株式は美団の発行済み株式総数の15.5%、テンセント保有株のうち91%。総額203億米ドル規模となる。テンセントにとっては、投資価値の顕在化と株主への資本還元の手段になるという。

 BOCIは広告事業の粗利益率の上振れや販売費の抑制を反映させる形で、2022-24年の予想純利益(非GAAP)を4.9%、5.4%、4.2%増額修正。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。レーティング面での潜在リスク要因としては、ゲームやフィンテックなどのネットビジネスに対する政策的な監督強化の可能性、成果報酬型広告市場における競争激化の可能性を挙げている。