主要3社の販売成績はまちまち、販売成長見通しで百済神州が有望

 BOCIはリンパ腫治療のザヌブルチニブのmPFS(無増悪生存期間の中央値:がんが進行せず安定した状態にある期間の中央値)がイブルチニブに対して優位に立ったことで、前者を開発した百済神州(香港06160/上海688235/米ナスダックBGNE)が世界的に、販売の急成長期を迎えたとみている。2022年7-9月期には米ドル高と新規採用コストの増大で純損失が拡大したが、10-12月には赤字が縮小するとの見方だ。一方、信達生物製薬(01801)に関しては、コマーシャルチームの再編に伴う経営効率の改善で、2023年には製品販売収入が回復すると予想。最大で前年比11%増の44億5,000万元を見込む。また、再鼎医薬(09688/ZLAB)については、TTフィールド療法の出足の鈍さを指摘。10-12月期の売上高が目標をやや下回る見通しを示した。この中では世界市場における販売成長のポテンシャルから、百済神州をトップピック銘柄としている。

 ザヌブルチニブのmPFSがイブルチニブを上回ったことで、BOCIは百済神州の2022年通期の売上高が前年比で倍増の13億2,000万米ドル超に達するとみる。2023年についても前年比47%の増収を見込む。信達生物製薬の2022年の売上高に関しては前年比11%増の44億5,000万元を予想し(1米ドル=7.25元換算で約6億1,300万米ドル)、2023年には36%増えるとの見方。また、再鼎医薬の2022年の予想売上高は2億1,200万米ドル。前年実績の低さから、2023年には前年比56%の増収を達成するとみる。

 信達生物製薬と百済神州の粗利益率について、BOCIは2022年下期以降、80-90%で推移すると予想している。両社とも、高利益率の自社開発製品を主力とすることが強み。再鼎医薬の場合はライセンスイン製品(他社から開発権を導入)をめぐるパートナー企業との利益分配を理由に、65-70%を見込む。

 フリーキャッシュフローの比較では、百済神州と信達生物製薬は少なくとも向こう2年の現金支出を支えられる見通しだが、再鼎医薬に関しては2023年に払込資本金3億米ドルを追加すると予想。2025年には3社ともに黒字化するとみる。

 営業費用は3社ともに2019年-20年に急拡大した後、落ち着きを見せている。今後も売上高の拡大に伴う、売上高費用比率の低下が見込まれるという。

 BOCIはカバー銘柄3社の株価の先行きに対して強気見通しを付与しつつ、個別では世界市場でのポテンシャルなどを理由に百済神州をトップピックとしている。一方、信達生物製薬に関しては売上高費用比率の低減で他2社を上回るとし、経営効率の点を前向きに評価。売り上げの回復には時間がかかるとしながらも、2022年予想PER(株価収益率)で10倍以下という低バリュエーションから、投資家の悲観見通しはほぼ織り込まれたとした。再鼎医薬に関しては、この先の株価の再評価は、売上成長のスピードや各種の新製品販売に伴い営業損失が継続的に縮小するかがカギを握るとしている。