10月の物価指標はCPI・PPIともに鈍化、内需の萎縮を反映

 中国国家統計局が発表した10月の最新物価統計は、内需の萎縮を反映した数字となった。うちCPI(消費者物価指数)上昇率は前年同月比2.2%と、9月の同2.8%から減速し、市場コンセンサス予想を下回る水準。前月比の上昇率は0.1%で、9月の同0.3%から減速した。

 コアCPI(価格が変動しやすい食品とエネルギー価格を除外)の弱さと、輸送用燃料価格の下落が10月のCPIの減速要因。新型コロナウイルス感染の再拡大で世帯消費が萎縮し、サービス産業の回復もままならなかった。コアCPIは10月に前年同月比0.6%の上昇率(9月も同じ)。国際原油相場の反落を背景に、輸送用燃料価格は1.1%下落した(9月は1.2%下落)。

 食品価格の上昇率は前年同月比7%と、9月の8.8%から減速したが、これは豚肉が9.4%高騰(9月は5.4%)する半面、生鮮野菜、生鮮果物が1.6%、4.5%の下落に転じたため。食品全体の前月比の上昇率は9月の1.9%から、10月には0.1%に鈍化した。

 BOCIは9月、10月のCPI上昇率が予想以上に弱かったとして、2022年10-12月期、2023年1-3月期の消費者物価の安定を見込んでいる。月別では11月に前年同月比1.8%程度まで減速した後、旧正月(2023年1月22日)などの季節要因で12月に2.4%、1月には約3%に上向くとの見方。2023年通年に関しては、前年とほぼ同程度となる2%前後の緩やかな上昇を見込む。一方、2023年のCPIを左右する要因は、消費活動や外食収入がどの程度回復するか。中国では輸出が減速する中、低迷する内需を立て直すことがほぼ不可欠となっている。コロナ感染の再拡大を受け、国内経済の下押し圧力は高まっているが、CPI上昇率の減速により、金融緩和の余地は拡大傾向にある。

 一方のPPI(生産者物価指数)は9月の前年同月比0.9%の上昇から、10月には同1.3%の下落に転じた。マイナス圏に沈むのは2021年1月以来。世界的な景気後退懸念を受けた国際商品相場の反落や前年同期実績の高さが影響したためで、うち原材料PPIの上昇率は9月の2.6%から10月には0.3%に鈍化した。前月比では、PPIと原材料PPIがそれぞれ0.2%、0.3%小幅に上昇(9月は同0.1%、0.5%下落)。品目別では不動産不況が逆風となる黒色金属(鉄鋼など)採掘業、同加工業のPPIが引き続き低調で、それぞれ前月比1.4%、0.4%下落(9月は3%、1.7%下落)。石炭採掘業は冬を控えた需要増で、前月比3%の上昇(9月は0.5%上昇)となった。

 BOCIは世界経済の鈍化や前年実績の高さを理由に、PPIの低迷は当面続くとの見方。地政学リスクや今冬の欧州のエネルギー危機、世界の景気後退リスクが不確実性要因になるとした。半面、PPIの低下による利点として、川下産業のコスト圧力の軽減効果を指摘している。