11月になりました。今回はNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)を利用している人が年内に確認しておきたいこと、忘れずにやっておきたいことについて解説します。現在、日本で利用できるのは成人(2022年1月1日時点で20歳以上。2023年からは18歳以上)が利用できる一般NISAとつみたてNISA、そして、未成年が利用できるジュニアNISAの三つです。
このうち、つみたてNISAは非課税期間が20年と長く、そのまま淡々と積み立てを継続すればOKです。注意したいのは一般NISAとジュニアNISAを利用している場合です。
ともに非課税期間が5年なので、非課税期間を延長し、非課税口座で保有し続けるには、翌年の一般NISA口座(またはジュニアNISA口座)に商品を移し替える「ロールオーバー」の手続きを行う必要があります。
この手続きを忘れると、一般NISA口座やジュニアNISA口座で保有する商品の取得価額は、非課税期間が終了する年の12月最終営業日の終値に変更され、翌年1月に特定口座(特定口座を開設していない場合は一般口座)に払い出されてしまいます。必ず期限までに手続きを行いましょう。以下、ロールオーバーの注意点についてまとめました。
一般NISA口座で投資をしている場合
・ロールオーバー対象の商品はあるか
2022年末で非課税期間5年が終了し、ロールオーバーの手続きをする必要があるのは2018年に一般NISA口座で購入した商品です。まずは、2018年に一般NISA口座で購入した商品があるかどうかを確認しましょう。楽天証券の場合、ログイン後に「NISA/つみたてNISA」→「年別保有商品」で買付した年(今回は2018年)を選択すると該当する商品の有無を確認できます。
・ロールオーバーの申し込みをする
2023年以降も非課税期間で保有したい場合には、ロールオーバーの手続きを行う必要があります。楽天証券の場合には「NISA/つみたてNISA」のタブから「ロールオーバー」→「申込/受付状況」をクリックすると申し込みできます。
・どの商品をロールオーバーするか
複数の商品を保有している場合、全ての商品をロールオーバーすることもできますし、商品を選んでロールオーバーすることも可能です。
・締め切り日を確認
いつまでにロールオーバーの手続きを完了したらよいのかを必ず確認しましょう。年末ではなく、金融機関ごとに締め切り日が設定されています。オンラインと郵送では締め切り日が異なることもあります。早い金融機関では11月末というケースもあります。楽天証券の場合、申込期限は2022年12月30日の15時です。
ジュニアNISAを利用している場合
ジュニアNISAは2023年末で廃止になります。それに伴い、これまでは高校3年の12月末(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日)まであった払い出し制限が解除され、2024年以降はいつでも引き出しできるようになります(口座廃止が前提)。一方、そのまま成人になるまで非課税で運用することもできるため、口座を開設する人が増えました。
ただし、ジュニアNISAも一般NISAと同様、非課税期間は5年のため、非課税期間を延長するにはロールオーバーの手続きが必須です。成人になるまで非課税で運用するはずが、気付いたら課税口座に移管されていた、とならないためにも、ロールオーバーの手続きは必ず行いましょう。
・ロールオーバー対象の商品はあるか
対象となる商品がある場合、10月中旬ごろに口座名義人宛にジュニアNISAロールオーバー申込書類が郵送で届きます(口座名義人と登録親権者宛にメール・ログイン後の「お知らせ」でも案内)。
・ロールオーバーの申し込みをする
送付された申込書に必要事項を記入し、郵送で申し込みます(申し込みは書面のみ)。
・ロールオーバーの受付状況をメールで確認
ジュニアNISAのロールオーバーの受付状況は、口座名義人と登録親権者の登録メールアドレスに送付されます(銘柄等明細に関しては口座名義人のみ)。
・締め切り日を確認
いつまでにロールオーバーの手続きを完了したらよいのかを必ず確認しましょう。ジュニアNISAは申込書を郵送する必要がありますので、余裕をみて早めの対応を心掛けてください。
一般NISAからつみたてNISAへ変更する場合
現状では非課税期間5年の一般NISAについては年末にロールオーバーの作業がついて回ります。例えば、投資信託の積み立てをしている場合、一般NISAからつみたてNISAに変更を行うという選択肢もあります。
つみたてNISAと一般NISAは同じ年に両方利用することができませんが、変更することは可能です。例えば、2022年まで一般NISAを利用し、2023年からつみたてNISAに変更したいという場合には、2022年12月までに「区分変更」を行いましょう。10月以降に手続きをすると、翌年から変更されます。
最後に、一般NISAについては2024年1月から2階建ての新NISAに切り替わる予定でしたが、金融庁が2022年8月に取りまとめた「令和5年度 税制改正要望項目」では刷新(撤回)が提案されています。
それに代わり、2024年からつみたてNISAをベースに1本化を行い、その中に一般NISAの機能を引き継ぐ「成長投資枠(仮称)」を取り込むこと、未成年も利用可能にすること、制度・非課税期間の恒久化などが要望項目に記載されています(*)。
税制改正大綱、2023年の法改正を経て最終的にどのような形になるかは未定ですが、一般NISAは大きく変わる可能性もあり、今後の動きに注目したいところです。
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