10月のビットコインイベント
NEW! 10月4日 | イーロン・マスク氏、Twitter社買収再開 |
NEW! 10月19日 | リブラの流れをくむAptos取引開始 |
*2022年1月以降の主なビットコインイベントは記事最終ページにまとめています。
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10月の振り返り
10月のビットコイン価格(円)とイベント
10月のBTC(ビットコイン)相場は小幅上昇
FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げペースの思惑でおおむね1万9,000ドル(約280万円)台でのもみ合い推移が続いたが、月末にかけてレンジを上抜けし2万ドル(約295万円)台に上昇した。
月初はそれまで政策決定会合ごとに50bpずつ利上げしていたRBA(オーストラリア準備銀行)が25bpに利上げ幅を縮小、FRBも追随して利上げペースを緩めるとの期待感からリスクオンとなり、マスク氏のTwitter社買収再開との報もあり2万ドル台に乗せた。
しかしFRB高官がそうした期待感を相次いで否定、米雇用統計で堅調な雇用情勢が確認されると、BTCは1万9,000ドル近辺に下落した。
さらに13日発表のCPI(消費者物価指数)が強かったことで、1万8,000ドル(約265万円)近くまで下落したが、米株が上昇したことを好感し1万9,000ドル台に切り返した。
また、混乱を呼んでいた英減税策が撤回され、最終的にトラス英首相が辞任に追い込まれる中、BTCは2万ドルをうかがったが、米長期金利が上昇し、1万9,000ドル台後半で上値を抑えられた。
しかし、WSJ(米紙ウォールストリートジャーナル)が11月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で12月以降の利上げ幅縮小が議論されるとの観測を報じ、米長期金利が下落に転じると、ドルが下落に転じ、BTCは一時2万1,000ドル(約310万円)台に上昇している。
テクニカルで見た11月の見通し
テクニカル的には下降トレンドを脱した可能性
一目均衡表で見た10月のBTC/USD相場
テクニカル的にはBTC相場は下落トレンドから脱した可能性が高い。2カ月近く上値を抑えてきた一目均衡表の雲の下限を突破した。すでに、遅行線がロウソク足の上にあり、転換線が基準線を上抜けている。これでロウソク足が雲の上限を抜ければ3役好転の買いシグナルが点灯する。
一目の雲の下での推移が続いた昨年11月からの下げ相場(BTC/USD)
この雲への突入の意義はそれだけではない。上は昨年9月以降のBTC一目均衡表の期間を伸ばしたもの。BTC相場は昨年11月にピークを付け、翌12月に雲の下限に潜り込んで以降、3月に一度雲の上に出たが、おおむね雲の下で推移してきた。
今回、クリアに雲を上抜けできれば、昨年11月来の下降トレンドから脱した可能性がある。雲の上に出たからといって上昇トレンド入りが確定する訳ではないが、雲の上に出ない限りトレンド転換とはいえない訳だ。
トレンドラインも上抜け(BTC/USD)
トレンドラインで見てもBTC相場の転換が読み取れる。8、9、10月前半の高値を結んだ短期のトレンドラインも、昨年11月、今年3、9月の高値を結んだ長めのトレンドラインも、わずかながら上抜けている。これは昨年11月から続く下降トレンドから脱した可能性を示唆している。
アノマリー的には上昇シーズン突入
BTC相場 月別騰落一覧
アノマリー的にも10月は相場の転換点となる可能性が高いと申し上げてきたが、11月も同様に1年のうちでも強い月だ。またNYダウ(ダウ工業株30種平均)の騰落率は、過去29年間平均で11月は2.3%と、4月に次いで年間で2番目に米株が強い月となっている。アノマリー的に11月のBTC相場は連騰となる可能性が高い。
底入れサイクル的には本格上昇近し
前回サイクルの大底(2018年12月14日)と今回の大底候補(2022年6月18日)を1としたBTC相場推移
先月ご紹介した前回の半減期サイクルの大底(2018年12月14日)と、今回の大底候補(2022年6月18日)を1としたBTC相場推移。前回はダブルボトムを付けて本格上昇に至っている。今回はやや後倒しになっているが似た展開を見せている。
前回と似た展開をたどるとするならば、T+50辺りで付けた2万5,000ドルレベルを上抜けるとダブルボトムが完成し、本格上昇につながる。それまでにもう少し時間が必要そうだが、年内に訪れても不思議はない。
材料面で見た11月の見通し
ここまでテクニカルやアノマリー、供給サイクルから、BTC相場はどうやら転換点を迎えた可能性が高く、年内にも本格上昇が訪れても不思議はないと分析してきた。では材料面から見るとどうなるだろうか。
米金融政策との関係
まず、今回の2万ドル復帰の立役者は、FRBの利上げペースの緩和観測だ。11月のFOMCのブラックアウト期間直前の21日、FOMCで12月からの利上げ幅縮小を議論するとの観測を、WSJが報じ、続いてデイリーサンフランシスコ連邦準備銀行総裁も利上げペースをステップダウン(下げる)する議論を始めるべきとした。
折しも4日にRBAが利上げ幅を50bpから25bpに引き下げ、続いて26日にはBOC(カナダ中央銀行)も75bpから50bpに引き下げており、米国の利上げのピークアウトが近いとの思惑が浮上した。これを受けて、15年ぶりに4.3%まで上昇していた米10年債金利が4%を割り、米株も大きく上昇、BTCは2万ドルをブレーク、一目均衡表の雲の下限を上抜けた。
オーストラリアとカナダが利上げ幅を縮小、米国も縮小議論開始か
もし、これで昨年11月から続く下降トレンドの転換となれば、2020年3月の新型コロナショックで底を付けて、続くFRBの無制限緩和で上昇トレンドに入り、2021年11月のテーパリング開始でピークを付けて下降トレンドに入り、今回FRBの利上げペース緩和で転換するという、きれいな相場展開となる。
FRBの金融政策とビットコイン相場
ただ、今後の展開はそう単純でもない。まず、FRBが11月に75bp利上げし、12月に50bp利上げすることは、9月FOMCのドットチャートの中間値と符合しており、既定路線だ。WSJなどは、それを利上げペースの鈍化だと言い換えているのにすぎない。
米消費者物価の鈍化と原油価格
また、これまでインフレに対して金利水準が低すぎたため75bpの異例のペースで利上げを続けてきたが、金利水準がある程度上がってきたので通常の利上げペースに戻すのが狙いだ。すなわち、利上げを止めるかもしれないと喜ぶのは少し気が早い。まだ、原油価格の上昇が一服したおかげでヘッドラインの上昇は一服しているが、コアインフレの上昇は止まっていないからだ。
FF先物金利とFRBのFF金利予想(ドットチャート)水準
インフレを一時的とタカをくくっていたFRBが、6月の議会証言でインフレ抑制を最優先するとしてタカ派に転じたが、市場は従来通りの甘い見方を捨てきれず、両者に大きなギャップがあった。しかし、再三にわたるFRBの警告を経て、10月半ば以降、9月FOMCでFRBが示したFF金利予想(ドットチャートの中間値)をFF先物金利が追い越した。
すなわち、市場の織り込みがFRBのタカ派姿勢に追い付き、追い越したため、金利上昇→リスクオフ→BTC売りというサイクルからは脱出できそうだ。
インフレヘッジニーズの再浮上
上記のように利上げという面ではBTCにとって最悪期は過ぎたといえそうだが、本格上昇にはもう少し積極的な買い材料が欲しいところで、先月も紹介したようにそうした動きは始まっている。
米上院の銀行委員会がFRBに対し、インフレ対策はいいが、労働市場にも配慮をするよう求める書簡を送った。市場でも、利上げで米国がリセッション(景気後退)に陥れば、デュアルマンデート(インフレと雇用の二つの目標)を課されたFRBは利下げに踏み切らざるを得なくなるという機運が度々浮上する。
しかし、パウエルFRB議長は6月に、一時的に雇用を犠牲にしてもインフレ抑制を優先する方針を議会で証言した。当時は中間選挙を巡る選挙戦を控え、とにかくインフレをどうにかしてくれという論調が議会でも主流だった。
米GDPとCPIとFF金利
パウエル議長が繰り返すように、インフレがまだ下がり切っていないのに金融緩和をすれば、景気が回復しきらない間にインフレが再燃し、1980年代のような深刻なスタグフレーションに陥る恐れがあり、インフレと景気の二者択一において、まずはインフレ退治を優先するという教訓を得ている。
それでも、前回議会証言時から1.5%しか利上げしていないのに、もうこのような声が出始めてしまう。それも、FRBのボスともいえる、上院の銀行委員会から出てくるのは始末が悪い。個人的な推測だが、経済学者出身で大学とFRBしか経験のない議長よりも、法学部出身で役所や会社勤めの経験がある議長の方が、議会の声に耳を傾けやすい可能性がある気がする。
ビットコイン相場をけん引した伝説の投資家
そうした中、今の民主主義体制の下で、世界はこのインフレを抑制できるのか、もしかしたらインフレ退治が中途半端なまま景気が後退してスタグフレーションや最悪のケースとしてハイパーインフレに陥る可能性はないか、不安に覚える投資家が増えてくると考える。
すなわち、2020~2021年に広がったインフレヘッジの第二弾の動きが広がると考える。ポール・チューダー・ジョーンズ氏やドラッケンミラー氏のコメントはその始まりを意味しているのではないだろうか。
特にこうした動きは、中銀のビハインドザカーブが著しい欧州から盛り上がる可能性がある気がしている。BNPパリバやソシエテ・ジェネラルなど欧州系の銀行が、暗号資産ビジネスへの参入を急いでいることとも符合があう。
ECB政策金利とユーロ圏CPI
ビットコイン相場予想
BTC相場は10月でトレンドを転換、早くて11月、おそらくは12月か来年1月にかけて本格上昇軌道に乗ると考える。
なお、年初の見通しで、米CPIが2桁には至らないが1桁後半で高止まりするメインシナリオで年末のBTC相場を360万円と申し上げた。このシナリオ自体は不変だが、当時は3万ドルでドル/円が120円を想定しての予想だったが、ドル/円が仮に150円で推移した場合は450万円になると予想を修正したい。
2022年 時事イベントと暗号資産イベント(最新順)
9月21日 | ソシエテ・ジェネラル、BTCカストディ参入 |
9月15日 | イーサリアム「マージ」無事通過 |
9月12日 | フィデリティ、BTCリテール参入 |
8月24日 | イーサリアム「マージ」正式決定、9月15日に決まる |
8月12日 | ミキシングサービス・トルネードキャッシュ開発者、蘭当局が逮捕 |
8月11日 | BlackRock、BTC私募投信提供開始 |
8月2日 | MicroStrategy、マイケル・セイラーCEO退任、会長に |
7月20日 | テスラ社、保有ビットコインの3/4を売却済 |
7月14日 | レンディング大手Celsius Network、破産申請 イーサリアム、アップデート「マージ」予定日9月19日に決まる |
7月6日 | 取引アプリVoyager Digital、破産申請 |
7月1日 | 交換所大手FTX、レンディング大手BlockFi救済で合意 ヘッジファンドThree Arrows Capital、破産申請 |
6月21日 | FTXがBlockFiを救済、融資枠を設定へ |
6月13日 | テラ問題の余波でセルシウス入出金停止、Three Arrows Capitalも経営危機 |
6月10日 | 米CPI予想上回る。インフレ早期ピークアウトシナリオが後退 |
6月7日 | 政府、骨太の方針に暗号資産。Web3が国家戦略に |
5月24日 | 三井住友トラスト、年内に暗号資産カストディ提供 |
5月13日 | 野村證券、シンガポールで暗号資産デリバティブ提供開始 |
5月12日 | テラ不安がテザー(USDT)に飛び火、一時94セントに下落 |
5月9日 | テラUSD(UST)、ドルとのペッグが崩れ始め、テラ(LUNA)も暴落 |
4月27日 | 中央アフリカ、ビットコインを法定通貨に採用 |
4月19日 | オーストラリアで初のビットコイン・イーサリアムETFが承認 |
4月6~9日 | Bitcoin2022がマイアミで開催。昨年はエルサルバドルのBTC法定通貨化が発表されたが、今年はやや期待外れの声も |
4月4日 | ウクライナへの仮想通貨で集まった寄付金、約123億円を超える |
3月29日 | Axie InfinityのRonin Networkで大規模ハッキング |
3月22日 | 世界最大のヘッジファンド「Bridgewater Associates」、暗号資産ファンドに投資開始か |
3月17日 | FOMC、0.25%利上げ発表でビットコイン上昇 |
2月28日 | 米、ロシア中央銀行の資産を凍結。ルーブル安からBTCに逃避フロー |
2月27日 | 米欧、ロシアをSWIFTから排除 |
2月25日 | ウラジーミル・プーチン大統領、軍事攻撃を命令 |
2月20日 | 北京五輪閉幕 |
2月17日 | 米大統領、ロシアが数日中にウクライナ侵攻 |
2月12日 | **BlockFi、SECと1億ドルで和解。米国内でのレンディングサービス困難に |
2月4日 | 北京五輪開幕。当面、軍事衝突が控えられるという見方でBTC上昇 |
1月20日 | ロシア中銀が暗号資産の*マイニングと流通の禁止を提案 |
*マイニングとは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。
**BlockFiとは:暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。
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