32年ぶりに1ドル152円近辺まで進んだ円安を食い止めるべく、複数の報道によると、政府・日本銀行は10月21日(金)深夜から22日(土)にかけて、再度の為替介入を実施。
ドルは一時146円台前半まで下がり、夜間の先物市場で日経平均先物も急落しました。
しかし、好調な米国株の動きにつられて回復。
円安が収まる気配はなく、24日(月)から28日(金)の日本株も反発して始まりました。
先週:再度の為替介入も効果なし!?株価の上昇が続く可能性も
先週の日経平均株価は2万7,000円台を挟んで乱高下が続き、前週比200円安で取引を終了しました。
1ドル150円を超えた円安で為替介入に対する警戒が高まったこと、米国の長期金利の指標である10年国債の利回りが一時4.3%台に到達したことなどが株価の重しでした。
しかし、21日(金)の米国株は、米国の中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)がFOMC(米連邦公開市場委員会)の12月会合に向けて急激な利上げペース減速を協議する可能性があると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたこともあって、利上げ緩和への期待が高まり、急騰しました。
多くの機関投資家が運用指針とするS&P500種指数が週間で4.7%上昇しました。
先週は、電気自動車のテスラ(TSLA)の2022年7-9月期売上高が予想を下回るなど、米国企業の業績低迷が目立ちました。
にもかかわらず、米国の主要3指数はそろって大幅高。長期金利上昇や企業業績の不振は相変わらず不安要素ですが、投資家は年末に向けて株高を期待。
ちょっとした好材料でも大げさに反応して、リバウンド上昇しそうな雰囲気が出てきました。
ハイテク株の集まるナスダック総合指数が前週比5.2%高と大幅に上昇したことは、下げ相場が続いてきた東京エレクトロン(8035)など、日本の半導体関連株にとっても朗報です。人気の半導体検査装置メーカー・レーザーテック(6920)は週間で14%以上の逆行高となりました。
新型コロナウイルス収束で入国制限が撤廃された外国人が、円安で日本に押し寄せることを期待して、エイチ・ツー・オーリテイリング(8242)が前週比6.6%高、日本空港ビルデング(9706)が5.2%高になるなど、百貨店株やインバウンド関連株も絶好調です。
今週:GAFAM決算に注目。下げ相場でも強い日本の好業績株!
21日(金)深夜からの突然の為替介入で、ドル/円相場は146円台まで円高に振れました。今週24日(月)の外国為替市場でも円高に急に振れる場面があり、21日(金)に続いて、政府・日銀が為替介入を実施したとの観測があります。
しかし、米国と日本の金利差は開く一方です。
今週28日(金)に終了する日銀の金融政策決定会合で、円安対策のために景気や株価を犠牲にして、量的緩和策を止めるとはとうてい思われません。
そんなことをしたら日本株は大きく急落してしまうでしょう。
そう考えると、先週末の為替介入は焼け石に水で終わる可能性が高いといえます。
今週は24日(月)、欧州各国や、米国のPMI(製造業・サービス部門購買担当者景気指数)の10月速報値が相次いで発表されます。
27日(木)には日銀に先駆け、ECB(欧州中央銀行)が政策金利を発表。
高止まりするインフレを食い止めるため、前回に続き0.75%の大幅利上げが見込まれています。
米国では27日(木)に2022年7-9月期のGDP(国内総生産)が発表。
米国の実質GDPは4-6月期まで2四半期連続でマイナス成長が続いています。
今回もマイナス成長に陥ると、物価高の中、消費不振などで景気後退に陥るスタグフレーションに対する警戒感が高まるでしょう。
28日(金)には米国のPCE(個人消費支出)やその物価指数(PCEデフレーター)も発表。
来週11月2日(水)(日本時間3日(木)未明)に、FRBはFOMCで米国の政策金利を決めます。FOMCで重要視されるPCEデフレーターの伸びがあまりに高いと、1%の超大幅利上げに対する不安感が台頭して、再び株安が深刻化する恐れもあります。
今週は、日米の2022年7-9月期決算にも厳重注意。
米国では、25日(火)にグーグルの親会社アルファベット(GOOG)やマイクロソフト(MSFT)、26日(水)にフェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズ(META)、27日(木)にアップル(AAPL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)と、GAFAMの決算発表が集中します。
いずれも翌日の日本市場が始まる前の早朝に発表されるので、悪決算の場合、日本株にも大ダメージがあるでしょう。
一方、日本企業の2022年度中間期決算の発表も本格化します。
26日(水)は円安が追い風のキヤノン(7751)、27日(木)は中国経済の影響を受けやすい産業用ロボットのファナック(6954)、28日(金)は通期で今期最高益更新が予想される日立製作所(6501)や前期最高益のキーエンス(6861)などが発表。
米国市場の影響を受けやすい日本株ですが、好業績企業は2022年の下げ相場でも株価が堅調です。
IT事業に特化し選択と集中を進める日立製作所、今期2度目の業績上方修正を行ったキヤノンなどが典型例。
コロナ禍克服で急騰する百貨店株など、下げ相場でも大きく上昇している株をいち早く見つけて投資するのも、株式投資の醍醐味(だいごみ)といえるでしょう。
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