※この記事は2019年1月30日に掲載されたものです。

資産1億ドル!【グローバル型富裕層】投資術!

 今回は、世界中の金融機関に超分散投資している億万長者「A田A彦氏」のグローバル型投資を紹介します。総資産は約1億ドル。A氏の財産管理術とは?

ペレグリン・ウェルス・サービシズ株式会社 代表 山口 聰氏

 独立中立の立場からお客様のご希望をかなえる資産運用を提案するIFA。同志社大学卒、大和証券や複数の外資系金融機関を経て現職。さまざまな富裕層向けアドバイスに携わって15年。運用実績とその人柄が世界中の富裕層の信頼を得ている。趣味は休日の料理。アドバイスのモットーは「お客様の気持ちにフォーカス」

3カ月に一度の「欧州旅行」で投資戦略を見直し

 総資産1億ドルを管理するA田A彦氏。経営していた会社をM&Aで売却、多額の資産を運用しています。

 富裕層の中でも独特な点は、管理されている資産のほぼ全てを米ドルで保有している点。

1:円に対する為替リスクを懸念しなくてよい

2:世界中の金融機関との取引が容易

という理由で、米ドル保有を選んでいます。日本にはまだ富裕層向けサービスを行っている金融機関が少なく、富裕層は主に海外の金融機関に資産管理を委託することが多いため、米ドル運用のほうが、圧倒的に利便性が高いのです。

 A氏は、500万ドルから2,000万ドルずつ、300銘柄以上の金融商品を、スイス、英国など、主に欧州の約5社以上の金融機関に分散投資しています。

  さらにA氏は、欧州の各金融機関を回って運用結果のフィードバックを受けるため、3カ月に一度、欧州旅行に出かけます。シビアな目で運用成績を分析し、2期連続でマイナス成長となった場合は容赦なく契約を終了。こうすることで、全体の変動を抑えつつ、年利成長2%という自身で決めた投資戦略を実現しているのです。

「増やす」より「減らさない」ことが重要

 超富裕層にとって、資産はインフレ率に負けず、減らさずに守っていくもの。その目線は先進国のインフレ率からみておおよそ2%です。2%といえば一見「薄利」のように思えます。しかし、この「2%」とは、世界のインフレ率並みかそれ以上で運用しなければ資産の目減りとなってしまう、という認識からはじき出された、いわば富裕層共有の指標。A氏をはじめ、世界の富裕層たちの資産運用は、資産の目減りを防ぎ、次世代に安全に承継していくことが目的。今日明日の利益ではなく、確実な「長期成長投資」が鉄則です。

 この理論でいくと、20年後には全資産は1.5倍になります。A様が保有される資産の1億ドルは、20年後には1.5億ドルに成長します。20年かけて0.5億ドルを着実に積み上げていく。これが超富裕層の長期戦略なのです。

  さらにA氏は、国際分散投資で資産運用するコア資産とは別に、一任契約を結ばずにA氏自身が個別判断で投資するサテライト資産も保有。サテライト資産の運用でコア資産に大きなマイナス影響が及ばないよう、投資額を限定しながら、景気が後退して大きなチャンスが来たと思うようなタイミングでは、信用力の高い金融機関の債券を個別に購入するなどして、アグレッシブな投資も楽しんでいます。

真似できる!富裕層投資戦略

 A氏の投資の極意をまとめると、以下のようなものになります。

 見直しはシビアで短期かつ定期的に。ただし総額の運用自体は長期スパンでキープ路線。キメ細やかに見直しをしながら、一喜一憂せずどっしり構えて運用に臨む。個人投資家もぜひ取り入れたい投資スタイルです。