9月のビットコインイベント

NEW! 9月12日 フィデリティ、BTCリテール参入
NEW! 9月15日 イーサリアム「マージ」無事通過
NEW! 9月21日 ソシエテ・ジェネラル、BTCカストディ参入

*2022年1月以降の主なビットコインイベントは記事最終ページにまとめています。
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9月の振り返り

9月のビットコイン価格(円)とイベント

出典:Cointelegraphより楽天ウォレット作成

 9月のBTC(ビットコイン)相場は2万ドルを挟んでのもみ合い推移。

 月前半はじりじりと値を上げ2万2,000ドル(約315万円)台まで上昇したが、1万8,000ドル(約260万円)台に失速。月末にかけ2万ドル(約290万円)台を回復した。

 月前半に2万2,000ドル台まで上昇した要因は二つ、(1)雇用統計後、9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での75bp利上げを織り込んでしまい、CPI(消費者物価指数)で多少強い数字が出ても大丈夫との楽観的なムードが広がったこと、(2)ETHのマージを控え、マイナーがシフトするといわれているイーサリアムクラシックなどアルトコインが上昇したことだ。

 ところが、13日に発表されたCPIはコアが前月の+5.9%から+6.3%に上昇、6月7月とインフレがピークアウトしたとの楽観論が出回っていたが、実は原油価格以外はピークアウトしていなかったことが判明した。この結果、市場は9月のFOMCでの1%利上げを織り込み始め、リスクオフが広がった。

 またETHのマージは無事完了、発行量は大幅に減少したが、大方の予想に反してETHは下落していった。期待感でのロングポジション解消に加え、PoSへの移行で行き場をなくしたマイナーの在庫売り圧力なども指摘された。

 この二つの誤算はしばらくBTC市場の重しとなり、FOMCでの利上げ幅は75bpに止まったが、2023年末のFF予想が4.625%と市場のピーク予想を上回ったため、BTCは1万8,000ドル台前半まで値を下げた。

 しかし、何とか6月の安値を更新せず持ちこたえると月末にかけ2万ドル近辺での取引が続いている。

10月の見通し

テクニカル的には転換点

一目均衡表で見た9月のBTC相場

出典:Trading View

 BTC相場は8月に雲の上限上抜けに失敗、逆に下限を下抜けた。9月半ばに一時雲に突入したが、結局、ダマしに終わり、雲に上値を抑えられる展開が続いた。10月は、その雲の下限が1万9,000ドル台まで下がってくるので、雲に突入し、相場反転のきっかけとなる可能性がある。

 ただ、このまま上値を抑えられれば、いよいよ6月の安値更新が見えてくる。いずれにせよ、10月の相場が分岐点になりそうだ。

アノマリー的には上昇シーズン突入

BTC相場 月別騰落一覧

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 アノマリー的にも10月は相場の転換点となる可能性がある。8月9月は上がった月より下がった月の方が多い、3月と並んで一年の中で最もパフォーマンスが悪い時期。実際、相場は下落したのだが、逆に10月11月は7勝4敗(過去11年で上昇7回、下落4回)と比較的強い傾向がある。

 また10月は米株も好調で過去29年間の平均で+1.6%と4月、11月に次いで上昇率が高いことも追い風となりそうだ。

底入れサイクル的には本格上昇近し

 BTC相場は半減期にあわせて4年サイクルで上下する傾向がある。前回は2018年12月に底入れしてから本格的に上昇に至るまで4カ月を要した。その4年前の2015年1月に底入れした際には本格上昇まで9カ月を要した。

前回サイクルの大底(2018年12月14日)と今回の大底候補(2022年6月18日)を1としたBTC相場推移

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 上は前回の大底(2018年12月14日)と今回の大底候補(2022年6月18日)をT+0
としたその前後の相場だ。相場水準は基準日を1としている。これを見ると2018年は大底を付けてから反発、そして再び安値を更新しようと下げたがT+51日に安値を更新できず上昇に転じ、それから2カ月後の本格上昇につながった。

 今回に当てはめると、大底を付けてから反発、そして再び安値を目指したがT+96日に安値を更新できず反発を始めた。前回のパターンならば11月から12月にかけて本格上昇軌道になる計算となる。

材料面で見た10月の見通し

 ここまでテクニカルやアノマリー、供給サイクルからBTC相場は転換点が近く、上昇局面に転じる可能性が高いと分析してきた。ただ、そうなると材料面で上昇要因はあるのかが問題となる。

 というのは、2万ドル割れを繰り返したことにより2021年以降購入した投資家の売りが一掃され、残ったポジションは2020年以前に購入されたガチホ勢の割合が高くなり相場が下がりにくくなったが、目立った買い材料がないため買いが続かないことが9月後半に相場変動が少なくなった理由として指摘されているからだ。

材料(1)利上げ織り込みの進捗

FF先物金利

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 まず消極的な材料だが、市場が相応にFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げをすでに織り込んできていることが挙げられる。上はFF金利先物に織り込まれた金利水準の推移だ。既に2022年末は4.2%とFRBメンバーが指摘する11月75bp、12月50bpをおおむね織り込んでいる。

 その後も2023年3月のピークで一時4.67%とFRBのドットチャートでの2023年末のFF金利予想の中間値4.625%を超えている。ただし、市場はそこから2023年末にかけて1回分の利下げを織り込んでおり、この点はFRB高官の見方と相違があるが、その部分以外はFRBのタカ派姿勢をほぼ織り込んでいると言えそうだ。

 従って、この数カ月のような市場の甘い見方が修正を求められリスクオフに陥る展開は10月以降は影をひそめる。

材料(2)ETHはマージ後の低迷から脱するか

半減期(2020年5月11日)前後のBTC相場

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 二つ目の材料はETHの下げ止まりだ。ETHはマージによるアップグレード後、価格低迷に悩まされている。実はBTCも2020年5月の半減期通過後、2カ月ほど価格は低迷した。半減期により採算が悪化したマイナーの在庫の売り圧力が一因といわれている。今回のマージではマイナーが突然マイニングできなくなった。

 その一部はイーサリアムクラシックに移行し、また一部はETHから分岐したETHWに回ったもようだが、とてもそれまでのETHのマイニングの採算をカバーできるものではなく、マイナーの在庫の売りの影響が1~2カ月続きそうだが、徐々に発行減により需給要因が逆転するものと考えている。

材料(3)中銀への不信

FOMC参加者のFF金利予想(中央値;ドットチャート)の推移

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 最後に、積極的な買い材料として、このインフレ下で各中央銀行への信認が低下している点が挙げられる。上はFRBの2022年末と2023年末のFF金利予想。2022年末など直近4回で4%も引き上げられている。

 すなわち、いかに昨年12月時点でのFRBの見通しが甘かったかを示している。ソロスの右腕と呼ばれたスタンレー・ドラッケンミラー氏は先日、FRBへの不信により暗号資産が恩恵を受ける可能性を指摘している。

英30年国債金利

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 イギリスではエリザベス・トラス新政権が打ち出した減税策を巡って混迷が続いている。国債増発による減税策に英30年債金利は3日で1%上昇、これに対し英中銀は債券市場に介入することで相場を抑えこんだ。しかし、英国のCPIは9.9%に達し、中銀は利上げに加えて量的緩和で蓄えた英国債の売却を予定していたところ、これを延期して逆に国債買入をオファーした。

 政府は不人気だった最高税率引き下げは撤回したが、それ以外の景気対策は強行する構え。これは、同国がインフレか景気かという二者択一で景気を選んだ形になっている。この政策発表時にGBPが急落、GBP建てのBTC取引の出来高が通常の10倍以上に達したとの報告も見られた。

ユーロ圏CPIと政策金利

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 ユーロ圏のCPIが10%に達している欧州の政策金利はいまだに1.25%。深刻なビハインドザカーブに陥っており、インフレ鎮静化のめどは全く立っていない。

 一方、日本では日本銀行の黒田東彦総裁が金融緩和継続をコミットしているが、円安を理由にこれを批判する声も大きい。

 すなわち、議論の是非はともかく世界各国で中銀への不信感が浮上しつつあり、果たして中銀がインフレや貨幣価値を適切にコントロール可能か疑問視され始めている。特に域外の投資家からすれば、どの通貨にも投資しにくい状況が生まれつつあり、これは法定通貨の信認が崩れたときに逃避資産として輝きを増す、デジタルゴールド・BTCにとって追い風だと考える。

10月は相場の転換点

 総合すると10月は相場の転換点となりそうで、本格上昇とまでは至らないが、この2カ月の下落トレンドを脱し、上昇トレンドへの転換が始まると予想する。

2022年 時事イベントと暗号資産イベント(最新順)

8月24日 イーサリアム「マージ」正式決定、9月15日に決まる
8月12日 ミキシングサービス・トルネードキャッシュ開発者、蘭当局が逮捕
8月11日 BlackRock、BTC私募投信提供開始
8月2日 MicroStrategy、マイケル・セイラーCEO退任、会長に
7月20日 テスラ社、保有ビットコインの3/4を売却済
7月14日 レンディング大手Celsius Network、破産申請
イーサリアム、アップデート「マージ」予定日9月19日に決まる
7月6日 取引アプリVoyager Digital、破産申請
7月1日 交換所大手FTX、レンディング大手BlockFi救済で合意
ヘッジファンドThree Arrows Capital、破産申請
6月21日 FTXがBlockFiを救済、融資枠を設定へ
6月13日 テラ問題の余波でセルシウス入出金停止、Three Arrows Capitalも経営危機
6月10日 米CPI予想上回る。インフレ早期ピークアウトシナリオが後退
6月7日 政府、骨太の方針に暗号資産。Web3が国家戦略に
5月24日 三井住友トラスト、年内に暗号資産カストディ提供
5月13日 野村證券、シンガポールで暗号資産デリバティブ提供開始
5月12日 テラ不安がテザー(USDT)に飛び火、一時94セントに下落
5月9日 テラUSD(UST)、ドルとのペッグが崩れ始め、テラ(LUNA)も暴落
4月27日 中央アフリカ、ビットコインを法定通貨に採用
4月19日 オーストラリアで初のビットコイン・イーサリアムETFが承認
4月6~9日 Bitcoin2022がマイアミで開催。昨年はエルサルバドルのBTC法定通貨化が発表されたが、今年はやや期待外れの声も
4月4日 ウクライナへの仮想通貨で集まった寄付金、約123億円を超える
3月29日 Axie InfinityのRonin Networkで大規模ハッキング
3月22日 世界最大のヘッジファンド「Bridgewater Associates」、暗号資産ファンドに投資開始か
3月17日 FOMC、0.25%利上げ発表でビットコイン上昇
2月28日 米、ロシア中央銀行の資産を凍結。ルーブル安からBTCに逃避フロー
2月27日  米欧、ロシアをSWIFTから排除
2月25日 ウラジーミル・プーチン大統領、軍事攻撃を命令
2月20日 北京五輪閉幕
2月17日 米大統領、ロシアが数日中にウクライナ侵攻    
2月12日 **BlockFi、SECと1億ドルで和解。米国内でのレンディングサービス困難に
2月4日 北京五輪開幕。当面、軍事衝突が控えられるという見方でBTC上昇
1月20日 ロシア中銀が暗号資産の*マイニングと流通の禁止を提案

*マイニングとは:暗号資産(仮想通貨)は一般的にブロックチェーンと呼ばれるネットワーク参加者が誰でも見られる元帳上に取引を記録していきます。そのブロックチェーン上に取引データを記録する際に、膨大な計算を行うことで新たなブロックを生成する暗号を見つけ出し、その報酬としてコインを手に入れる行為のことです。マイニングの主な役割は「暗号資産の新規発行」と「取引の承認」です。

**BlockFiとは:暗号資産融資プラットフォームBlockFi(ブロックファイ)が提供する暗号資産を預かって利息を払うサービス(レンディング)が証券法に違反したと提訴された事件に関する和解として、SEC(米国証券取引委員会)に1億ドル(約115億円)を支払うと発表。

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