下落する日経平均!企業業績にも影?
日経平均株価は8月に2万9,000円を付けたと思ったら、一転して足もとでは2万6,000円台の動きとなっています。米国においては政策金利がさらに上がり、景気後退の声も聞こえてきています。
一方で、日本企業の業績はどうかというと、特にグローバル企業においては円安効果もあって、全体としては悪化していない状況にあります。ただ、私が景気循環を捉える上でみている指標からは、業績悪化が近いことを示唆するものが出ているので、今回、その指標についてお伝えをしていきたいと思います。
まず、私は、株式市場の動きを景気循環で捉えています。不況の中で株価が上昇し始め、景気回復から拡大にかけて大きく上昇、景気が拡大している中で株価は下げ始め、景気後退で下落し、不況を迎えるという循環で、おおむね3年半のサイクルで繰り返しています。
(図1)景気循環に伴う株価のイメージ
(図1)のように、おのおのの局面を独自分析に基づいて「春」「夏」「秋」「冬」という季節になぞらえていて、それぞれの季節における日経平均の動きの特徴は、次のようになっています。
- 「春」…上昇する時期
- 「夏」…上昇する時期
- 「秋」…上がったり下がったりしながら、横ばいもしくは徐々に下げていく時期
- 「冬」…前半は大きく下げやすく、後半は底値圏を上がったり下がったりの横ばいで動く時期
現在は、分析上「秋」となっていて、「秋」から「冬」に変わるタイミングは独自分析している日経平均の予想EPS(1株当たり利益)で計っています。
(ご参照:2022年6月16日掲載「日経平均どうなる?年内は良くて横ばい。その根拠とは?」)
工作機械受注額から予測する「冬」への移行タイミング
「秋」から「冬」に変わる時期あたりで出てくる別の指標があって、その指標が今、「冬」が近いことを示唆しています。その指標とは、「工作機械受注額(3カ月平均)増減率(前年比)」です。
(グラフ1)景気循環と工作機械受注額増減率、日経平均株価との関係(2013年1月~2022年8月)
2015年において、工作機械受注額増減率がマイナス転換した時期は、「秋」から「冬」に移行した時期と同じ8月となっています。2018年においては、工作機械受注額増減率がマイナス転換した時期は11月、「秋」から「冬」に移行した時期は9月となっています。
この2回においては、工作機械受注額増減率がマイナス転換した時期と、「秋」から「冬」に移行する時期はほぼ同時期か、「秋」から「冬」に移行する時期のほうが少し早いという形になっています。
現時点では、工作機械受注額増減率はまだマイナスになっていませんが、この先を予測すると、11月にはマイナス転換するのではないかと想定しています。
そうだとすると、11月ごろか、その前に「秋」から「冬」に移行することが想定され、分析上、企業業績の悪化のシグナルが出たら「冬」への移行となるため、企業業績の悪化が近い、足音が近づいてきていると考えています。
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