米連邦公開市場委員会

 9月21日に閉会したFOMC(米連邦公開市場委員会)では大方の予想通り0.75%の利上げが発表され政策金利は3.00~3.25%になりました。

経済予想サマリー

 声明文とともに発表されたSEP(経済予想サマリー)によるとFRB(米連邦準備制度理事会)メンバーの今年末のフェデラルファンズ・レートのコンセンサス予想は4.4%に上昇しました。

 これは市場参加者が織り込んでいた予想に近い数字です。その意味でFRBは市場参加者のコンセンサスにようやく追いついたと言えるでしょう。

 次にFRBメンバーによる今年のGDP(国内総生産)予想を見ると0.2%成長が予想されています。

 つまり繰り返し行われてきた利上げが実体経済に悪影響をもたらし始めているということです。

 しかし経済全体としては減速が見えているにもかかわらず労働市場だけは未だ異常に強いです。求人数対求職者数は2:1に近く、労働市場は過熱しています。そのことは賃金インフレが起こりやすいことを示唆しています。

 今回のFOMC記者会見で最も印象に残ったのは、この「ちぐはぐな労働市場」をどう冷やす? という問題にFRBが苦慮している点でした。

 FRBメンバーによる失業率の予想を見ると、来年、失業率は4.4%に上昇すると予想されています。

 失業率はもちろん低ければ低いほど良いのですけれど、この程度の雇用市場の悪化はインフレを抑え込むためにはやむを得ないというのがFRBからのメッセージというわけです。

 FRBは究極的にはPCEコアインフレ率を2%にもってゆきたい考えです。

 しかし今年末の予想は4.5%でありFRBが下院から要求されているターゲットの2%に比べると大幅にオーバーシュートしてしまっています。来年末でも3.1%ということで理想の数字と程遠いです。

 このことはとうぶんの間、FRBは引締め的な金利政策を堅持する必要があることをほのめかしています。

まとめ

 今回のFOMCは大方の予想通りでサプライズに乏しかったです。しかしパウエル議長は今後の金利政策は物価統計次第というスタンスを普段以上に強調しました。その関係でFRBが目先のCPI(消費者物価指数)の発表に振り回されているという印象が残る会合だったと思います。

 してみれば我々投資家も注目すべきは毎月のCPIの数字でありFRBが発するメッセージには心が休まる要素は乏しかったという事だと思います。