2022年上期は減収減益、地方財政の悪化によるヘリ販売の不振が直撃

現地コード 銘柄名
02357

中国航空科技工業

(アビチャイナ)

株価 情報種類

3.67HKD
(9/6現在)

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 中国政府系の航空機メーカー、アビチャイナの2022年6月中間決算は、売上高が前年同期比7.5%減、純利益が3.8%減という期待外れの結果となった。航空機(完成機)部門の36%の減収、87%の減益が最大の業績悪化要因。同社製ヘリコプターの主な買い手の一つである地方政府が、土地売却収入の低迷で財政難に直面していることが痛手となった。BOCIは短期的なヘリの売れ行き改善は期待薄とみて、2022-2024年の利益見通しを減額修正。2022年の低実績や買収資産の連結化を考慮した上で、2023年には正常な収益成長トレンドを回復するとの見通しを示した。ヒストリカル平均並みのフォワードPER(株価収益率)13.9倍をあてはめて目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 中国の航空機産業は地方政府の財政難により打撃を受けている。同社製ヘリの主な買い手は地方政府と軍。中国の国防予算は堅調に推移しているが、地方財政は土地売却収入の落ち込みを受けてひっ迫しており、上期には主力製品であるヘリの売上高と純利益の落ち込みが業績全体の足を引っ張る形となった。事業別の売上構成比は、航空機(完成機)、航空機装備システム、エンジニアリングサービスがそれぞれ24%、62%、14%。この3事業部門の売上高は前年同期比36%減、9.9%増、0.2%減。ヘリ販売の不振が完成機部門の最大の業績悪化要因となった。

 上期の粗利益率は23.7%。製品構成の変化により、前年同期の21.5%から改善した。販売管理費は前年同期比8.1%増。純利益は3.8%減少したが、部門別では航空機が87%の大幅減益。装備システムとエンジニアリングサービスの28.5%、12.7%の増益が航空機の不振をカバーした。

 同社は海外市場の開拓に動いているが、この努力が成果を挙げるまでには時間がかかる可能性が高い。また、新規受注の獲得を目指し、新型ヘリ「AC352」の開発を進めているものの、BOCIは深刻な不動産不況を理由に、依然として地方の財政難による悪影響を懸念。土地売却収入が回復するかが、この先の地方予算を左右するとみている。

 BOCIは2022年の予想売上高を7.5%減額する半面、2023年、2024年の予想をそれぞれ5.2%、5.3%増額修正。純利益についても、2022年予想を3.8%引き下げる半面、その後2年の予想を5%、5.1%増額した。現時点のファンダメンタルズ見通し(国防予算の積み増し要素を除外)を考慮した上で、ヒストリカル平均値並みの予想PER13.9倍をあてはめて目標株価を下方修正したものの、一定の上値余地を指摘。株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。

 一方、BOCIはレーティング面でのリスク要因としても、短期的には地方政府予算の回復が期待しにくい点を挙げている。