一口に赤字といってもいろいろなタイプが

 皆さんは銘柄選びの際、どんな点に注目しているでしょうか? チャートの形状、旬のテーマに合致しているか、あるいは急落して売られすぎたところをリバウンド狙い、という人もいることでしょう。

 そんな中でやはり王道なのが、ファンダメンタル分析。つまり、企業業績を分析して将来株価が上昇しそうな銘柄を選ぶことでしょう。

 では、ファンダメンタル分析をする際、皆さんは赤字になっている銘柄を選びますか?

「いやいや、さすがに赤字銘柄の株価は上昇しないだろう」と思って敬遠するケースが少なくないと思いますが、実は一口に赤字と言ってもいろいろなタイプがあります。それを踏まえた上で銘柄選びをしないと、単に赤字と言うだけで毛嫌いして、将来有望な銘柄を見落としてしまうかもしれません。

 そこで今回は、赤字のタイプを3種類お伝えし、それぞれのタイプ別の考え方をご紹介したいと思います。

■赤字の3タイプ
タイプ1:売上高は毎年伸びているが赤字続き
タイプ2:赤字続きで売上高が横ばいか減少傾向
タイプ3:その年により赤字だったり黒字だったりする

タイプ1:売上高は毎年伸びているが赤字続き

 売上高は年々伸びているものの、赤字続きという銘柄です。実は、このタイプは「成長株」に属します。

 一般的に、成長株と言えば売上高も利益も年々伸びている銘柄、とイメージすると思いますが、成長の初期段階にある企業は、売上高こそ順調に伸びているものの、利益はずっと出せずに赤字、というケースも少なくありません。

 将来の売り上げや利益のための種まき、先行投資をすることにより、目先は赤字が続くからです。

 その後順調に売上高が伸びていくと、やがて損益も赤字から黒字に転換し、最終的には売上高も利益も年々伸びていくことになるのです。

 ですから、赤字続きでも売上高が年々大きく伸びている銘柄は、将来の成長株候補として位置づけられるので、投資対象としては面白いと思います。ただ、中には赤字続きの状況で売上までもが伸び悩んでしまい、いつまでも業績が低迷してしまう、という銘柄もありますので、株価が下がり続けているような場合は注意するようにしましょう。

タイプ2:赤字続きで売上高が横ばいか減少傾向

 毎年赤字が続いているという点はタイプ1と同じですが、売上高が伸びているのではなく横ばいもしくは減少傾向にあるという点が異なります。

 売り上げというのは、利益の源泉です。売上高を伸ばさなければ利益も伸びないですから、売上高が伸びず、さらに赤字続きということは、かなり業績が悪いことが読み取れます。

 将来、売上高が伸びて黒字転換するなら別ですが、赤字続きで売上高も伸びていないような銘柄は倒産リスクも高いため、要注意です。

 特に、有価証券報告書や決算短信に、「継続企業の前提に関する疑義の注記」や「継続企業の前提に関する重要事象」の記載がある銘柄は、他の銘柄より倒産リスクが高いため、一層の注意が必要です。

 これに該当する銘柄は、例えば会社四季報の各銘柄のコメントに記載がありますし、巻末に該当銘柄のリストが掲載されています。必ずチェックするようにしましょう。

 また、新薬開発を行っているバイオ関連銘柄も、赤字続きで売り上げが伸びない典型例です。新薬が実際に開発されれば売上高や利益の爆発的伸びが期待できますが、そうなる前に資金繰りに窮して破たんしてしまうケースもあり得ます。

 実際、継続企業の前提に関する疑義の注記や重要事象の記載がある銘柄もありますので、倒産リスクには十分注意しましょう。

タイプ3:その年により赤字だったり黒字だったりする

 その年により赤字だったり黒字だったりと、業績の変動幅が大きい銘柄です。これらは俗にいう「景気敏感株」です。例えば鉄鋼や化学、海運、半導体といった銘柄が該当します。

 景気敏感株は、景気が良ければかなり利益を上げることができますが、逆に景気が悪いと利益が大きく減少し、赤字になることもよくあります。時には、大幅な黒字の翌年に大赤字、といったことも起こります。

 このような景気敏感株は、業績の変動につれて、株価も大きく上下に動きます。したがって、株価が下落を続けているようなときは手出しをしない方がよいですが、上昇に転じたら買うようにすれば、大きな利益をもたらしてくれることも結構あります。

 特に、株価は先見性があるため、損益が赤字で業績がどん底、という状態で株価は底打ちし反転上昇します。ですから、景気敏感株が赤字ということは、逆にそこから株価が上昇に転じる時期が近いかもしれないといえるのです。

 無論、景気敏感株の中でも業績が長期間低迷するような銘柄もありますから、あくまでも株価が上昇している間だけ保有し、下落に転じたらいったん売却しておくようにするのが安全です。

 赤字銘柄をひとくくりにするのではなく、上記の3タイプのうちどれに該当するか、特徴を見極めた上で投資すべきかを判断するようにしてください。

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