2022年上期決算は予想上振れ、水素エネルギー製品などが成長エンジンに

現地コード 銘柄名
03899

中集安瑞科

(シーアイエムシー・エンリック・ホールディングス)

株価 情報種類

7.68HKD
(8/26現在)

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 中国の気体・液体輸送用設備メーカー、中集安瑞科の2022年6月中間期の純利益は前年同期比15%増の4億3,900万元と、BOCIの予想から7%上振れた。化学・環境部門(主に化学品輸送設備の製造販売)がけん引した。期末の受注残高は前年同期を42%上回り、この先の成長を支える見込み。また、今後は欧州の天然ガス・サプライチェーンの変化が新たなビジネス機会につながる可能性が高い。BOCIは水素エネルギー製品や、最近発売したばかりのEV(電気自動車)バッテリー用電解液向けのタンクコンテナが成長エンジンになるとの見方。2022-2024年の予想EPS(1株当たり利益)を0.1-4.5%増額修正するとともに、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 株主報酬の償却などの特別項目を除くコア利益は前年同期比35%増。好決算が際立った科学・環境部門では、海外での旺盛な需要を背景に売上高が67%増加した上に、人民元安とスケールメリットで粗利益率が20.7%(前年同期14.6%)に改善。部門営業利益は137%増の5億2,800万元を記録し、他2部門の営業減益を十二分にカバーした。

 上期の新規受注額は前年同期比17%増。これにより、6月末の受注残は42%増の173億元に達し、この先の成長に向けた基盤が整った。

 パイプライン経由のロシア産天然ガス輸入の大幅減を受け、欧州はLNG(液化天然ガス)の代替輸入先を模索中。年間総容量にして6,000万トン規模の多数のLNGターミナルの建設を計画している。BOCIはこれがターミナル建設向けEPC(設計・調達・建設)ビジネスだけでなく、LNGタンクや各種サイズのトレーラーの供給という点でビジネス機会につながると指摘。同社が遠からず、関連受注を獲得するとみている。

 一方、水素エネルギー製品は長期の成長エンジンとなる見込み。上期の売上高は前年同期比175%増の1億7,000万元に達した。国内受注だけでなく、マレーシアのライトレール・プロジェクト向けに水素ボンベおよび関連システムを受注。香港のシティバス向けのパイロットプロジェクト向けにも、同じく水素ボンベを供給している。

 最近ではEV電池向け電解液を輸送するためのタンクコンテナを発売(輸送中に低温を保つ必要がある)。すでに米テスラや国内電池メーカー向けに販売した。この製品も今後の成長のけん引役となる可能性が高い。

 BOCIは利益見通しの上方修正に伴い、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。目標算出ベースは2022-2024年のPEGレシオ1.1倍(PEGレシオは株価収益率÷1株当たり利益成長率)で、新たな目標株価は2022年予想PER(株価収益率)で20.7倍相当となる。一方、BOCIはレーティング面の潜在リスク要因として、クリーンエネルギー部門(ガスや水素などの貯蔵・輸送設備)の利益率の改善が進まない可能性、水素関連製品の出足が鈍る可能性を挙げている。