2022年上期に大幅増益、日本の原発再稼働が追い風もウクライナ情勢を懸念

現地コード 銘柄名
01164

中廣核礦業

(CGNマイニング)

株価 情報種類

1.08HKD
(8/26現在)

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 中国広核電集団傘下のウラン商社、中廣核礦業の2022年6月中間決算は、純利益が前年同期の約10倍に当たる3億5,500万HKドルと、事前に発表した業績見通しに沿った数字となった。主にウラン価格の上昇や予想を超えるウラン取引利益が大幅増益を支えた要因。BOCIは日本の原発再稼働がウラン需要や投資心理へのさらなる恩恵につながるとみている。上期の取引利益の上振れを反映させる形で、2022年通期の利益見通しを25%増額修正。2024年に関しては、合弁パートナーであるカザフスタンの有力ウラン生産者、カザトムプロム(KAP)の生産目標の発表を受け、利益見通しを5%下方修正したものの、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく中廣核礦業の目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 上期の好決算は主に、ウラン取引利益(引受契約に基づく販売分を含む)1億100万HKドルと、合弁会社・関連会社利益2億4,800万HKドルの計上によるもの。BOCIは中核の採鉱事業と引受販売事業の大幅増益は予想通りだったとしながらも、第三者取引事業の利益貢献がEBIT(利払い・税引き前利益)ベースで推定8,000万HKドルに達したことはポジティブサプライズだったとしている。

 ウラン業界においては原発利用に対する日本の積極姿勢が追い風。岸田文雄首相は24日、来夏以降に原発7基の追加再稼働を目指すとともに、次世代型原発の新設を検討する方針を明らかにした。また、日本は過去数年間に、原発33基のうち10基を再稼働させている。この分のウラン需要の上乗せは価格の上昇を後押しするとともに、在庫減による二次供給の縮小につながる可能性が高い(二次供給はウラン鉱山で直接採掘される天然ウランではなく、民事用・軍事用の備蓄分や使用済燃料の再処理後の回収分など)。

 一方、ウクライナのザポロジエ(ザポリージャ)原発を取り巻く情勢は、重要なダウンサイドリスクとなり得る。原子炉6基を備えた欧州最大級の同原発はロシア軍に占拠されており、国際社会はその影響を強く警戒している。原発への砲撃だけにとどまらず、ウクライナの送電網から切り離されたとの情報もあり、仮に冷却システムが適切に作動しなければ重大な危険につながる可能性もある。BOCIはザポロジエ原発問題が原発の「ルネサンス」(再生・復興)に、長期的に暗い影を落とす可能性を指摘している。

 BOCIは中廣核礦業の2022年の利益見通しを25%引き上げる半面、2024年の利益見通しを5%引き下げたが、これは合弁パートナーのカザフスタン国営原子力公社KAPがこのほど、2024年のウラン生産目標を2万5,000-2万5,500tU(金属ウラン重量トン)に設定したことが理由。この目標値は2023年目標を10%上回るものの、フル稼働には届かず、BOCIは従来の想定値を10%下方修正した。目標株価を2023年予想PER(株価収益率)15倍相当に引き上げた上で、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。