はじめに
今回のアンケート集計期間は4月26日(月)~4月28日(水)です。『楽天DI』の集計開始以来、最高に強気という結果となった前回の結果を受けて始まった4月の株式市場は、その集計結果を見事に反映するような展開で月初を通過しましたが、一方でギリシャ問題が相変わらず燻り続ける状況が続いたため、天候不順な今年の春の空と同じように、時に冬に逆戻りのような展開が続きました。そして時は決算シーズン、市場の見通しはどのように変わったのか、今回も興味深い内容となりました。今回の楽天DIの集計結果も、皆さまの今後の投資のご参考にして頂ければ幸いです。
楽天投信投資顧問株式会社 代表取締役社長 大島和隆
1.日経平均の見通し
個人投資家の見方「短期はややトーンダウンするも、中期見通しは好業績期待を背景に強気ほぼ変わらず。」
Q1: 4月26日と1カ月後の日経平均の見通し DI= +21.28
(3月29日と1カ月後の日経平均の見通し DI= +28.25)
Q2: 4月26日と3カ月後の日経平均の見通し DI= +23.60
(3月29日と3カ月後の日経平均の見通し DI= +23.71)
今回の基準日となった2010年4月26日の日経平均株価の終値は11,165.79円です。楽天DI集計開始後最高値(強気)となった前回集計時の3月29日との比較で最も注目されるのは日経平均株価が心理的節目となりやすい1,000円単位の大台変わりである11,000円を超えていることです。10,999円と11,001円ではわずかに2円しか違いがないのですが、不思議なくらい大台替わりのところで指数は揉み合う傾向があります。じつは今回この大台を引値ベースで最初にクリアしたのは3月30日ですが、そのくらい強いセンチメントがないと台替わりし難いものであり、一度してしまうとあまり節目として意識しなくなるという典型的な一カ月間であったと思われます。
株価はその後ギリシャ問題の再燃や、それに伴う円高の影響などもあり、やや弱含みますが、結局は11,000円の水準を取り戻してきております。その背景にあるのは4月中旬以降に始まったCY2010年第1四半期の米国企業の決算発表や、4月下旬以降に始まった日本企業の2010年3月期決算企業業績の発表が好調であり、かつ上方修正期待が高いことによるものだと思われます。ただ逆にギリシャ問題が燻り続ける限り、なかなか気持ち良い五月晴れも望みにくいということなのかも知れません。
中期DIが示唆する3カ月先は7月末となりますが、先々の強気見通しは変わらないものの、5月中を見渡す短期DIがやや低下したあたりにそれが表れているように思われます。ギリシャ問題の差しあたっての決着は5月19日に期日が来るギリシャ国債の大量償還・借換えがスムーズに行われるかということですが、ここを跨ぐまでは市場の疑念も払拭されないようです。ただ同期間において、3月期決算の決算発表が峠を越えるため、それらを踏まえた見通しを考えると、やはり過去2番目となる強気水準が市場参加者の間で維持されたというのは心強い限りです。
2.為替相場の見通し
ドル/円 | ユーロ/円 | 豪ドル/円 | |
---|---|---|---|
4月26日 | DI=+33.48 | DI=+1.87 | DI=+26.80 |
3月29日 | DI=+37.33 | DI=+9.36 | DI=+31.06 |
調査時点の円/ドルは94.07円、円/ユーロは125.72円です。いよいよギリシャがEUとIMFに金融支援を要請する(緊縮財政を強いられることを飲んだということを意味します)一方で、ドイツ世論はなお反支援の姿勢が強く、独メルケル首相が支援に対して慎重なコメントをする度に市場は動揺するという感じでもあります。債券市場の方はこうしたEU諸国内の足並みの揃わなさを見透かしたように、ギリシャ国債の売りが優勢となり同国の金利上昇を招き続けています。先月には1桁であった国債金利が軒並み2桁になっているあたりに債券市場の不信感が見てとれます。
為替は株式市場の動向よりも金利・債券市場の動向をより濃く反映しますが、こうした流れを映してユーロへの先安観は集計直前に123円台や124円台を見た後でもなお強いのは注目に値します。ユーロという通貨そのものへの信認が低下していることの表れだと思います。
一方で、対ドルでは円安見通しが強い状況が続いています。前述の金利・債券市場の動向で言えば、日本の金利は低位安定のまま、むしろギリシャ問題の中で日本国債は逃避先のひとつと考えられている(ちょっと不思議なのですが……)ので債券が買われて長期金利も低位安定しています。対する米国については、企業業績もさることながら、住宅関連統計も、雇用の状態も改善傾向にあることが確認されるにつけ金利は出口戦略を求めて上昇する方向性にあり、金利差拡大の視点からも円安傾向を見ている人が多いようです。FOMC(連邦公開市場委員会)の結果ではゼロ金利政策はまだしばらく続くということになっていますが、米国債市場の方では総じて金利上昇を見込む考え方の方が強くなっていることが背景にあります。
そして、世界経済の回復の流れに乗って原油価格が上昇傾向であることが端的に示しているのですが、やはり資源を持つ資源国通貨に対しても円は弱含むことが予想されているようです。
3.今後注目する投資先
(複数回答)
今回 | 前回 | 差 | |
---|---|---|---|
アメリカ | 22.26% | 22.43% | ↓ △0.17% |
EU諸国 | 7.93% | 9.36% | ↓ △1.43% |
ブラジル | 45.15% | 45.14% | ↑ 0.01% |
ロシア | 11.40% | 9.72% | ↑ 1.68% |
インド | 46.57% | 47.59% | ↓ △1.02% |
中国 | 47.37% | 43.69% | ↑ 3.69% |
中東・北アフリカ | 9.71% | 6.63% | ↑ 3.08% |
東南アジア | 26.27% | 26.79% | ↓ △0.52% |
中南米 | 9.08% | 8.54% | ↑ 0.55% |
東欧 | 3.38% | 4.09% | ↓ △0.70% |
前回の集計では、指数が大きく落ち込んだ中国市場ですが、再び注目する投資先の第一になってきました。5月1日からの上海万博開催の好影響を期待しているというよりは、4月に入って上海総合株指数などもだいぶ調整したこともあっての見直しだろうとは思いますが、先日出張してこの目で見てきた上海の状況(4月21日~23日)と照らし合わせても、投資対象として「注目すべき場所」というのは共通する実感です。市場には中国の不動産バブルなどを指摘する声が多いことも承知していますが、日本の80年代~90年代のそれとも、あるいはサブプライム問題の元凶となった米国の住宅市場問題とも違ったストーリーだということです。共通していることは「不動産価格が上昇している」ということだけかも知れません。今回のポイント回復は、当然の流れのように思えてきます。
その一方で、当然と言えば当然ですがEU諸国の注目度は低下しています。過去最低ではないですが、再び8%を割れてきました。一方で、インドとブラジルの人気は安定している感じです。市場の注目は引き続き新興国市場に集まってきました。
4.今後注目する投資商品
(複数回答)
今回 | 前回 | 差 | |
---|---|---|---|
国内株式 | 67.32% | 70.57% | ↓ △3.25% |
外国株式 | 29.47% | 29.61% | ↓ △0.13% |
投資信託 | 36.51% | 32.15% | ↑ 4.36% |
ETF | 17.81% | 18.44% | ↓ △0.63% |
FX(外国為替証拠金取引) | 18.79% | 18.53% | ↑ 0.26% |
国内債券 | 6.32% | 4.72% | ↑ 1.60% |
海外債券 | 13.54% | 11.26% | ↑ 2.27% |
金 | 15.94% | 15.89% | ↑ 0.04% |
原油 | 7.39% | 5.18% | ↑ 2.21% |
商品 | 2.67% | 4.72% | ↓ △2.05% |
REIT | 11.67% | 9.08% | ↑ 2.58% |
CFD | 4.10% | 4.81% | ↓ △0.72% |
今回最も注目を集めたのは投資信託、前月比+4.36%となって36.51%となりました。あわせて注目度アップの金融商品にREIT、海外債券、国内債券という利回り重視型のものが並ぶところを見ると、ギリシャ問題などイベント・リスクを踏まえてやや保守的な運用を目先志向する感じが出てきているのかも知れません。国内株式やETFなど価格変動リスク・イメージが強いものが敬遠された感じがあるのも気になるところです。
また面白いのは、「商品」という全般的な括りにしてしまうと注目度が落ちたにも関わらず、一方でこのところ値上がりが著しい原油については注目度合いが上がっているということです。金の注目度合いは横ばいですから、いかに原油だけ注目されているかが解ります。原油価格の上昇はガソリン価格の上昇などへ直結するため消費への影響が高く、その意味でもこの点に注目が集まっているというのは、やや今後を考える上で気掛かりなデータではあります。
「DI(Diffusion Index)」とは
景気判断に用いられる諸指標を選定し、現状認識がどちらの方向に向いているかを示す指数。『楽天DI』では、日銀短観と同じ計算方法を採用し、「(強気回答数-弱気回答数)÷全回答数×100」、「(円安回答数-円高回答数)÷全回答数×100」で算出いたします。
【各指標の見方は以下の通りです。】
日経平均 DIがプラス→強気、DIがマイナス→弱気
為替 DIがプラス→円安、DIがマイナス→円高
すべての回答が中立だった場合、DIは0となります。
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- 株式等の取引にかかるリスク
- 株式等は、株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、株価指数連動型上場投資信託(ETF)は、連動を目指す株価指数等の変動等により損失が生じるおそれがあります。
- 信用取引は、信用取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、信用取引は少額の委託保証金でその委託保証金の額を上回る額の取引をおこなうことができ、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は、差し入れた委託保証金を上回るおそれがあります。
- 株式等の取引にかかる費用等
- 国内株式の委託手数料は、原則1カ月ごとに「ワンショットコース」と「いちにち定額コース」の2コースから選択することができます。
- ワンショットコース(現物取引):
- 1回の約定代金が10万円まで145円/1回、20万円まで194円/1回、50万円まで358円/1回、100万円まで639円/1回、150万円まで764円/1回、3,000万円まで1,209円/1回、3,000万円超は1,277円/1回。いずれも税込み。
- ワンショットコース(信用取引):
- 1回の約定代金が30万円まで262円/1回、30万円超は472円/1回がかかります。いずれも税込み。
- いちにち定額コース(現物取引・信用取引共通):
- 1日の約定代金合計が50万円まで450円/1日、100万円まで900円/1日、200万円まで2,100円/1日がかかります。以降、1日の約定代金合計が100万円増えるごとに1,050円追加されます。取引のない日は手数料がかかりません。1日の約定代金合計は信用取引と合算して計算いたします。いずれも税込み。
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- カスタマーサービスセンターのオペレーター取次ぎによるお取引は、別に定める手数料体系が適用されます(現物取引:最大4,725円/1回、信用取引:最大3,622円/1回(いずれも税込み)。
- PTS取引(夜間取引)は、お客様が選択されているコースにかかわらず1回の約定代金が50万円まで472円/1回、100万円まで840円/1回、150万円まで1,050円/1回、150万円超は1,575円/1回がかかります。いずれも税込み。
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