はじめに

今回のアンケート集計期間は3月29日(月)~3月31日(水)です。年度末特有の需給悪化、あるいは燻り続けるギリシャ問題など決して楽観視できる環境ではありませんでしたが、一方で年度初めからの日経平均株価の上昇率が37%にもなるということで、多くの機関投資家にとってドレッシング(お化粧買い)などの寝技が必要ない水準となり、市場は意外とすんなり11,000円台を達成して年度末を迎えました。そんな月末・年度末の中でアンケートをお願いしました。今回の楽天DI集計結果も、皆さまの今後の投資のご参考にして頂ければ幸いです。

楽天投信投資顧問株式会社 代表取締役社長 大島和隆

1.日経平均の見通し

個人投資家の見方「楽天DI集計開始(2008年10月)以後、短期・中期ともに最強気を記録!」

Q1: 3月29日と1カ月後の日経平均の見通し DI= +28.25
(2月22日と1カ月後の日経平均の見通し DI= △2.08)
Q2: 3月29日と3カ月後の日経平均の見通し DI= +23.71
(2月22日と3カ月後の日経平均の見通し DI= +10.68)

今回の基準日となった2010年3月29日の日経平均株価の終値は10,986.47円です。リーマン・ショック直後の2008年10月に開始した『楽天DI』の歴史の中で、最も高い株価水準の中でアンケートをお願いしたからということも考えられますが、1カ月見通し、3カ月見通しともにDIは最高値となりました。つまり過去最も強気な状態だということです。さらに言えば、1カ月見通しのDIについては2桁になることさえ初めてであり、いかに現時点における個人投資家マインドが盛り上がっているかを示していると思われます。これを裏付けるかのように日経平均株価はその翌日から11,000円台を超えて来ましたし、売買代金も一時期の超低迷水準から回復軌道に乗ってきた感じです。

いくつか理由があると思いますが、その大きな要因の一つは次項で説明する為替見通しにあると思われます。じつはドル円見通しについても、過去最も円安見通しに傾いていることを示すDI結果となっています。背景として、もうひとつ考えられるのは年度末、期変わり後のバリュエーション水準の低下見通しがあると思われます。4月以降は2010年3月期ではなく、基本的には2011年3月期の収益見通しに基づくバリュエーションに変わりますが、現在のPERが30倍台のレベルから17~18倍台へと低下することが予想されており割高感が急速に低下するということが考えられます。

ただ一方で市場を取り巻く環境を冷静に見渡すと、日本のデフレ見通しは引続き継続しており、さらには5月危機説も取り沙汰されるような政治状況など楽観論に一気に傾けられるほど安穏とした状態ではないと思っています。とはいえ、通常の年度末は決算期末特有の需給が発生し、市場参加者の多くが慎重論に傾きやすい季節のアノマリーの中で、このような結果が出たことを市場関係者としては素直に喜びたいのも事実です。

2.為替相場の見通し

  ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
3月29日 DI=+37.33 DI=+9.36 DI=+31.06
2月22日 DI=+18.25 DI=△1.63 DI=+20.92

調査時点の円/ドルは92.63円、円/ユーロは125.03円です。前回(2月22日)と定点比較すると対ドルは1.15円の円安、対ユーロは0.28円の円安に過ぎなくも見えますが、この間にドルは88円台前半、ユーロは120円台前半までいったん円高が進んでいますので、そこからの変動を考えるとアンケート時点は随分と円安に動いた感じがします。

背景にはギリシャ問題の再燃によりいったんは円がすべての避難先になったということもあるのですが、その後円よりドルが強くなり、3通貨の力関係が変わってきた流れがあります。ドル金利が上昇し始めたということが背景にありますが、最弱通貨がユーロであることは変わりなくとも、円の評価が少なくとも対ドルでは弱くなったことは注目に値します。今回のDIの結果はこれを素直に反映したものと思われ、対ドルでの円安見通しは前述の通り過去最高になります。

対ユーロについては、市場はまだ半信半疑なのかも知れません。ギリシャ問題が決着しそうな情報は聞こえてくる一方で、実際にギリシャ国債が4-5月に約200億ユーロ償還期限を迎えてみないと確信を持てないというのも事実だからです。実際、このところ発行された同国債の利回りスプレッドを見ると、少なくとも国際債券市場ではこの問題が解決したとは認めていない状況が垣間見えます。この点は引続き注目すべきポイントと考えています。

3.今後注目する投資先

(複数回答)

  今回 前回
アメリカ 22.43% 19.29% 3.14%
EU諸国 9.36% 6.97% 2.39%
ブラジル 45.14% 46.29% △1.15%
ロシア 9.72% 8.61% 1.11%
インド 47.59% 45.10% 2.49%
中国 43.69% 52.08% △8.39%
中東・北アフリカ 6.63% 5.19% 1.44%
東南アジア 26.79% 29.97% △3.18%
中南米 8.54% 7.72% 0.82%
東欧 4.09% 2.37% 1.72%

「楽天・チャイナファンドシリーズ」を発表したばかりの運用会社の社長という立場からすると、今回の「今後、注目する投資先」としての中国の人気低落ぶりを見ると穏やかではありません。中国に対する注目の度合いは1年振りの低水準にまで低下しました。全体的には新興国市場へのスタンスが引き気味になる中で、アメリカやEU諸国の注目の度合いが高まっているのが特徴です。米国の注目の度合いが20%を回復したのは昨年8月以来であり、最近の米国経済への見通しなどを市場参加者も徐々に信じ始めていることが見てとれます。

4.今後注目する投資商品

(複数回答)

  今回 前回
国内株式 70.57% 68.55% 2.02%
外国株式 29.61% 28.93% 0.68%
投資信託 32.15% 31.60% 0.55%
ETF 18.44% 18.55% △0.11%
FX(外国為替証拠金取引) 18.53% 21.36% △2.83%
国内債券 4.72% 6.53% △1.81%
海外債券 11.26% 11.57% △0.31%
15.89% 17.95% △2.06%
原油 5.18% 5.34% △0.16%
商品 4.72% 4.90% △0.18%
REIT 9.08% 8.46% 0.62%
CFD 4.81% 5.19% △0.38%

特徴と言えば、国内株式への注目の度合いがやや高まったということがポジティブな印象で、一方FX(外国為替証拠金取引)の人気低下傾向がハッキリしてきた感じも見てとれます。為替見通しが全般に円安になったということを映しているのか、それともレバレッジ規制が今年の8月から厳しくなることを先取りした動きなのかは定かではありませんが、今月最も大きく注目度が低下したのはFX(外国為替証拠金取引)となりました。また金への注目度合いの水準も昨年8月以来の水準となり、投資国や投資分野など全般的に市場の嗜好が変わりつつある印象を受けています。

「DI(Diffusion Index)」とは

景気判断に用いられる諸指標を選定し、現状認識がどちらの方向に向いているかを示す指数。『楽天DI』では、日銀短観と同じ計算方法を採用し、「(強気回答数-弱気回答数)÷全回答数×100」、「(円安回答数-円高回答数)÷全回答数×100」で算出いたします。
【各指標の見方は以下の通りです。】
日経平均 DIがプラス→強気、DIがマイナス→弱気
為替   DIがプラス→円安、DIがマイナス→円高
すべての回答が中立だった場合、DIは0となります。

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株式等の取引にかかるリスク
株式等は、株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、株価指数連動型上場投資信託(ETF)は、連動を目指す株価指数等の変動等により損失が生じるおそれがあります。
信用取引は、信用取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、信用取引は少額の委託保証金でその委託保証金の額を上回る額の取引をおこなうことができ、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は、差し入れた委託保証金を上回るおそれがあります。
株式等の取引にかかる費用等
国内株式の委託手数料は、原則1カ月ごとに「ワンショットコース」と「いちにち定額コース」の2コースから選択することができます。
ワンショットコース(現物取引):
1回の約定代金が10万円まで145円/1回、20万円まで194円/1回、50万円まで358円/1回、100万円まで639円/1回、150万円まで764円/1回、3,000万円まで1,209円/1回、3,000万円超は1,277円/1回。いずれも税込み。
ワンショットコース(信用取引):
1回の約定代金が30万円まで262円/1回、30万円超は472円/1回がかかります。いずれも税込み。
いちにち定額コース(現物取引・信用取引共通):
1日の約定代金合計が50万円まで450円/1日、100万円まで900円/1日、200万円まで2,100円/1日がかかります。以降、1日の約定代金合計が100万円増えるごとに1,050円追加されます。取引のない日は手数料がかかりません。1日の約定代金合計は信用取引と合算して計算いたします。いずれも税込み。
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