はじめに
今回のアンケート集計期間は1月25日(月)~1月27日(水)です。前週末22日(金)のオバマ・ショック(新金融規制案の発表)の影響を含め米国NYダウが連日の下落、さすがに日本市場もその影響を受けざるを得ないだろうと思われた週明けからの集計でしたから、やはり結果にその影が反映されているように思われます。オバマ大統領が就任演説を行ってからほぼ丸一年、市場に参加する個人投資家の皆さんはこの先をどう考え、何に注目されているか? 2010年2回目の個人投資家サーベイ「楽天DI」をお届けします。
楽天投信投資顧問株式会社 代表取締役社長 大島和隆
1.日経平均の見通し
個人投資家の見方「短期DIが、再びマイナスで市場の下落を覚悟するものの、3カ月先については現状水準を維持との見方」
Q1: 2010年1月25日と1カ月後の日経平均の見通し DI= △20.10
(2009年12月28日と1カ月後の日経平均の見通し DI= +1.25)
Q2: 2010年1月25日と3カ月後の日経平均の見通し DI= △0.12
(2009年12月28日と3カ月後の日経平均の見通し DI= +0.63)
今回の基準日となった2010年1月25日の日経平均株価の終値は10,512.69円です。前回12月28日実施のアンケート結果が4カ月ぶりにプラスになった(値上がりするということ)ことの正しさを証明するかのように、日経平均株価は終値で10,982.10円(15日)まで、いったんは上昇しましたが、その後、ギリシャの格下げなどをきっかけに始まった円高などを背景に地合いも軟調になり、さらにオバマショックと呼ばれた米国新金融規制案発表などが市場全体に冷や水を掛けたような環境下で今回のアンケートは行われました。じつに集計最終日の27日の終値は高値から700円以上も安い10,252.08円まで下落しています。
過去の経験則から言って、短期DIについては足元のセンチメントの影響を受けやすいという傾向がありますが、3カ月先見通しについては比較的冷静な判断がされているという印象があります。その意味において、短期DIは△20.10とそれなりなマイナス圏(下落するということ)を示唆するものとなりましたが、3カ月DIは+0.63⇒△0.12と実質ニュートラル近辺(変わらない)を維持し変化しておらず、大局的なビジョンはあまり変化していないと考えられます。
そもそも昨年と違い、今年に入って主要な株式市場は日本市場のみがプラスとなるなど独特な強さを示していましたので、現下の状況で短期DIがマイナスになり、またあわせて株価が下落するのはある意味では健全なことかもしれません。ゆえに3カ月DIが現状水準維持を示すニュートラルなレベルにあることに意味があり、投資家の目線は「下がれば押し目買い」というスタンスになっていると解釈できるので深押しはないだろうと思われます。
そろそろ第3四半期の決算発表が本格しますが、あわせて市場の目線が10年3月期から11年3月期に変わり始めるのもこれからです。日経平均株価の今期予想PERは36倍前後にありますが、来期予想に変わることで少なくとも20倍以下には低下することが予想されます。市場はそうしたことをもこれから織り込みに行くと思われ、ゆえに3カ月DIは足元とは違いニュートラル界隈にあるとも推察されます。
2.為替相場の見通し
ドル/円 | ユーロ/円 | 豪ドル/円 | |
---|---|---|---|
1月25日 | DI=△20.10 | DI=△14.71 | DI=+4.67 |
12月28日 | DI=+22.84 | DI=+17.52 | DI=+28.79 |
調査時点の円/ドルは90.21円、円/ユーロは127.66円です。前回に比べて対ドルは1.29円の円高ですが、対ユーロでは3.93円の円高ということになります。12月調査時点の予想では全通貨に対して円安を見込んでいましたから、残念ながら月末同士の比較では今回の為替見通しの結果はすべて反対に出たことになります。ただ、じつは月半ば、つまり株価が高値を付けた頃においては、対ドルが93.27円、対ユーロが133.66円という水準を付けていますので、株価同様に大きく上下に動いたことになります。
ベースにはギリシャの格下げがユーロへの信認低下を招き、ユーロが対ドルで5カ月ぶりの安値を付けるような展開になったこと、また米国マクロが出口政策を考える段階まで回復感があると思われていたものが、ややトーンダウンする統計が相次ぎ、長期金利も低下したことで、結果として円が一番強い状態に今月後半からなってきたことが要因です。
DIの実数値だけをみるとドルもユーロもマイナスで変わりないですが、中身をみるとドルは多数意見が“円高”を見ているのに対し、ユーロについては、多数は“変わらず”と見ています。すなわちこの先の変化については、対ドルはまだ“円高”ですが、対ユーロではそろそろ良いところというイメージなのだと考えられます。
3.今後注目する投資先
(複数回答)
今回 | 前回 | 差 | |
---|---|---|---|
アメリカ | 13.76% | 18.67% | ↓ △4.91% |
EU諸国 | 5.74% | 8.55% | ↓ △2.81% |
ブラジル | 47.25% | 48.49% | ↓ △1.24% |
ロシア | 10.77% | 8.97% | ↑ 1.80% |
インド | 52.75% | 49.64% | ↑ 3.12% |
中国 | 52.87% | 54.01% | ↓ △1.14% |
中東・北アフリカ | 5.98% | 4.59% | ↑ 1.39% |
東南アジア | 25.36% | 24.82% | ↑ 0.54% |
中南米 | 8.01% | 7.72% | ↑ 0.30% |
東欧 | 4.19% | 4.17% | ↑ 0.02% |
為替の動向と一緒ですが、“欧米”に対する注目度が低下しているのが顕著になってきました。EU諸国への注目度合いが昨年5月以降は2桁になったことがないですが、ついに5%台になり「中東・北アフリカ」よりも魅力なしと思われているのはやや驚きです。同様に、アメリカに関しても13.76%とその人気凋落ぶりは目を覆うばかりです。
その一方で、中国やインドの人気は衰えません。今月、中国はわずかにマイナスですが、それでも半数以上の人が注目する投資先として見ているということですから、たとえ金融引き締めという話が出たとしても、中国の経済ポテンシャルに対する投資家の期待度の高さは相当なものだと思われます。ブラジルも引き続き頑張っている様子であり、「BRICs」は完全に「BICs」になった様相を呈しています。
4.今後注目する投資商品
(複数回答)
今回 | 前回 | 差 | |
---|---|---|---|
国内株式 | 68.78% | 70.91% | ↓ △2.13% |
外国株式 | 29.67% | 33.58% | ↓ △ 3.91% |
投資信託 | 31.58% | 30.34% | ↑ 1.23% |
ETF | 18.18% | 20.44% | ↓ △2.26% |
FX(外国為替証拠金取引) |
22.25% |
19.81% |
↑ 2.44% |
国内債券 | 5.14% | 6.57% | ↓ △1.43% |
海外債券 | 11.84% | 13.24% | ↓ △1.40% |
金 | 17.11% | 16.48% | ↑ 0.63% |
原油 | 4.78% | 7.09% | ↓ △2.31% |
商品 | 3.83% | 5.01% | ↓ △1.18% |
REIT | 7.66% | 10.22% | ↓ △2.56% |
CFD | 5.50% | 6.36% | ↓ △0.86% |
調査対象の12商品中、プラスとなったのはわずかに“投資信託”と“FX”、そして辛うじて“金”を加えて3種類という凄い結果になりました。投資信託がプラスだということは、立場上は大変嬉しいのですが、その他のリスク性商品全般に注目度を下げているというのは由々しき問題だなと思われます。アンケートの項目に、“銀行預金”や”郵便貯金”を入れておいたらそれらがプラスになった、ということではないことを期待したいと思います。
個別に見て、前述のように中国やインドなどの新興市場が注目を集めている一方で、外国株式が当月一番のマイナス銘柄です。すなわち新興市場への足掛かりは「生株(なまかぶ)投資」ではなく、投資信託を使うということになるのですが、確かに最近のそうした投資信託の設定状況を見ていると、この分析は当たらずしも遠からずという感じだと思います。
ただ個人的には、国内株式や外国株式の人気が高まってくれることを願っています。
「DI(Diffusion Index)」とは
景気判断に用いられる諸指標を選定し、現状認識がどちらの方向に向いているかを示す指数。『楽天DI』では、日銀短観と同じ計算方法を採用し、「(強気回答数-弱気回答数)÷全回答数×100」、「(円安回答数-円高回答数)÷全回答数×100」で算出いたします。
【各指標の見方は以下の通りです。】
日経平均 DIがプラス→強気、DIがマイナス→弱気
為替 DIがプラス→円安、DIがマイナス→円高
すべての回答が中立だった場合、DIは0となります。
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- 株式等の取引にかかるリスク
- 株式等は、株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、株価指数連動型上場投資信託(ETF)は、連動を目指す株価指数等の変動等により損失が生じるおそれがあります。
- 信用取引は、信用取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、信用取引は少額の委託保証金でその委託保証金の額を上回る額の取引をおこなうことができ、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は、差し入れた委託保証金を上回るおそれがあります。
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- 国内株式の委託手数料は、原則1カ月ごとに「ワンショットコース」と「いちにち定額コース」の2コースから選択することができます。
- ワンショットコース(現物取引):
- 1回の約定代金が10万円まで145円/1回、20万円まで194円/1回、50万円まで358円/1回、100万円まで639円/1回、150万円まで764円/1回、3,000万円まで1,209円/1回、3,000万円超は1,277円/1回。いずれも税込み。
- ワンショットコース(信用取引):
- 1回の約定代金が30万円まで262円/1回、30万円超は472円/1回がかかります。いずれも税込み。
- いちにち定額コース(現物取引・信用取引共通):
- 1日の約定代金合計が50万円まで450円/1日、100万円まで900円/1日、200万円まで2,100円/1日がかかります。以降、1日の約定代金合計が100万円増えるごとに1,050円追加されます。取引のない日は手数料がかかりません。1日の約定代金合計は信用取引と合算して計算いたします。いずれも税込み。
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- カスタマーサービスセンターのオペレーター取次ぎによるお取引は、別に定める手数料体系が適用されます(現物取引:最大4,725円/1回、信用取引:最大3,622円/1回(いずれも税込み)。
- PTS取引(夜間取引)は、お客様が選択されているコースにかかわらず1回の約定代金が50万円まで472円/1回、100万円まで840円/1回、150万円まで1,050円/1回、150万円超は1,575円/1回がかかります。いずれも税込み。
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