はじめに

長かったゴールデン・ウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか?高速道路の一律1,000円という割安価格を利用して行楽地へ向かわれた方も多かったことと思われますし、一方では、私のように“とにかく、静養した!”という方も多かったのではないでしょうか。そしてその効能は「リフレッシュ」です。悲観論渦巻いた人々のマインドにも、とりわけゴールデン・ウィーク前半は晴天が続いたことも幸いし、気分は相当リフレッシュされたのではないでしょうか。

そんな効能もあってか、休み明けの株式市場は水準を一気に切り上げてのスタートとなっています。今回の楽天DIの集計もそうしたことを予想させるような展開になっています。今後の投資判断の一助としていただければ幸いです。

楽天投信投資顧問株式会社 代表取締役社長 大島和隆

1.日経平均の見通し

個人投資家の見方「過去6か月で最も改善、年央以降の株価回復期待は弊社見通しとも一致した流れ」

4月27日と1ヶ月後の日経平均の見通し DI= △12.10
(3月31日と1ヶ月後の日経平均の見通し DI= △17.22)
4月27日と3ヶ月後の日経平均の見通し DI= +11.92
(3月31日と3ヶ月後の日経平均の見通し DI= +5.36)

今回の基準日となった2009年4月27日の日経平均株価の終値は8,726.34円です。カレンダー上は飛び石ながらも、かなりの長期休暇が取得可能なゴールデン・ウィーク前という特殊環境にもかかわらず、さらには日経平均株価の9,000円台回復前の足踏み状態継続の渦中にもかかわらず、1か月DIも3カ月DIも前回に引き続き改善傾向を示し過去6か月で最高値となりました。とりわけ、3カ月DIについては昨年11月4日のDIが最高値で13.76ですから、かなりそれに肉薄してきていることがわかります。ちなみに、最安値は12月26日集計の△20.74です。この背景には、投資家心理の相当な好転を見て取ることができると考えています。

なぜなら、ファンダメンタルズ的には、基準日時点ではクライスラー問題はどうなるのか解らない最も不透明な時であり、また米銀大手19行に対して行われたストレス・テストの結果公表の前でもあったため、材料的にはかなり不透明な状況であったからです。当然、日本についても「5月危機説」が随分と喧伝されていました。

また為替見通しについても、前回追い風となった円安見通しが維持されているわけではなく、投資家はむしろ円高見通しに傾きつつある中でのこの結果は、投資家心理の改善、あるいは需給見通しの改善が背景にあるものと思われます。3カ月後は7月末、この時期へ向かってのDIも改善中ということは、サマー・ラリーへの期待の高まりかも知れません。さらなる急謄イメージではなく、じり高イメージな点は弊社見通しとも一致する展開です。

2.為替相場の見通し

  ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
4月27日 DI=△18.51 DI=△15.48 DI=△7.83
3月30日 DI=0.56 DI=8.37 DI=△33.05

調査時点の円/ドルは96.72円、円/ユーロは127.33円です。基準日の翌日に円高は更に進みドルが95.87円、ユーロが124.86円を付けていますが、その水準をピークに為替は円安に動いています。

背景にあったのはクライスラー問題と米銀のストレス・テストの結果に対して市場が悲観的な見通しを持ったため、一旦は消去法的に円が買われていた局面ということができますが、その後これらの問題がクリアになるにつれ徐々に円安に振れていきました。主要3通貨の相対比較が為替市場の大きな流れを見るうえでは大切なことなので、ユーロ・ドルの関係をDIに含めた方が良いのかも知れないと思うこと仕切りですが、ただ円が絡まない部分は専門家でないと解り難いというのも事実。メルマガを含めてコメントでフォローしたいと思います。

3.今後注目する投資先

(複数回答)

  今回 前回
アメリカ 25.62% 26.72%  △1.09%
EU諸国 10.68% 12.32% ↓  △1.65%
ブラジル 23.67% 21.73% ↑   1.93%
ロシア 11.57% 10.44% ↑   1.12%
インド 42.88% 40.08% ↑   2.81%
中国 61.57% 51.83% ↑   9.73%
中東・北アフリカ 5.34% 6.77% ↓  △1.44%
東南アジア 16.37% 18.16%  △1.79%
中南米 5.52% 7.06%  △1.54%
東欧 4.09% 4.80%  △0.71%

 流れ的には前回と同じく、欧米の人気が低調である反面、変化率の期待できる中国を筆頭に新興国の方に目線が行っているという気がします。中国の人気が 61.57%と突出しはじめ、それに続いてインドが42.88%で続いている状況は特筆に値するかも知れません。ただいわゆるBRIC’sが人気を集める中で、VISTAやMENAと言われたような2番手、3番手新興国市場群に類するようなところは人気が離散しているように思われます。

  • VISTA…ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン
  • MENA…ポストBRIC’sといわれる中東と北アフリカ諸国の市場

4.今後注目する投資商品

(複数回答)

  今回 前回
国内株式 74.20% 74.69%  △0.49%
外国株式 27.58% 23.42% ↑   4.16%
投資信託 20.64% 23.33%  △2.69%
ETF 22.24% 19.00% ↑   3.24%
FX(外国為替証拠金取引) 25.44% 22.11% ↑   3.34%
国内債券 6.94% 6.02%   0.92%
海外債券 8.54% 9.13%  △0.58%
20.82% 20.79%   0.03%
原油 7.12% 7.34%  △0.22%
商品 5.16% 5.74%  △0.58%
REIT 9.43% 8.84%   0.59%

特筆すべきは外国株式の人気が27.58%とDI集計開始後最高値になったことです。またこの流れを受けてか、ETFやFX(外国為替証拠金取引)が注目を取り返しています。外国株式の人気回復と併せて考えると、注目は国内ETFよりも外国ETFなのかも知れません。

一方、商品の人気は離散したままで、集計開始後最低値5.16%となってしまいました。外国債券の人気も低位安定、なかなか2ケタを回復することができません。確かに、円高を見通すならば、インカム収入に頼る部分の多い外国債券は投資しづらいと思われるのかも知れません。ただ円高が極まった時こそ、本当は投資対象として横目で見ておく必要があるのが外国債券でもあります。「みんなで渡れば怖くない」のも確かですが、少数意見に微笑むのが相場の神様の天の邪鬼さでもあります。

「DI(Diffusion Index)」とは

景気判断に用いられる諸指標を選定し、現状認識がどちらの方向に向いているかを示す指数。『楽天DI』では、日銀短観と同じ計算方法を採用し、「(強気回答数-弱気回答数)÷全回答数×100」、「(円安回答数-円高回答数)÷全回答数×100」で算出いたします。
【各指標の見方は以下の通りです。】
日経平均 DIがプラス→強気、DIがマイナス→弱気
為替   DIがプラス→円安、DIがマイナス→円高
すべての回答が中立だった場合、DIは0となります。

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