はじめに
お陰さまで、今回で楽天DIも3回目。禁煙も3カ月続くと一年間はもつと言われますが、皆様にご協力をお願いしながら、早く時系列的にも有効なデータとなるように頑張りたいと思います。アンケートへのご協力、お手数をお掛けしますが、何卒次回以降もご協力を賜りますようお願い申し上げます。
楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト 大島和隆
1.日経平均の見通し
個人投資家の見方「まだこの先、厳しい場面の可能性は否定しないものの、春先には暖かくなる?!」
Q1: 12月1日と1カ月後の日経平均の見通し DI= △30.56
(11月4日と1カ月後の日経平均の見通し DI=+7.82)
Q2: 12月1日と3カ月後の日経平均の見通し DI= △4.17
(11月4日と3カ月後の日経平均の見通し DI= +13.76)
第三回目の基準日は12月1日、日経平均株価は8,397.22円の時にお願いしたものです。第二回目の基準日からの下落が717円、実はそれでも当該期間中の安値7,406.18円から戻しての水準ではあったのですが、1カ月先、3カ月先共にDIはマイナスに振れてしまいました。マイナスになるということは、ご回答をいただいた方々の大勢が弱気に見ているということになります。
本来、こうした統計の処理にストラテジストの感情が入ってはいけないのですが、やはり弱気派が増えると「マイナスになった」という淡々とした言い方ではなく、「なってしまいました」と書いてしまいます。ただ、足元1か月先の方が△30.56とマイナスの絶対値が高いのに対し、3カ月先の方が△4.17と低くなりますので、前回同様、先々に対しては今よりは状況は改善されると考えている人が多いということになります。つまり「まだこの先、厳しい場面の可能性は否定しないものの、春先には暖かくなる」という見方をされているということでしょうか。
前回と今回の状況の大きな違いは、前回アンケートをお願いしたタイミングが米国大統領選挙の時と重なっており、株価の運びも、市場のセンチメントも割りとポジティブだった時なのに対し、今回は逆に「米国はリセッション入りしていた!」と宣言されNYダウが700ドル近い下落を演じた直後というネガティブ・センチメントの中で行われたということも影響していると見ています。ただ、第二回目と明らかに違うポイントは足元と3カ月先との見方で絶対値の多寡が大きく分かれた点にあります。年末超えを強く意識された結果なのか、それともオバマ次期米国大統領の経済運営に対する期待値の反映なのか、はたまた日本の政局が解散総選挙などで変わるかもしれないという期待値のあらわれなのか、いずれにしても先に行った方が明るくなると数値にあらわれたのがポイントです。全体がマイナスになった理由は次のQ3の為替相場見通しの結果に垣間見ることができます。
2.為替相場の見通し
ドル/円 | ユーロ/円 | 豪ドル/円 | |
---|---|---|---|
今回 | DI=△38.37 | DI=△36.98 | DI=△32.81 |
前回 | DI=△6.03 | DI=△14.75 | DI=△9.53 |
今回の結果が日経平均株価の見通しに反映しているように思われますが、前回より強くこの先々を円高に見ているようです。このアンケートの後に欧州中央銀行(ECB)を含む欧州の中央銀行が次々と利下げを発表しましたので、この集計結果をまとめている段階ではもうすでに違う結果になっているかもしれませんが、この集計期間中にドルが95円台から92円台へ、ユーロが121円から117円台へと円高に振れたのは確かな事実です。3カ月先の為替の見方をアンケートしていないので、更なる円高を見ているかは解りませんが、「円高=>外需関連銘柄への悪影響」という図式は前段Q1とQ2の結果には反映しているものと思われます。
3.今後注目する投資先
(複数回答)
今回 | 前回 | 差 | |
---|---|---|---|
アメリカ | 31.25% | 29.14% | 2.11% |
EU諸国 | 18.58% | 16.10% | 2.48% |
ブラジル | 26.04% | 25.09% | 0.95% |
ロシア | 15.63% | 13.85% | 1.78% |
インド | 25.69% | 38.76% | △13.07% |
中国 | 34.90% | 27.52% | 7.38% |
中東・北アフリカ | 9.90% | 11.51% | △1.61% |
東南アジア | 15.28% | 17.18% | △1.90% |
中南米 | 7.64% | 7.73% | △0.09% |
東欧 | 7.12% | 6.83% | 0.29% |
まず最大のポイントはテロに揺れたインドが投資対象として魅力を大きく失ったという点です。投資家はやはり地政学的なリスクと呼ばれるものには敏感に反応するようです。一方で、57兆円相当の景気対策、利下げ、そして消費刺激策と矢継ぎ早に景気刺激策を発表した中国に対する期待値は高まっていることも見逃せません。投資家はやはりこうしたことに敏感に反応するという点から見ても、日本の政治へも期待したい気持がいやが上にも高まるのは私だけはないと思いますが・・・。
4.今後注目する投資商品
(複数回答)
今回 | 前回 | 差 | |
---|---|---|---|
国内株式 | 76.39% | 78.78% | △2.39% |
外国株式 | 23.61% | 22.66% | 0.95% |
投資信託 | 21.01% | 23.29% | △2.28% |
ETF | 24.13% | 21.22% | 2.91% |
FX | 25.69% | 23.92% | 1.77% |
国内債券 | 8.33% | 6.38% | 1.95% |
海外債券 | 10.94% | 10.88% | 0.06% |
金 | 21.18% | 18.35% | 2.83% |
原油 | 5.73% | 4.95% | 0.78% |
商品 | 5.03% | 4.59% | 0.44% |
REIT | 8.51% | 9.35% | △0.84% |
注目する商品として「日本株」が断トツNo.1であることは“お約束”となっているようですが、少し下がりました。とは言え、分母が分母なので特に大きな傾向値ということにはならないと思います。一方、投資信託の人気が下がり気味なのは気になるところですが、ETFが伸びています。先月11月に当経済研究所の客員研究員山崎元と私の共著「しっかり儲ける ETF入門」(日本実業出版社刊)が出版されたことへのご祝儀相場ではないと思いますので、ETF特有の投資対象、恐らく個別銘柄を選別するよりは、 INDEXなどのパッシブ投資が面白いのではないかと考えている人が増えているという意味かもしれません。もしくは、個別銘柄を買って、インデックス型 ETFを信用売りでヘッジするなどという投資手法を検討されている・・・、これは考え過ぎですね。
複数回答をいただいているので、前回との差の総計というのも意味ある数値になるのですが、前回比で+6.19%です。これは何らかの金融商品を選別して「投資をしてみよう!」という意思のあらわれかとも思われ、引き続き注視したいと思います。
「DI(Diffusion Index)」とは
景気判断に用いられる諸指標を選定し、現状認識がどちらの方向に向いているかを示す指数。『楽天DI』では、日銀短観と同じ計算方法を採用し、「(強気回答数-弱気回答数)÷全回答数×100」、「(円安回答数-円高回答数)÷全回答数×100」で算出いたします。
【各指標の見方は以下の通りです。】
日経平均 DIがプラス→強気、DIがマイナス→弱気
為替 DIがプラス→円安、DIがマイナス→円高
すべての回答が中立だった場合、DIは0となります。
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