7月米国CPI結果に大きく反応した株式マーケット

 米労働省が日本時間8月10日発表した7月のCPI(消費者物価指数)は、前年同月比8.5%上昇しました。6月の9.1%と比べると、伸び率は縮小。6月と7月の前月比は横ばいとなりました。

 マーケットはこれを「インフレがピークアウトした可能性が高い」「これ以上のインフレ進展はない」と好感し、米国株は大きく上昇しました。

 米国株の大幅高を受けて、週末12日の日本株も大きく上昇。日経平均株価は6月につけた直近高値を一気に超えてきました。

イベント前にリスク軽減のため保有株を売却した結果…

 しかし、筆者はこの大幅高を手放しで喜ぶことができませんでした。なぜなら、CPIの数値いかんでは株価が大きく下落する可能性があると考えていたので、持ち株の4割ほどを売り、ポジションを軽くしていたからです。

 もしCPIの結果がポジティブであり、株価が上昇したら買い直せばよい、と思っていましたし、もともと今後株価は軟調になるのではないかと思っていたから、ということもあります。

 さらには、少しポジションを膨らませていたので、この状況で株価が大きく下がるとダメージが大きくなる、ということも懸念しました。

 ですから、株価下落による損失リスクを軽減するため、納得してポジションを軽くしたのですが、そうせずに持ち株を保有し続けていればもっと利益が大きくなったわけですからあまり気分の良いものではありません。

株価に大きく影響を与えるイベントに対してどう行動するか

 株式投資をしていると、このように株価に大きく影響を与えるイベントがよく訪れます。今回のCPI以外では、雇用統計の発表やFOMC(米連邦公開市場委員会)、GDP(国内総生産)の発表、日本であれば日本銀行金融政策決定会合などです。

 こうしたイベントを控えてどのように行動するのかは、個人投資家それぞれのリスク許容度や結果の予想により異なってきます。

 イベントによる株価下落リスクをとにかく回避したいのであれば、イベント前にポジションを小さくしておくべきですし、そうしたリスクがそれほど気にならないのであればイベント前であっても特別な行動をしなくてよいでしょう。

 また、イベント結果に対してポジティブな予想をするのであれば、イベント後の上昇を期待して保有株を持ち続けることになるでしょう。逆にネガティブな予想をするのであれば、イベント後の下落に警戒して保有株を売却したりポジションを減らすということになるでしょう。

 そして、特にイベント前に特別な行動はせず、いつもどおりのルールで淡々と行動する、という人もいます。

重要なのは、イベント後の行動

 筆者は、イベント前の行動もさることながら、イベント後の行動の方が重要だと思っています。

 なぜなら、ポジションを減らすにしろ、そのまま持ち越すにしろ、何らかの予想をしていて、その予想に対して結果が明らかになるからです。

 もし株価が下がると思ってポジションを減らしたのであれば、イベント後に株価が上昇した時の選択肢として「買い直す」「何もしない」の二つが考えられます。

 時には株価が急騰して買い直せないという可能性もあり、この場合は利益を得る機会を逃すことになります。でも、損失が生じるということはありません。

 一方、株価が上がると思って積極的な買いポジションを構築したにもかかわらず、イベント後に株価が下落したならば、損失が膨らまないうちに処分・撤退を考えなければいけません。

 また、株価が下がると予想して空売りなど、積極的に株価下落で利益を取りに行こうとしたのであれば、予想が外れて株価が上昇すればするほど損失が膨らみますから、早期に撤退しておく必要があります。

筆者はどう考えて行動しているか

 最後に、筆者はイベントに対してどのように考えて行動しているかをご紹介します。

 実は筆者は、イベント前に特別な行動をすることは基本的にはありません。下手にイベント後に株価が上がる、下がると予想して行動すると、イベント後の株価の動きが予想と異なった場合、上述のとおり利益を取り損ねたり損失が膨らんだりしてしまうからです。

 ただ、例外的に、買いポジションが膨らんでいて、この状態でイベント後に株価が大きく下落したらまずいな、と感じた時はポジションを減らして株価下落リスクを軽減します。この時も、株価下落を予想して、という理由ではなく、過大なリスクを軽減するためにポジションを減らしているのです。

 そして、イベント後に株価が上昇したら、保有している株はそのまま保有すればよいですし、状況に応じてポジションを増やすこともあります。

 一方、イベント後に株価が下落したら保有株は売却して損失が膨らんだり、塩漬け株が生じないようにしています。

 この時の売買ルールも、イベント後だから特別というわけではなく、いつも通り移動平均線をベースとしています。

 大きな損失を被ってしまうのは、イベント後に適切な対処(一言で言えば保有株の売却・損切り)をしなかったことが原因となります。

 やはり株式投資で最も避けるべきは大きな損失です。イベント後に予想や思惑と異なる株価の動きが生じた場合は早急に対応し、大きな損失をつくらないようにすることだけは怠らないようにしてくださいね。

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