今週の予想

今週のレンジは2万7,300~2万8,300円の1,000円幅

 先週は、米国で27日に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)にて、前回と同様の0.75%の利上げを決定しました。通常の3回分の引き上げが2回連続で続いたことになります。

 ジェローム・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が会見で利上げペースを緩める可能性に言及したことで、タカ派的スタイルの後退とみられ、株式市場は先週末、主要3指標が3日連続で大幅高となりました。9月のFOMCでは追加利上げは0.5%に縮小される期待が強まりました。

 米国市場では、悪材料に買い向かう流れとなっています。

 28日に発表された4-6月期GDP(国内総生産)が2期連続でマイナスとなったにもかかわらず、米国株式は主要3指標そろって大幅上昇が3日続いています。これが本格的な戻りにつながるかどうかは8月5日の7月雇用統計が重要な試金石となりそうです。

 インフレと金融引き締めのピークアウトを織り込みにかかる市場の動きにとって、どういう影響を与えるかということです。景気悪化を示唆する結果となった場合、これまでのように株価が好反応を示すのかどうか注目となります。

 ここで気がかりなのが、日本株の動きとなります。先週、後半の日経平均株価の動きは、米国株式の大きな上昇にもかかわらず、2万8,000円を突破できませんでした。日本株は米国株に連動して上昇してきました。特に日米金利差拡大観測をもとに円安が進行し、「良い円安」として輸出関連株が相場を引っ張ってきました。

 しかし、先週は、円安の巻き戻しが始まり、週始めは1ドル=137円台水準から週末は132円台水準まで円高が進んでいます。為替はこれまでと逆風になっており、全体相場にとっては円高方向への修正の動きにどこで歯止めがかかるのか注目となります。

 先週は、前半に一服したといっても日足チャートは、200日移動平均線(29日時点2万7,561円)の上にあり、ほどよいスピード調整となっています。スピード調整のあと、米株、為替次第で2万8,300円台に挑戦してもおかしくありません。

 しかし、週足チャートをみると日経平均は3月中旬以来、2万6,000~2万8,000円のボックス相場となっています。昨年9月から続いた2万8,000~3万円のボックスを一段下に割り込んでのボックス相場であるだけに2万8,300円台はチャート上でのフシ目となります。今週のレンジは2万7,300~2万8,300円の1,000円幅とします。

今週の指標:日経平均株価

 今週の相場のポイントは、4-6月期の決算が本格化し、トヨタなどの主要企業の発表があります。好決算が続けば2万8,000円台のせも期待できますが、先週から急速に円高が進んでおり、これが輸出関連株に与える影響を注目することになります。また、8月5日の米7月雇用統計も注目となります。

 インフレと金融引き締めのピークアウトをどこまで織り込んだか様子をみることになります。日本株は、これまで円安を良い円安と歓迎して上昇してきただけに日米金利差拡大観測が後退すれば、円安の巻き戻しで逆風になることになります。

先週の動き

 先週の予測では、2万8,000円を終値でぬくことができるかどうかとし、レンジを2万7,000~2万8,000円としました。

 先週は4週間ぶりに反落し、FOMCを挟んで不安定な地合いでした。

 日経平均は、週前半は米国株の軟調な動きで2万7,600円を挟んだもみあいでしたが、週半ばから後半にかけて米株の上昇を受けて2万8,000円に接近するものの、28日(木)に2万8,015円、29日(金)に2万8,001円とタッチするものの終値では2万7,801円でした。先週は、ドル安・円高が進んだことで輸出関連株の動きがよくありませんでした。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 インフレや国内金利のピークが見えてきたところで、FRBが年内利上げを続けても、大幅な利上げの確率は低下しています。そのため徐々に買い安心感が強まりつつあります。

 しかし、インフレが市場の予想通りに鈍化しなければ相場の重しとなるため、今後、発表される経済やインフレ指標が注目となります。インフレ高進や景気後退への懸念が消費に影響を与え始めており注意が必要です。週末の7月雇用統計も注目となります。

先週の動き

 先週始めは、FOMCを前に様子見の中、26日(火)にウォルマートの見通し引き下げを受け、NYダウは▲228ドルの3万1,761ドルと反落し、3指標そろって下落しました。

 しかし、27日(水)はFOMCの結果が想定通り0.75%となったことで、今後の利上げペースの鈍化の可能性が期待され、NYダウは+436ドルと大幅高となり、3指標そろって大幅上昇となりました。

 この上昇の勢いが週末まで続き、週末の29日(金)はNYダウは+315ドルと大幅高となりました。週単位では3指標そろって2020年以来の大幅高となっています。

今週の指標:ドル/円

 今週は、FRBの利上げペースの鈍化が見込まれており、長期金利がさらに低下した場合、ドル売り・円買いが継続することになりそうです。

 ただ、景気後退入りの懸念が後退すれば、ドルは買い戻されることになり、下げ渋る動きとなります。7月雇用統計や新規失業保険申請件数などに注目となります。

 ジョー・バイデン政権は低水準の失業率をあげ、雇用統計の改善を理由に景気後退を認定しない方向なので、株安、金利安、ドル安を回避する見通しとなっています。

先週の動き

 先週のドル/円は、軟調な推移となりました。先週始めには137.46円まで買われましたが、週末に一時132.51円まで反落し、急速な円高となりました。

 FOMCは予想通りの0.75%の利上げとなり、今後の大幅利上げは指標などのデータ次第としたため、9月の大幅利上げ観測は後退し、長期金利も低下してドル売り・円買いとなりました。28日の4-6月期GDPも前期につづくマイナス成長となり、ドル売り・円買いは継続しました。

先週の結果

先週は、日経平均の週前半は軟調、後半も米株高ながら上値は限定的

 先週の予測としては、上にいくための予測ポイントの一つとして、終値で2万8,000円を突破できるかどうかに注目をしました。前週末は2万7,952円まで上昇して、2万7,914円で終わっており、円安が追い風になっているため(一時139円台のせ)、さらに米株高と円安が続けば2万8,300円台の大きなフシに向かって動く可能性もあるとしました。

 しかし、先週はFOMCもあり、すでに0.75%の利上げを織り込んでおり、2万8,000円は一つのフシ目であり、一気にぬけることは難しく、予想レンジを2万7,000~2万8,000円としました。そして、8月のお盆にかけて夏枯れ相場の可能性もあるとしています。

 週前半は、米株も円安も一服したことや2万8,000円にいったん接近したこともあり、日本株は軟調な動きとなり、25日(月)は▲215円の2万7,699円、26日(火)は▲44円の2万7,655円と軟調な動きとなりました。

 その後は米国の27日(水)のFOMCの結果を受けて、予想通りの0.75%を好感して反応し、NYダウは+436ドルの3万2,197ドルと大幅上昇(ナスダック総合指数とS&P500種指数も同じく大幅上昇)となったことで、日経平均は持ち直し、週末は、前日の米株の2日連続の大幅上昇を受け、一時2万8,001円(前日は2万8,015円)まで上昇しました。

 しかし、為替の円高、上海株、ハンセン株の軟調さを受け、また、先物売りもあって上昇が止まり、▲13円の2万7,801円で引けました。週後半の米株式は大きく上昇したものの、日経平均は上値を追えませんでした。

 週末29日(金)の米国株式は、主要3指標がそろって大幅高となりました。4-6月期GDPの2四半期連続でのマイナス成長を受けた利上げペースの減速期待が続く中で、アマゾン・ドットコムやアップルの好決算による大幅上昇が相場をけん引しました。

 NYダウは+315ドル、ナスダック+228P、S&P500+57Pの上昇でした。

 為替はドルが売られ、1ドル=133.21円の円高進行となり、シカゴの日経先物は+225円の2万7,975円でした。