相場格言、知っていますか?

 株式投資では数々の「相場格言」があります。これはいわば先人が見つけ出してくれた株式投資で成功するための知恵や秘訣(ひけつ)です。知らないより知っておいたほうが絶対によいものです。

 例えば次のようなものは有名ではないでしょうか。

「頭と尻尾はくれてやれ」
「下手なナンピン、素寒貧(スカンピン)」
「見切り千両、損切り万両」
「もうはまだなり、まだはもうなり」
「知ったら終い」

 また、先日のコラムで取り上げました「休むも相場」も有名な相場格言です。

 そして相場格言の中で非常に多く取りあげられるのが「人の行く裏に道あり花の山」というものです。似た言葉に「麦わら帽子は冬に買え」というのも有名です。

みんなと同じことをしていては勝てない

 この「人の行く裏に道あり花の山」とは、人と同じことをしていては大きな成功は得られない。人と違った道を進んでこそ、そこに大きな利益が待っているという意味です。

 例えば多くの投資家が「今は買いだ!!」「どんどん上がる!!」と強気になっているときは、株式マーケットはバブル状態であり、いつ急落してもおかしくない危険な状況にあります。

 逆に、誰もが「今は恐ろしくて株なんて買えない」「持ち株は今すぐ売らなければ」と弱気になっているときは、行き過ぎた下落であることが多く、ふとしたきっかけで株価は反転上昇するものです。

 ですから、大多数の投資家が買い目線でいる時は逆に売りを考え、売り目線でいるときは買いのタイミングを虎視眈々と狙う、といったように、他の投資家とは異なる行動をすることが、結果として大きな成功に結びつくことが多いのです。

相場格言をうのみにするのはキケン!

 この相場格言は筆者自身も素晴らしいと感じますしその通りだと思いますが、これをうのみにすると実際の株式投資では逆に大きな失敗をしてしまいかねませんので十分に注意が必要です。

 大きな失敗をしてしまう典型的な状況、それは「株価急落局面」と「バブル相場」です。

 株価急落局面では、多くの投資家が売り急ぎ、売りが売りを呼ぶ状態になっています。ほとんどの投資家は売り目線でマーケットを見ているでしょう。

 ここで「今こそ『人の行く裏に道あり花の山』を実践すべきときだ」と、株価が下がっている途中で買い向かうと、その後も株価下落が止まらず、多額の含み損を抱えた塩漬け株に苦しんでしまうことになります。

 またバブル相場では、多くの投資家が有頂天になり、「まだまだ上がる」と楽観的になっていて、買い目線でマーケットに臨んでいる人が大多数です。

 こうした状態の中、「いやいや、みんなが買い目線で浮かれている今のようなときが危ない」と、株価が上昇しているさなかに保有株を売却してしまうと、その後もさらに株価が大きく上昇し、せっかく大きな利益を得ることができる機会を逃してしまいます。

実践への落とし込み方はどうすればよいか?

 では、この「人の行く裏に道あり花の山」を実践へ落とし込み、成功へ導くためにはどうすればよいでしょうか?

 一言でいえば「逆張りをしない」、これに尽きます。

 リーマン・ショックやコロナ・ショックなどの急落局面では、株価が下がっている途中に逆張りで買い向かった結果さらなる下落で大きなダメージを食らった投資家が数多くいました。

 また、アベノミクス相場が始まった2013年前半のように、株価がバブル気味に大きく上昇するときは、株価上昇途中に「そろそろ天井だろう」と売ってしまうとそこからのさらなる株価上昇についていけず、大きな利益を取り逃してしまった投資家が数多くいました。

 これらは、「株価が下がっているさなかに買い向かう」「株価が上がっている途中で売ってしまう」という、逆張りの行動が起こした結果の悲劇です。

 確かに「人の行く裏に道あり花の山」を実践することが株式投資での成功に近付きますが、株というものは上にも下にも行きすぎるものです。「そろそろ下げ止まる!」とか「そろそろ株価は天井だろう」といった自身の感覚どおりにはマーケットは動かないことも多々あります。

 ですから、株価が下がっているところを買うのであれば、下がっている途中ではなく、下げ止まって上昇に転じてから買った方がより安全に買うことができます。

 また、株価が上がっているところを売るのであれば、上がっている途中ではなく、上げ止まって下落に転じてから売った方が、結果的には高く売れることが多いです。

 相場格言は役に立ちますが、実際には一工夫しないと逆効果になりかねないものも少なくありません。

 より実践的な形にアレンジした上で、活用してみてくださいね。

■【動画で学ぶ】足立武志さんの株投資テクニック満載!

【投資戦略】夢のテンバガー達成3つの条件!10倍高は「◯◯株」を狙うべし

【FIRE特集】FIREするとき・した後の税金 FIREを目指すなら最低限知っておきたい注意点

【初心者向け】投資初心者は注意!株の注文方法(指値・成行)の使い分け