明確なトレンドが出ない状況が続いている

 今年に入ってからの日経平均株価のチャートをみると、明確なトレンドが出ない状況がずっと続いています。

 少し上がったと思ったらすぐ下がってしまう、でもそこから大きく下がらずにまた反発する…といった具合に、非常につかみどころのない動きになっています。

 個別銘柄も同様で、中には順調に上昇を続ける銘柄もあるものの、多くは株価が上がったり下がったりを繰り返し、長期間の一方向のトレンドが生じにくいという状態です。

 筆者の投資手法は、株価のトレンドについていくというものですから、トレンドが長続きすればするほど利益が大きくできる一方、トレンドが短期間にコロコロ変わるようなときは、利益を上げることが難しくなります。

 皆さんの中にも、「昨年までは結構順調だったのに、今年に入ってからサッパリうまくいかない」という方が多いのではないでしょうか。

相場格言「休むも相場」「売るべし、買うべし、休むべし」

 こんな時にぜひ思い出していただきたい相場格言が「休むも相場」です。似た意味を持つ格言に「売るべし、買うべし、休むべし」というものがあります。

 この格言の意味することは、株式マーケットはいつでも全力で勝負していてはうまくいかない。マーケットの環境によっては、株の売買を極力控え、キャッシュを温存して守りに入る、つまり買いも売りもせずに休むことが重要だ、というものです。

「休むも相場」はあまりにも有名な相場格言ですが、うまくいかないときは無理をせずに休む、守りに徹することの重要性は昔から語り継がれてきたことで、それは現代においても変わらないものです。

 筆者は結構欲張りなので、「これはいけるかも!」と思うとつい勝負に出てしまいます。ところが今年のように明確な長期間のトレンドが生じないときは、ことごとく失敗してしまいます。そんなとき、「ああ、今は『休むも相場』の時期なんだなあ」と反省しています。

「休むも相場」は個人投資家の特権

 うまくいかないときは無理をして勝負にいかずに休むという「休むも相場」、実は個人投資家の特権なのです。

 皆さんも、下落相場のときにディフェンシブ銘柄(食品、医薬品など業績が景気の影響を受けにくい銘柄)が強い動きになる、という話を聞いたことがあると思います。

 なぜ下落相場でディフェンシブ銘柄が強いかと言えば、下落相場でディフェンシブ銘柄の業績が伸びるからではありません。

 下落相場は、景気が低迷している状況下で生じます。そのため、ディフェンシブ銘柄以外の、例えば景気敏感株のような銘柄は、株価が大きく下落してしまいます。

 機関投資家のようなプロ投資家は、預かっている資金のほぼ全てにつき、株式に投資しないといけないことになっています。でも、下落相場ではほとんどの銘柄の株価が下がってしまいます。

 そこで、景気が悪化している時でも業績の落ち込みが相対的に小さいディフェンシブ銘柄に資金を多く投下することで、株価下落の影響をより小さくしようとしているのです。

 でも、私たち個人投資家は、下落相場なのに無理に資金を株式に投じる必要はないわけです。下落相場なら、株式への投下資金を抑え、キャッシュポジションを厚めにして次の上昇に備える、まさに「休むも相場」を実践すればよいのです。

うまくいかないときはプロでも休む

 プロ投資家と一口に言ってもさまざまな投資家がいます。例えば投資信託を運用するファンドマネージャーであれば、投資信託はキャッシュをほぼ持たずに株に投資するのが一般的ですから、「休むも相場」を実践することはできず、「より下げが小さそうな銘柄」に投資することで下落相場をしのいでいます。

 一方、ディーラーと呼ばれるような、短期売買をするようなプロ投資家もいます。彼らは調子が悪い時は何もせずに思い切って休んでしまうこともあります。

 プロのディーラーであれば、長期間行えばプラスになるような手法で売買しているはずです。ところが、彼らであってもうまくいかない時期があります。

 それは、やり方が間違っているのではなく、正しいやり方をしたとしてもなかなか利益に結びつかないような難しいマーケット環境だからです。

 そこで、うまくいかないときは無理に勝負に出て大きな失敗をするようなことは避け、どうせ動いても利益が出せないのだからいっそのことしばらく休もう、と考えるのです。

 筆者は、この考え方を個人投資家も持つべきだと思っています。筆者も、やり方を全く変えていないにもかかわらず、大きく利益が得られる時期と、動けば動くほど損失が積み重なるような時期があります。

 ですから、うまくいかないなあ、と感じたら、ポジションを小さくしたり、思い切って何もせずに休むというのも悪くないと思いますし、筆者は実際ポジションをあまり大きく膨らませないように気を付けています。

 うまくいかない時は勝負をするのではなく、逆に勝負を避けてポジションを小さくしたり休んだりする…。これが下落相場で大きな失敗をしないためのポイントです。

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