今週の予想

今週は、2万6,000~2万7,000円のレンジ。注目は米国での13日発表の消費者物価指数

 先週末の安倍晋三元首相の銃撃事件は、今後の政策への影響は少なくないと思われますが、株式市場の方向性を決定づける要因はあくまでも外部要因です。

 今週は米国で13日に発表される6月消費者物価指数が、前回の発表時は急落要因となっただけに注目されます。今月、後半のFOMC(米連邦公開市場委員会)では0.75%の利上げが確実視されており、これはほとんど織り込み済みですが、その後がどうなるかわかりませんので材料出尽くしとはなりません。

 現在のマーケットは、基本的にはインフレを受けた世界景気や米国の金融政策が最大の焦点であることに変わりはありませんので、上述した13日の米6月消費者物価指数の結果が気になるところです。

 当面は、13日の6月消費者物価指数の経過後、7月のFOMCでの0.75%の利上げが織り込まれているとすれば、株式市場は底堅さをみせる可能性もあります。

 先週、中国政府が1.5兆元(約30兆円)規模の経済対策を検討していると伝わったことは好材料となります。

 今週のレンジは2万6,000~2万7,000円とします。チャート的には2万7,000円近辺のフシを突破できるかどうかがポイントとなります。現在の日足チャートは75日移動平均線(8日時点2万6,954円)や6月28日の戻り高値2万7,062円の下にあり、軟調な地合いを継続しています。

今週の指標:日経平均株価

 今週は、安倍元首相の銃撃を受けて参議院選の結果が相場に影響を与えると思われますが、基本的には13日の米6月消費者物価指数の結果待ちとなります。

 日足チャートは、75日移動平均線、6月28日の2万7,062円が上値となっていますので、ここをいつ突破できるのかとなります。今週は2万6,000~2万7,000円の中でのもみあいが継続しそうです。

先週の動き

 先週の予測では、2万5,500~2万6,500円のレンジを想定しました。

 週始めの7月4日(月)に2万5,945円まで下げるものの、その後は反発の動きとなり米国株式も週末の6月雇用統計前に戻りを試したことで、日経平均は7月8日(金)の前場には2万6,881円まで上昇しました。ところが昼休みの時間帯に安倍元首相が銃撃されたことで、後場には上げ幅を縮小し、終値では+26円の2万6,517円で引けました。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週から企業の4-6月期決算が始まります。6月消費者物価指数や生産者物価指数などのインフレ指標が注目となります。原油価格は高値圏にあるものの、今後、鈍化が見込まれインフレ率も低下するとFRB(米連邦準備制度理事会)は今後FOMCで利上げを小幅にしていくことになります。そうなると株式市場にはプラスとなります。まず、次は7月のFOMCに注目となります。

先週の動き

 先週の予測では、夏休みが近づく7月シーズンになって参加者が限られる中で、下半期に伴う資金流入が下支えとなるものの、景気後退懸念や決算シーズンへの警戒感から軟調な推移が継続しそうだとしました。

 結果的には、独立記念日の翌日は、欧州株の大幅安を受けて、NYダウは反落しましたが、その後は堅調な動きとなり、7月7日(木)は翌日に6月雇用統計を控える中、ハイテクおよび半導体関連株に買い戻しが入り3指標そろって大幅高となりました。

 週末は堅調な6月雇用統計を受け、FRBの利上げスタンスを見極めたいということで▲46ドルと小幅反落となりました。

今週の指標:ドル/円

 今週は、米国の景気後退懸念で利益確定のドル売りに下押しされる場面がありそうですが、日米金利差に着目した取引でドル買い・円売りは続き、ドル高基調は維持されそうです。13日に発表される6月消費者物価指数が市場予想を上回ればインフレ高進による米経済成長の鈍化が懸念されることになります。

先週の動き

 米国経済の大幅減速懸念から週始めに134.79円まで下げましたが、FRBは利上げ継続を維持し、日米金利差拡大観測から、ドル買い・円売りは後退しませんでした。7月6日発表の6月ISM非製造業指数は予想を上回り、ドルは買い戻されて136円台回復となりました。

 8日は6月雇用統計が予想を上回り、一時136.57円まで上昇しました。そこでは権利確定売りを狙ったドル売りが観測されており、上昇は一服して136.09円で引けました。

先週の結果

先週は、週半ばに2万6,051円まで下げたあと、週末は2万6,881円まで上昇するも終値2万6,517円

 先週の予測では、前週に2万6,000~2万7,000円のレンジの中で、2万7,000円水準を試したあと2万6,000円を試す動きとなったことで、週末に米国の6月雇用統計を控え、日米ともに様子見になるとの見方から、2万5,500~2万6,500円のレンジの中の動きを想定しました。

 結果的には、7月6日(水)に2万6,051円まで下げたあと、米国株が6月雇用統計を待たないで上昇したこともあり、週末8日(金)の前場は2万6,881円まで上昇しました。しかし、戻り売りが出る水準まで上昇したところで、昼休みの時間帯に安倍元首相の銃撃が伝わり、先物に売りが広がると+26円の2万6,517円で引けました。

 2万6,000円を守ったことで、戻りを試す展開となり、前週と同じ2万6,000~2万7,000円のレンジでの動きとなりました。

 先週を総括すると、週末に米6月雇用統計など重要イベントが多く、また、株式の需給面ではETF(上場投資信託)分配金捻出に伴う1兆円規模の売り圧力が集中する懸念があり、積極的な買いを入れにくい環境にありました。

 また、週末にオプションSQを控え様子見が想定されましたが、予想以上に株価は強い展開となりました。しかし後場には上げ幅を縮小し、週末の上げは帳消しとなりました。

 週末8日(金)の米6月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比37.2万人と予想を上回る伸びとなり、失業率も3.6%と4カ月連続で横ばいとなりました。

 堅調な結果となったものの、これがFRBの積極的な利上げに及ぼす影響を見極めたいとの見方が多く、米国株式は不安定な値動きの後、NYダウは▲46ドルと小幅反落で引けました。

 シカゴの日経先物は+165円の2万6,775円でした。