都市封鎖で2022年上期の業績悪化か、歯列矯正市場は長期的に成長潜在力

現地コード 銘柄名
06699

時代天使科技

(エンジェルアライン・テクノロジー)

株価 情報種類

161.10HKD
(6/29現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 マウスピースタイプの歯列矯正ソリューションを手掛ける時代天使科技の株価は最近大きく反発したが、BOCIによると、この先短期的には利益確定の売りに押されて調整する可能性が高い。さらに6月下旬から7月にかけ、2022年6月中間決算の業績見通しの下方修正を迫られる可能性がある。新型コロナ感染の再燃を受けた過去数カ月の都市封鎖により、現地の歯科医が営業停止を余儀なくされたためで、中間決算に関するネガティブなガイダンスが株価に影響する恐れがあるという。ただ、BOCIは長期的には、歯列矯正市場の先行きに対して楽観的。目標算出ベースを「2022年予想PER(株価収益率)55倍」から「2023年予想PER63倍」に引き上げたのに伴い、目標株価を上方修正し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 最近の同社株価の急反発は、都市封鎖の解除を受けた売り上げ回復期待によるもの。ただ、消費関連銘柄の大半はコロナの影響で上期の売り上げが伸び悩んでおり、同社も6月中間期に前年同期比で減収となる可能性がある。これまでの急反発の反動もあり、中間決算見通しの下方修正が株価の調整につながる可能性が高いという。

 ただ、上期の業績がたとえ悪化しても、需要減や競争激化によるものではなく、上海市などのロックダウン期間中の歯科医の営業停止が主因。長期的にみて、歯列矯正需要はパンデミックには影響されず、同社の成長見通しにも影響はない。

 市場競争は激化しているものの、BOCIは同社が市場シェアを維持できるとみている。中国ではクリアアライナー(透明なマウスピース)製品を消費者に対して直接宣伝することはできず、歯科医がどのブランドを選ぶか、顧客に勧める。こうした環境下では、同社と米アライン・テクノロジー社による安定的な寡占状態はそう簡単には揺るがないとしている。

 BOCIは中間決算が低調な内容となる可能性を強調しながらも、利益見通しを維持。さらに中国経済の回復や消費拡大策の恩恵を反映させる形で、目標算出ベースを2022年予想PER55倍から2023年予想PER63倍に変更し、目標株価を引き上げた。株価の先行きに対する強気見通しを据え置き、短期的な株価調整局面での買いを推奨している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、コロナの影響による世帯収入の減少がクリアアライナー市場の成長鈍化につながる可能性を挙げている。その場合、消費者は競合の米アライン・テクノロジーの「インビザライン」ではなく、比較的安価な時代天使科技を選択する可能性があるが、同時に時代天使科技の潜在顧客がより低価格の別の国内ブランドに流れる可能性もあるという。