塩漬け株に困っていませんか?

 日本株、米国株とも、特に成長株を中心に株価が大きく下がっています。昨年の秋ごろに成長株を買った方は、そのまま保有を続けていたらかなりの含み損を抱えた塩漬け株になっていると思います。

 成長株の場合、実際に増収増益が続くなど業績が絶好調であっても株価が大きく下落してしまったため、「高成長=株価が上昇する」と信じて持ち続けた方ほどダメージが大きくなっているようです。

 実際、筆者の元にも「塩漬け株が大量にあって困っているんです」という相談が非常に多く寄せられています。

 ただ、筆者は塩漬け株を作らない投資手法なので、塩漬け株の対処法を聞かれても、素晴らしい解決策がないのが実情です。

 極めてシンプルに考えれば、塩漬け株を「売る」か「持ち続ける」かどちらかしかないわけですが、今回はこれを「税メリット」の観点から考えていきたいと思います。

塩漬け株を売却することの効果は?

 塩漬け株を損切りすると、次のような効果が期待できます。

(1)それ以上損失が膨らむことを避けられる
(2)新たなキャッシュが手にはいるため、それを使って他の有望な銘柄に投資できる
(3)節税ができる

 塩漬け株を損切りすることに抵抗がある方も少なくないと思いますが、実は損切りにより数々のメリットもあるのです。

 もし塩漬け株の損失率が20%程度に収まっているとしたら、上記の(1)と(2)の効果を期待して、思い切って売却してしまうのが良いと個人的には思います。

 一方、塩漬け株の損失率が70%とか80%という場合は、すでにかなり株価が大きく下がってしまっているので、あまり(1)や(2)の恩恵は受けられません。それよりは、(3)の節税効果を考えるべきでしょう。

なぜ塩漬け株の損切りが節税になるのか?

 なぜ塩漬け株の損切りが節税になるかと言えば、損切りにより生じた損失を、他の株式などの売却益や配当金と相殺することができるからです。

 損失の額に税率20.315%をかけた金額が実際の節税効果となります。つまり、節税効果により、実際の損失額の約80%に抑えることができるのです。

 例えば100万円で購入した株が80%下落して20万円になっているような場合、損切りにより80万円の損失が生じます。節税効果によりこれの20.315%だけ税金を安くできますので、実際には63万7,480円の損失で収まることになります(手数料などは考慮していません)。

 ただ、当然ながら節税効果が得られるのは、損切りによる損失と相殺できる売却益や配当金が存在する場合のみです。

 損失率が大きい塩漬け株については、損切りしても大してキャッシュが手に入りませんので、税メリットを享受するためにも、いつ損切りするかをよく吟味して、損切りを実行すべきです。

損失率が大きい塩漬け株を売却するのはいつ?

 では、具体的にどのような時に損失率が大きい塩漬け株を売却すればよいのでしょうか?

 もし、現時点で年間通じて実現損が大きくマイナスになっているような場合、塩漬け株を損切りしても差し引ける税金がないため、あまり意味がありません。

 無論、株の売却損は確定申告することで3年間繰り越して、翌年以降の利益と相殺できますが、もし3年間の間に売却損を超える利益が生じなければ、税メリットを生かすことができません。

 そこで良いタイミングとして考えられるのが、大きな売却益が生じた年です。この年に塩漬け株の損切りによる売却損を計上すれば、売却益と相殺して税額を安くすることができます。

 すでに株価が大きく下がってしまっている塩漬け株は、いつ売却してもあまり変わりません。であれば、税メリットを最大限生かすことができるようなタイミングで売却することをお勧めします。