年初から全体相場をアンダーパフォーム、CDMO銘柄が高成長持続へ

 中国の医療セクターは年初から香港の全体相場をアンダーパフォームしてきたが、4-6月には下げ止まり傾向が見られた。医療関連の全サブセクターが年初から下落する中、バイオテックが年初来で38.1%の大幅安。BOCIは中国経済の悪化や地政学リスク、新型コロナの再燃、米利上げなどを挙げ、下期に関しても不透明感が残ると指摘。投資家に対しては下期も慎重スタンスで臨むよう助言している。銘柄選択においては「ディフェンス」(株価の魅力的なバリュエーション)、「ビジビリティ」(短期のカタリストの存在)、「イノベーション」(差別化できる製品候補群)などが決め手になるという。

 医療関連銘柄をサブセクター別に見ると、まず医薬品受託開発製造業(CDMO)、受託治験(CRO)などの主要受託サービス銘柄は2021年の勢いを受け継ぎ、2022年1-3月の増収率、増益率が平均64%、68%に達した。足元の受注好調によるもので、需要を取り込むための設備増強も急ピッチで進む。BOCIは健全なファンダメンタルズに加え、地政学リスクやコロナ再燃の影響がすでに株価に織り込まれたとみられること、化学医薬品を上回る生物製剤の成長性などから、この分野に対する強気見通しを継続。個別では薬明生物技術(02269)、無錫薬明康徳新薬開発(02359)、康龍化成(03759)、杭州泰格医薬科技(03347)、北京昭衍新薬研究中心(06127)の順で選好している。

 一方、バイオテックは同質的な競争の激化や医療保険に絡む値下げ圧力、資金調達の冷え込みに直面しており、医療セクターの中でも最も大きくバリュエーションが低下した。BOCIはこの分野では当面、ディフェンシブ銘柄などが選択肢になるとしながらも、長期視点では、優れた臨床的価値を持つイノベーティブ医薬品の有望性を指摘している。優先順位は信達生物製薬(01801)、栄昌生物製薬(09995)、百済神州(06160)、康方生物科技(09926)、再鼎医薬(09688)の順になるという。

 医薬品部門では、ジェネリックの集中調達制度がこの6月に第6弾を迎えており、BOCIは同制度下での価格引き下げによる各社株価へのマイナス影響が、今後は和らぐとみる。全体相場が不安定な中、医薬品銘柄はディフェンシブな選択肢であるとの見方。石薬集団(01093)、中国生物製薬(01177)、翰森製薬(03692)の順で選好している。

 半面、医療機器に関しては、投資家は2022年下期の消耗品の集中調達について、相対的に慎重姿勢を取る可能性が高いという。この分野では、杭州啓明医療器械(02500)、沛嘉医療(09996)、微創心通医療科技(02160)の順で選好している。

 MSCIチャイナヘルスケアインデックスは6月20日現在、年初来28.3%安(MSCIチャイナインデックスは9.9%安)。フォワードPER(株価収益率)は36.1倍と、12カ月のヒストリカル平均(49.8倍)を下回る水準。BOCIは個別では、薬明生物技術、信達生物製薬、栄昌生物製薬、石薬集団をトップピック銘柄としている。