今週の予想

今週は、2万6,000~2万7,000円のボックス相場の動きを想定

 先週は、FRB(米連邦準備制度理事会)による金融引き締めの強化が継続し、世界景気の後退不安が本格的に織り込まれ始め、日経平均は20日(月)には、2万5,520円と3カ月ぶりの安値をつけました。

 しかし、その後は米長期金利の低下を受け、グロース株やハイテク株が持ち直し週末24日(金)は高く終わり、この日の米国株も大幅上昇となりました。

 今週は、先週末の日米株式の上昇を受けるものの、目先の上値のフシまで接近しており、戻りを確認したあと2万6,000~2万7,000円のボックス相場に入る可能性があります。

 米国市場は、先週末に特別な材料がない状況で、+823ドルの3万1,500ドルと大幅続伸しました。それは、これまでFRBによる金融引き締めの強化が景気を冷え込ませるとの懸念から、現金化への需給が急増したことで株式の大幅下落が続いていましたが、先週末の上昇は、その反動が出たということがいえます。

 特に午前中に大幅上昇した資源株に利益確定売り、さらに原油先物や銅相場の調整があいまって資金の流失が加速し、株価も急落していたといえます。  

 株式市場では、当初の全面的な売りからいったん反発し、個別株物色へ傾向がシフトしているといえます。米金利の上昇の抑制は、グロース株やハイテク株の地合いを改善させています。

 ただし、ジェローム・パウエル議長が米議会の公聴会で利上げ加速が景気後退を招く可能性を示唆したことで、マーケットの景気後退シナリオは続くことになり、短期的には相場の劇的な回復は難しいといえます。現時点では中国経済の再開に期待がもてるかもしれません。

今週の指標:日経平均株価

 先週末は、予想外に+320円の2万6,491円まで上昇しましたが、この日の米国株式のダウ工業株30種平均の+823ドルの3万1,500ドルの大幅上昇をある程度先取りしていたともいえます。NYダウに連動するとすれば目先のフシに接近していますので、日経平均も2万7,000円水準が目先の上値の可能性があります。

先週の動き

 先週は急落からの戻りを試す局面となりそうですが、上値では戻り売りが出てくることになるとし、レンジは2万5,700~2万6,700円の動きとしました。

 結果的には、週始めの6月20日(月)に2万5,520円まで下げて反発となり、2万6,000円台にのせてからは上値は重く、週末は2万6,519円まで上昇し、2万6,491円で引けました。指数は安値から1,000円近く上昇しましたが、円安を受けての輸出関連株の上昇でした。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 FOMC(米連邦公開市場委員会)が通過してFRBの現状での年内の想定利上げ報道を相場が織り込み不透明要素が減ったことも売りが一段落していることにつながっています。同時に月末、四半期末のリバランスによる買いも下支えしそうです。

 今週、発表される各国の小売決算によって国内経済の7割を占める消費活動を判断することになります。

先週の動き

 先週は、FRB議長の上下両院での議会証言が注目となるとしました。内容はインフレを利上げで強く抑えることには変わりないものの、景気後退には注目するとしました。

 結果的にNYダウは6月17日の2万9,653ドルを安値に戻りを試す動きとなっています。連休明け後の21日(火)は+641ドルの3万530ドルと大幅高となり、もみあったあとの24日(金)は売られすぎからの反発が続く中、6月ミシガン大学消費者信頼感指数の1年先の期待インフレ率の低下を受け、+823ドルの3万1,500ドルまで戻しました。

今週の指標:ドル/円

 ドル/円は、20年超えぶりの高水準に上昇後、やや失速しましたが135円台に戻して引けており、再びドル安・円高に大きく動くとは想定しにくいです。

 日米金利差を背景にドル買い・円売りは継続し、ドル/円の下げ幅は限定的となりそうです。

 日本銀行は現行の大規模金融緩和を維持する方針。米国は利上げ方針なのでドル/円の方向は変わらないと思われます。

先週の動き

 先週は、FRBが7月も0.75%の利上げの考えを示したことや、リッチモンド地区連邦準備銀行総裁がインフレ低下の緊急性を示したことで、ドル買いが一段と高まり、22日には一時136.71円まで買われました。

 その後、パウエル議長が「金融引き締めが原因で経済が景気後退に落ちることがあり得る」と答弁したことで、長期金利が反落し、ドル売り・円買いが広がりました。

 しかし、23日に開かれた公聴会で「景気後退は必然とは思わない」と述べたことで、ドル売りが縮小しました。24日(金)のドル/円は、134.77円まで下落後、135.40円まで買われ135.17円で引けました。

先週の結果

先週は、週始めの2万5,520円から2万6,500円水準まで上昇後、上値重く

 先週の予測では、2万5,700~2万6,700円のレンジの中で、2万6,000円の値固めを想定しました。

 結果的には、2万5,500~2万6,500円と想定より200円安いレンジでの動きとなりました。

 週始めの20日(月)は、17日(金)の米国のメジャーSQ(特別清算指数)に絡んだ米国株式の大幅な下げを受け、日経平均も連動することが想定されましたが、その場合は5月12日の2万5,688円の安値は守れると想定しましたが、ここを切って2万5,520円まで下げました。

 底打ちとしては中途半端な位置でしたので、このまま反発してもいずれ3月9日の安値2万4,681円を試す可能性があるとしました。

 結局、21日(火)の日経平均は、前日の米国市場は休場でしたが、時間外で米株先物が大きく上昇したことで日経平均は先取りし、+475円の2万6,246円と大幅反発となりました。NY株式も前週の下げの反動から、この日のNYダウは+641ドルの3万530ドルとなりました。その後の日経平均は2万6,000円台で上値の重い動きとなっていました。

 週末の24日(金)は前日のパウエル議長の議会証言(インフレ抑制のために引き締めは続けると述べる一方で、景気減速やエネルギーの需給は懸念していると述べた)を受け、米国3指標が反発したことで、日経平均はグロース株中心に買い戻しが進みました。

 市場からは予想外の上昇だ、と米金利が下がり米株先物が上昇している流れを織り込み指数への寄与度の高い値ガサ株を中心に買い戻しが進みました。米欧の金利引き締め下にあっての動きであり、アヤ戻しの可能性が高いとの声が聞かれます。

 週末24日(金)の米国市場は、3指標そろって大幅高となりました。特にNYダウは+823ドルの3万1,500ドルと続伸し、週間で1,612ドルの上昇となりました。特別に大きな材料が出たわけではありません。先週までの大幅安で売られすぎからの反動の流れの中、6月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値で1年先の期待インフレ率が低下したことが追い風になったとされています。

 柴田罫線をみると前回の安値はザラ場で5月20日の3万635ドル、終値で5月18日の3万1,490ドルで、この水準で3万1,500ドル近辺でもみあっていますので、当面のフシまで一気に上昇しています。

 シカゴの日経先物は+390円の2万6,870円となっていますので、ここもフシ目の2万7,000円水準まできています。