CPI(消費者物価指数)

 一般消費者が購入する商品やサービスの価格動向を示したものです。CPIの中から、変動が激しい食品とエネルギーの価格を除いたものは「コアCPI」と呼ばれます。CPIはインフレーション(物価の上昇)やデフレーション(物価の下落)を測るための最重要指標で、中央銀行の金融政策を点検するためによく使われます。

■マーケットへの影響

 一般的に、コアCPIは前年同月比2%以内が物価の安定に適切とされています。2%を超えるような急激なインフレは、企業業績の悪化や個人消費の落ち込みにつながるため株価にとってネガティブです。

 また、中央銀行が物価上昇を抑えるために利上げなどの金融引き締め策を打ち出すと、経済成長にマイナス影響を及ぼし、株価が上がりにくくなります。

 物価は需要と供給のバランスで決まります。景気が良く、活発な消費活動が物価を押し上げているときは、株価がネガティブに動かないケースも考えられます。

 一方、物流網の停滞や資源価格の上昇など供給側の要因でコストが価格に転嫁される場合は、景気に対する不安から株価が下落しやすくなります。

 インフレが緩やかか急激か、原因が需要と供給のどちら側にあるか、また、中央銀行が物価上昇を抑えるためにどう動くかなど、インフレとマーケットの関係はさまざまな面から考えることが大切です。

■最近の動向

 2022年以降、米国のCPIは前年同月比7~8%と40年ぶりの伸びを記録しています。見かけの金利から物価変動の影響を差し引いた「実質金利」はマイナスです。モノの値段が上がり、現金の価値がどんどん目減りしている状況です。

 そのため、米国の中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)は、2022年3月から急速な利上げを実施。世の中に出回るお金の量を減らして、物価上昇を抑え込もうとしています。こうした金融引き締め政策が2022年の世界的な株価下落の元凶になっています。

PCEデフレーター(個人消費支出の価格指数)

 個人消費の物価動向を示す指標です。名目(見かけ)の消費支出から、物価変動の影響を除いた実質の消費支出を計算するときに使われます。

■CPIとの違い

 CPIよりも幅広い品目の物価動向を調査し、調査品目も毎年見直されるため、より精度の高い物価指数とされています。変動の大きい食品とエネルギーの価格を除いたコアPCEデフレーターは、FRBが金融政策を決定するうえでCPI以上に重要視する指標として知られています。

■マーケットへの影響

 CPI以上に中央銀行の金融政策に影響を与えるため、PCEデフレーターが2%を超えるような上昇が続くと、金融引き締め懸念で株価が下がりやすくなります。

PPI(卸売物価指数)

「生産者物価指数」とも呼ばれ、企業間で取引される素材や部品などの価格動向を示したものです。CPIに含まれるサービスの価格動向は入っておらず、原油や金属、穀物など商品相場の影響を受けやすくなっています。そのため、物価動向の先行指数的な意味合いを持ちます。

■マーケットへの影響

 PPIは物価の先行指標の面があります。2%を超えるような上昇は中央銀行の金融引き締めにつながりかねないと受け止められ、株価の下落につながりやすいと言えます。

■マネー用語辞典

・消費者物価指数
・消費者物価指数(米国)
・生産者物価指数(米国)