乱高下する日経平均!現在は「秋」?
足もとの日経平均株価は、2万8,000円台に乗せたと思ったら、一転して米国消費者物価指数の予想以上の上昇を受けた米国株大幅下落の影響で大きく売られるという、乱高下する動きとなっています。はたして今後、日経平均はどのような動きをするのでしょうか?
今回、私の分析から見えてくる日経平均の年内の見通しについて、お伝えをしていきたいと思います。
まず、私は、日経平均の動きを景気循環で捉えています。不況の中で株価が上昇し始め、景気回復から拡大にかけて大きく上昇、景気が拡大している中で株価は下げ始め、景気後退で下落し、不況を迎えるという循環です。そして、この循環はおおむね3年半のサイクルで繰り返しています。
(図1)景気循環に伴う株価のイメージ
景気循環における日経平均の位置を捉えるために、局面を「春」「夏」「秋」「冬」という季節になぞらえています。過去の分析から、それぞれの季節において日経平均がどのような動きをしているのかを、ざっくりとお伝えしておきましょう。
- 「春」…上昇する時期
- 「夏」…上昇する時期
- 「秋」…上がったり下がったりしながら、横ばいもしくは徐々に下げていく時期
- 「冬」…前半は大きく下げやすく、後半は底値圏を上がったり下がったりの横ばいで動く時期
今、どの位置にいるかですが、「秋」と捉えています。「夏」から「秋」に変わる時期は、「日経平均の予想EPS(1株当たり利益)が前年比でピークアウトしたタイミング」で計っていて、次のようになっています。
(グラフ1)日経平均株価と予想EPSの前年比増減率
直近で赤丸が出現したタイミングは昨年10月で、そこから今に至るまで「秋」が続いています。実際の日経平均の動きも、昨年10月以降は「秋」らしい、上がったり下がったりで徐々に下がってくる動きをしています。この「秋」が続く限りは、日経平均は上がったり下がったりの良くて横ばいの動きとみています。
今後の日経平均はどう動く?
では、「秋」から季節が変わるとしたら、どのような形が考えられるのでしょうか?
まずは、「夏」に戻り、日経平均が上昇していくという可能性です。分析上、「秋」から「夏」に戻るケースは、(グラフ1)において「予想EPS前年比増減率がボトムアウトする2カ月前」が「冬」になることなく出現したときと決めています。
現時点で推測をすると、「予想EPS前年比増減率がボトムアウトする2カ月前」が年内に現れる可能性は、分析上、まず無い状況にあります。このため、年内は「秋」が続くか、もしくは「冬」が来るかのどちらかとみています。
「秋」から「冬」に変わるタイミングは、「日経平均の予想EPSが4週前比でマイナス転換したタイミング」で計っていて、次のようになっています。
(グラフ2)日経平均株価と予想EPSの4週前比増減率
2013年以降、「秋」にマイナス転換した時期は、2015年と2018年にあり、その後、日経平均は大きく下落しています。現時点では、まだマイナス転換はしていないため、「秋」が続いている状態にあります。
年内にマイナス転換が現れるか否かは分かりませんが、もし、マイナス転換したら、過去のパターンから日経平均は下落することが想定されます。
以上をまとめると、現時点は「秋」で、「上がったり下がったりしながら、横ばいもしくは徐々に下げていく時期」。もし、(グラフ2)においてマイナス転換したら、「冬」に移り、下落が想定されるということになります。これが、私が日経平均は「年内は良くて横ばい」とみている根拠です。皆さんはどう思われますか?
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