今週の予想

今週はNYダウと円安方向をみながら、2万7,000円水準での値固め

 今週は、米国株式の動向をみながら、下値確認の動きとなりそうです。先週末にECB(欧州中央銀行)の利上げ方針を受けて、米長期金利が上昇し、米株式が大きく下落したことで、日経平均株価は6月SQ値の2万8,122円を大きく下回る▲422円の2万7,824円となり「幻のSQ」となりました。

 引け後の米国では、5月CPI(消費者物価指数)が予想を大きく超える結果を受け、ダウ工業株30種平均は▲880ドルの急落となり、シカゴの日経先物は▲525円の2万7,325円で引けました。

 今週は米国では、14日に5月生産者物価指数、15日に小売売上高、16日に住宅着工件数が発表されるので、それに応じてNYダウがどう動くのか様子見となりそうです。16~17日の日本銀行の金融政策決定会合も今後の円安がどうなるのか注目することになります。

 フシ目であった200日移動平均線や52週移動平均線、さらに今年の3月25日の高値2万8,338円を一時ぬけたことでチャートは好転したようにみえます。ただし、5月下旬からの上昇は、6月10日のメジャーSQ(特別清算指数)に絡んだショートカバー(買い戻し)の加速があります。

 また、日経平均の日足のテクニカルはほとんど過熱ゾーンにあるため、一服してもみあいに転じるところでしたが、このタイミングで先週末に米国株が急落し、シカゴCME日経先物は▲525円の2万7,325円と大幅下落となっています。当面は2万7,000~2万8,000円のレンジの中で2万7,000円水準での値固めが想定されます。

今週の指標:日経平均株価

「幻のSQ」となったことで、相場の基調転換の懸念も出てくる可能性があります。今週は軟調な展開が予想されますが、さらに先進各国の中央銀行による金融政策決定会合が開催されますが、注目度の高い経済指標の発表も多く、神経質な展開となりそうです。

 14~15日の米国のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、9月以降の利上げペースが注目されます。結果がタカ派的になると相場は想定以上の調整色を強めそうです。

先週の動き

 6日(月)は、前週末の米株式の下落を受け、一時▲237円の2万7,523円まで下げるものの、時間外の米株先物の上昇や上海株、ハンセン指数の上昇を支えに+154円の2万7,915円となりました。

 7日(火)は、為替が1ドル=133円台と2002年4月以来の円安を受け、+178円の2万8,094円と一時2万8,000円台へ。8日(水)は円安の流れを受け+290円の2万8,234円と4日続伸しました。

 その後、9日(木)は+155円の2万8,389円と3月25日の2万8,338円を突破しました。

 しかし、10日(金)はSQに向けた需給による日経平均の押し上げ要素が多く、SQ値は2万8,122円をつけたあと、日経平均は▲451円の2万7,795円まで下げて「幻のSQ」となりました。目先はスピード調整となります。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 相場の底入れ感がまだないため、FOMCが注目となります。これまでFOMCの予想では、6月、7月は0.5%の利上げで、目先はピークとの見方が多くありました。

 しかし先週10日(金)に予想を超える5月CPIを受けて、NYダウは▲880ドルと急落しており、8月以降もより強い利上げ見通しが出てくると調整が続くことになります。今年5月20日の安値3万635ドルを試す局面が想定されます。

先週の動き

 先週の予測では、中旬にFOMCを控え市場はすでに織り込んでおり、様子見となって動きづらい展開になるとしました。市場はFRB(米連邦準備制度理事会)による積極的な利上げを警戒している部分があり、インフレの加速が注意されています。

 週前半は米長期金利の低下を好感し、NYダウは続伸しましたが、8日(水)には10日の5月CPIの発表を前に景気減速懸念が高まって▲269ドルの3万2,910ドルとなり、9日(木)にはさらに▲638ドルの3万2,272ドルの大幅続落となり、週末10日(金)も5月CPIの結果を受けて、利上げ加速懸念からNYダウは▲880ドルと3日大幅続落となりました。

今週の指標:ドル/円

 今週は、FOMCで0.5%の追加利上げが予想されるが、すでに織り込み済み。しかし、日銀の金融緩和方針は継続の方向なので日米金利差拡大からのドル買い・円売りは継続しそうです。ドル/円は134円台に浮上しており、2002年1月につけた終値で135.15円が視野に入ってきています。

先週の動き

 先週の予測では、FRBは6月、7月と0.5%の追加利上げを計画しており、金利先高感を背景にドル買い・円売りが続く可能性が高いとしました。想定通り7日(火)は20年2カ月ぶりの133円台の円安となり、ドルは底堅く推移し、週後半は5月CPIが予想を大きく上回り、1ドル=134.54円のドル高・円安となり、週末は134.42円で引けました。

先週の結果

先週は、SQに向かって需給関係から3月25日の2万8,338円を更新し、ここをピークに大幅下落

 先週の予測では、2万7,000~2万8,000円のレンジを想定し、週足での52週線(2万8,020円近辺)をぬくことができれば、今年の3月25日の高値2万8,338円を試すことになるとしました。

 結果的に、週始めからの3日間で、為替が6月7日(火)には20年2カ月ぶりの1ドル=133円台となったことで、日経平均は一時2万8,000円台を回復し、8日(水)には3月30日以来の2カ月ぶりの+290円の2万8,234円と2万8,000円台となりました。

 この時点では、この状況はメジャーSQを控えてオプションの権利行使を切り上げ、上にある2万8,375円の権利行使価格があるので、3月25日の高値2万8,338円を試すことになるとしました。

 そして、この水準までくると当面の天井となる可能性も指摘しました。9日(木)になると、前日の米国株式は3指標そろって反落となったことで、売り先行となるものの、押し目を拾う動きから上げに転じ、後場になると一時+155円の2万8,389円と3月25日の2万8,338円を更新しました。

 しかし、ここで目標達成感が出て上げ幅を縮小し、終値は+12円の2万8,246円でした。この動きは上昇ピッチが早かったことで、短期的な調整の可能性が示唆されました。

 10日(金)は、前日の米国株式が翌日の5月CPIの発表を控え様子見となり、さらにECBが7月から利上げを示唆したことで、米10年債利回りが3.07%まで上昇したことを嫌気し、NYダウの▲638ドルをはじめ3指標そろって大幅下落となったことで、日経平均は▲422円の2万7,824円と急落しました。

 この日の6月オプションSQが2万8,122円でしたので、日経平均がSQ値にタッチしないという「幻のSQ」となりました。これでSQ値の2万8,122円から3月25日の高値2万8,338円までのゾーンは大きなフシ目となってしまいました。

 10日(金)の米国市場は、注目の5月CPIが予想を上回り、利上げ加速懸念からNYダウは▲880ドルの急落となりました。

 5月CPIは前年同月比+8.6%(市場予想+8.3%)と約40年ぶりの強い伸びとなり、6月ミシガン大学消費者信頼感指数が過去最低となり、インフレのピークアウトへの期待感が大きく後退し、NYダウは急落となりました。ハイテク株中心のナスダック総合指数やS&P500種指数も大幅続落でした。

 FRBは6月、7月のFOMCで通常の倍となる0.5%の大幅利上げを検討していますが「さらなる行動を迫られる」といわれています。長期金利も一時3.1%を超えました。シカゴの日経先物は▲525円の2万7,325円で引けました。