コロナ制限の解除で売れ行き回復へ、ブランド多様化などが成長けん引

現地コード 銘柄名
06110

滔搏国際控股

(トップスポーツ・インターナショナル)

株価 情報種類

5.82HKD
(6/1現在)

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 ナイキ、アディダスなどの各種ブランドを扱う中国のスポーツウエア販売最大手、滔搏国際の2022年度下期決算(2021年9月-2022年2月)は、純利益が前年同期比30%減の10億2,000万元にとどまり、BOCIの予想を8%下回った。営業費用が予想以上に膨らんだため。売上高は19%減と、予想の範囲内だった。潤沢なキャッシュフローをバックに、1株当たり0.07元の期末配当と同0.23元の特別配当を行う予定。2022年2月通期の配当性向は109%となる(前年度143%)。BOCIは、続く2023年度も利益率の底堅さや店舗構成の優良化、デジタル機能の向上、ブランドラインナップの拡充を背景に、質の高い成長を維持すると予想。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年2月期は出足の3-4月に上海市の封鎖などの措置が続き、実店舗の販売が急減したとみられる。競合の宝勝国際(03813)の場合、3-4月の販売がそれぞれ前年同月比43%減、38%落ち込んだ。サプライチェーンや物流の混乱で、卸売事業も3月半ば以降、打撃を受けた可能性が高い。ただ、経営陣によれば、5月中旬以降は状況が改善し、規制対象以外の地域で売上高がプラスに転じた。段階的な制限緩和が進む中、BOCIは6月以降も回復傾向が続くと予想。特に前年実績が低い2023年度下期には伸び率が加速するとみる。ブランド各社による支援(補助金や返品、発注減など)やO2Oの強化、値下げを背景に、在庫レベルも段階的に正常化する見込み。政府の消費刺激策を受け、2023年度には物件オーナーによる店舗賃料の減免も期待されるという。

 2022年度下期は前年同期比19%の減収だったが(上期は同1%減収)、これはコロナ感染の再燃やサプライチェーンの混乱、マクロ経済環境の悪化によるもの。ただ、実店舗が打撃を受ける半面、ネット販売は堅調で、2022年度通期でプラス成長を確保した。また、ブランドからの補助金の増額が商品値下げによる悪影響をカバーする形で、粗利益率は前年を2.2ポイント上回る42.3%。ただ、大型店舗の出店に伴う人件費の増大などで、売上高販管費率が4ポイント上昇。営業利益率は8.4%へ1.9ポイント低下した。

 BOCIは2023年、2024年の予想純利益を25%、14%、予想売上高を14%、10%減額修正した。さらに売上高販管費率に関する予想を2ポイント、1ポイント上向きに修正。これに伴い、2023年予想PER(株価収益率)18倍をベースとする目標株価を引き下げた。その一方で、大型店舗の比重の拡大や「ナイキ・ライズ」コンセプトストア(北京三里屯)の出店といった店舗構成の優良化を前向きに評価。さらに国内ブランド人気に乗った李寧(02331)との提携に代表される取り扱いブランドの多様化戦略を高く評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。レーティング面でのリスク要因としてはサプライチェーン不全の長期化や感染再燃、ブランド各社のDTC(直接販売)戦略を受けた「共食い」の可能性などが挙げられるという。