商品高が利益圧迫も足元の受注は好調、欧州メーカーからSBW受注

現地コード 銘柄名
01316

耐世特汽車系統集団有限公司

(ネクスティア・オートモーティブ)

株価 情報種類

4.48HKD
(5/25現在)

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 大手自動車部品メーカー、ネクスティアの2022年1-3月期の売上高について、BOCIは世界の自動車生産台数(前年同期比3%減)とほぼ足並みをそろえた小幅の減少を見込んでいる。また、商品インフレにより、利益率は予想以上に鈍い回復ペースにとどまったとみる。一方、1-3月の新規受注は堅調で、欧州のメーカーから初めて大量のステア・バイ・ワイヤ(SBW:ステアリングとタイヤを機械的につながず、電気信号でタイヤを操作するシステム)ビジネスを受注。国内では新エネルギー車の有力スタートアップから、ステアリング業務を獲得した。BOCIは利益率の回復ペースの鈍さを理由に、2022-2024年の予想純利益を7-13%減額修正。2022年下期も利益下押し圧力が続くとしながらも、世界のステアリング市場における競争力を前向きに評価し、新エネ車時代には同社の強みがさらに鮮明になるとの見方。目標株価を引き下げながらも、現在株価の値頃感を指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2022年1-3月の自動車業界は、世界的な半導体不足や中国でのコロナ感染に伴う都市封鎖、ロシア・ウクライナの軍事衝突を背景に軟調な状態が続いた。世界全体の生産台数は前年同期比3%減、前四半期比6%減。地域別では、アジア太平洋地域の生産台数が2%の小幅増となり、北米の2%減、EMEASA(欧州・中東・アフリカ・南米)の17%減に比べ、底堅く推移した。BOCIは1-3月期には、商品高によるコスト圧力が利益を圧迫したとみているが、経営陣によれば、売上原価の大きな部分を占める鋼材、アルミ、銅、レアアースの価格は実際、2021年年初比で1.3-1.5倍に上昇したという。

 一方、新規ビジネスの獲得という点では、予想以上の成果を上げた。1-3月期の新規受注は27億米ドルと、2022年通期目標(60億米ドル)を十分達成できるペース。同社が待ち望んでいたステア・バイ・ワイヤの大型受注(総売上規模20億米ドル)を獲得した。BOCIは発注先がフォルクスワーゲンである可能性を指摘している。また、中国の新エネ車スタートアップとの取引も大きく進展。2021年に小鵬汽車(09868)からステアリングコラム業務を獲得したのに続き、2022年1-3月には蔚来集団(09866)、理想汽車(02015)のステアリングビジネスの獲得に成功した。新規受注のほぼ全てが電気自動車(EV)関連の受注であり、電動化における同社の先進技術を裏付けている。

 BOCIは2022年、2023年の予想純利益を7-13%減額し、1億3,500万米ドル、2億400万米ドルに設定した。現在株価の2022年予想PER(株価収益率)は10.6倍、予想PBR(株価純資産倍率)は0.6倍と、ヒストリカル平均を下回る水準。特に予想PBRはほぼ最低レベルにあると指摘している。また、同社の競争力を前向きに評価。目標株価を引き下げながらも(2022年、2023年の予想PERで16.6倍、11倍に当たる水準)、強気見通しを継続している。