先週の日経平均株価は、ほぼ横ばいでした。米国株がようやく反転上昇したこともあり、今週5月30日(月)から6月3日(金)の株式市場はさすがに下げ過ぎの反動で一時的な反発に期待できそうです。

先週:FOMC通過でアク抜け。米国3指数が6%高!

 先週前半の株式市場は、またしても米国企業の業績悪化で一時的に大きく下げました。

 先々週は、物価高による業績悪化で米国ディスカウントチェーン・ターゲット(TGT)の株価が27%急落する「ターゲット・ショック」が発生しました。

 先週24日(火)は、SNSアプリ「スナップショット」を運営するスナップ(SNAP)が2022年4-6月期の業績見通しを引き下げ、株価が43%暴落しました。

 日本でも、サイバーエージェント(4751)など、ネット広告に依存するIT企業や広告代理店の株が急落しました。

 米国企業の業績悪化が「ショック」になって、次々と株式市場に襲いかかる展開は今後も続きそうです。

 しかし、25日(水)深夜、米国の金融政策を決めるFOMC(米連邦公開市場委員会)の5月会合の議事録が公表されました。

 5月の0.5%利上げに続き、「6月、7月も0.5%利上げ」が規定路線として議論されていたものの、秋口にかけて利上げ幅やペースを和らげる可能性も話し合われていたことから、米国株は悪材料出尽くしで、25日(水)~27日(金)にかけて大きく反転上昇しました。

 8週連続で下げていたダウ工業株30種平均をはじめ、米国株の主要3指数は全て週間で6%以上も上昇しました。

 日本では、岸田文雄政権が、6月10日(金)以降に米国、中国など98カ国・地域のパッケージツアー客の受け入れ再開を表明しました。

 これにより、旅行代理店のエイチ・アイ・エス(9603)などコロナ禍で売られていた旅行、外食、百貨店、電鉄、レジャー関連株が上昇しました。

今週:米国雇用統計に注目。増配株人気継続、成長株反発!?

 今週は相場が軟調なことの多い5月から6月に月が替わることもあり、「リオープン(経済再開)」銘柄など、下げ過ぎの反動による上昇に期待したいところです。

 注目すべき経済指標としては、まず30日(月)から31日(火)にドイツ、フランス、ユーロ圏の5月CPI(消費者物価指数)が相次いで発表されます。

 物価高が予想以上に加速すると、欧州の景気後退が意識され、株式市場にとってマイナスでしょう。

 米国では、31日(火)に5月消費者信頼感指数、6月1日(水)に5月ISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況指数が発表されます。

 米国の景気後退に対する警戒感が強まっている状況のため、米国GDP(国内総生産)の7割を占める消費者の動向や、製造業の景況感を示す指標に関心が集まりそうです。

 今週最大の注目指標は、6月3日(金)発表の米国雇用統計です。

 前回の4月の非農業部門雇用者数は前月比42.8万人増と予想を上回りました。今回発表される5月分は31万人増が予想されています。

 順調に雇用者が増えるのは、株価にとってポジティブです。

 ただ、あまりに増えすぎたり、平均時給の伸びが予想以上に加速したりすると、労働コストの上昇で、40年ぶりの物価高に拍車がかかりかねません。

 雇用統計が「いいか、悪いか」ではなく、その発表に株価がどんな反応をするかに注目しましょう。

 いい数字なのに株価が下落する場合、株式市場の先行きは暗い、と判断できます。

 一方、日本では好調な企業業績の他、手厚い株主還元策も株価上昇の原動力になっています。

 先週は今期の増配や自社株買いを発表した東京海上ホールディングス(8766)が週間で9%高、SOMPOホールディングス(8630)が14%高など、損保株が上昇しました。

 下げ相場が続く2022年に入ってからも、増配など株主還元策を発表している業績好調な大企業の株は逆行高しています。

 川崎汽船(9107)が年初から55%高など、海運株がその代表例です。

 他にも、今期20円増配を発表した三菱重工業(7011)は年初から87%高です。

 相場環境が不透明な中、増配を続ける好業績の大型株は、今後も「資金の逃避先」として安定した上昇に期待が持てそうです。

 一方、米国の金利引き上げで2022年最も打撃を受けてきたのが、株価が割高なIT系の成長株が多い東証グロース市場です。

 米国では、スナップショックで打撃を受けたナスダック市場が後半盛り返して、8週間ぶりに初めて週間で上昇。これまでの下落で、ナスダック市場のハイテク株の株価にもさすがに割安感が出てきたことが、見直し買いの一因です。

 そのため、今週は、東証グロース市場の成長株にも底打ち反転が望めそうです。

 入国制限緩和によって、円安で魅力の増した日本に訪日外国人が大挙訪れれば、国内景気も明るさを取り戻すでしょう。

 6月に入った日本株が、少し早い「サマー・ラリー(夏場の株価上昇)」入りすることに期待したいです。