デイトレードとは

 1日のうちに、ポジションを決済し、翌日にポジションを持ち越さないトレードを、デイトレードと言います。デイトレードには、「買いから入って売り決済する方法」と、「信用売りから入って買い決済する方法」があります。

 今日は、「買いから入って売り決済する」方法について、解説します。

まず、クイズを問いてください

クイズ

 以下の銘柄(A社)は、場中で、株価1,001円をつけています。あなたは、この銘柄が、今日値上がりすると予想しています。デイトレードで100株買いにいくとしたら、どのように注文を出したら、良いでしょう? 以下の<1>~<4>のうち、良いと思う方法を全て選んでください。

選択肢

<1>成行(なりゆき)で100株買い
<2>1,011円に100株の買い指値
<3>1,002円に100株の買い指値
<4>995円に100株の買い指値

A社株の取引時間中の板(いた)情報

(出所:楽天証券マーケットスピードより)

板を見て、感じること

 買い板(指値の買い注文)は厚い(たくさん入っている)が、売り板(指値の売り注文)は薄い(少ない)と思います。

 1,000円に9,000株とまとまった買い注文が入っています。A社株が値上がりすると予想して、買おうとしている投資家が他にもいると考えられます。

 一方、上値には、あまり売り板がありません。もし、9,000株の買い指値の一部が、上値の売り物を取りにくれば、簡単に20円や30円は値上がりする状態です。

クイズの答え:すぐ買える注文にすべきです

 正解は、<1>と<2>です。<3>や<4>のような買い指値をするようでは、デイトレードで稼ぐのは難しいと思います。

<1>成行で買い注文を出せば、確実に買うことができます

 邪魔が入らなければ、1,007円の売り指値100株にヒットし、1,007円で100株買い約定します。ただし、一瞬早く、成行の買いが2,000株入ったときは、1,007円から1,023円までの買い指値(合計1,900株)は、全て先に買われてしまいます。すると、後から入ったあなたの成行買いは、1,024円以上で買うことになります。それでも、弾みがつけば、もっと値上がりし、利益確定することが、できると思います。

<2>1,011円で買い指値するのも、いいと思います

 邪魔が入らなければ、1,007円の売り指値100株にヒットし、1,007円で100株買うことができます。ただし、先に、成行100株の買い注文が入ってしまうと、1,007円の100株は先に買われてしまいます。すると、後から入ったあなたの1,011円の買い指値は、1,009円の売り指値にヒットし、1,009円で100株買うことになります。

 もし、大量の成行買いが入って、株価が一気に1,011円より上にいってしまった場合は、買うことができません。買えないのは残念ですが、成行で出すと、とんでもない高値で買うことになるリスクもあるので、「1,011円までなら買う」と決めて、1,011円に指値するのはOKです。

 もし、1,011円の指値で買えず、この銘柄が一気に1,080円まで上昇すれば、残念な思いをしますが、「この銘柄(このチャンス)には縁がなかった」と考えればいいだけです。チャンスは他にもありますから、次のチャンスを探しましょう。

 一番駄目なのは、1,011円で買えずに、悔しくて、1,080円を買いに行くことです。それこそ、高値づかみになり、反落したところで損切りする破目になりかねません。

<3>1,002円に買い指値するのは、筋が良くないと思います

 1,002円に指値すれば、買いの先頭になります。もし、100株の成行売りが入れば、あなたの1,002円にヒットするので、1,002円で買えます。

 ただし、私は、デイトレードで、すぐ約定しないところに指値を入れるのは、筋が良くないと思います。なぜならば、あなたは、今日この銘柄を買って、稼げると思っているからです。

 買えるか買えないか、指値して運命に任せるのではなく、買うと決めたら、すぐに買うべきです。なんらかの好材料が出ている、あるいは、チャートで買いシグナルが出ているのならば、なおさらです。1,002円の指値で買える可能性は小さくなります。

「200株買いたい」時に、100株は成行で買いに行き、残り100株を買いの先頭に指値するというのならば、絶対悪いとは言えません。ただし、私ならば、100株成行で買い、100株はすぐに約定する価格(例えば1,011円)に買い指値します。買うと判断したときに、すぐに買うべきです。

<4>995円に買い指値するようでは、失礼ながらデイトレードのセンスはないと思います

 995円に指値してデイトレードでもうけようとしているあなたは、A社株について、二つの動きを予想していることになります。まず、「1,001円の株価が、995円まで値下がりすること」、「その後、上昇すること」。1日のトレードで二つの動きを予想して当てるのは、困難です。

 デイトレードでは原則、チャートや材料を見ながら、「上がる」か「下がる」か、どちらかを予想するので精いっぱいです。上がると予想するならば原則「すぐに買う」、下がると思うならば原則「すぐに売る」べきです。

 下値に買い指値をして、もうけられる可能性は、極めて低いといえます。買えないうちに株価が値上がりしてしまう可能性が高いといえます。

 995円に指値して、買えてしまうとしたら、どういうことが起こっていると考えられるでしょう? なんらかの悪材料が出て、流れが変わったと考えられます。その時は、もっと大きく値下がりするでしょう。970円まで株価が下がるかもしれません。

 今日は、デイトレードでの注文の出し方を解説しています。デイトレードでなければ、下値で買い指値するのも当然オーケーです。例えば、長期投資で狙っている銘柄が下がってきたところを待ち伏せして買うとき、下値に買い指値したら良いと思います。

買った銘柄がうまく値上がったら、どうするか?

 私は、「ここで利益確定」と考えた時に、成行で売ります。デイトレードでは、当然ですが、場に張り付いて板の変化をずっと見ています。売り指値が厚く、買い指値が薄くなり、これ以上の値上がりは難しいと思うピンポイントで、成行売りを出します。

 ただし、ずっと見ていられない、あるいは、複数銘柄を同時にトレードしていて、全ての銘柄の板を追い続けられないときは、売り指値をしても良いと思います。

 今日の上値のリミットになると予想する価格の、一歩手前に売り指値すると良いでしょう。

 例えば、1,040円まで値上がりし、さらに1,050円まで上昇を期待しているならば、1,049円に売り指値しておくのは、ありだと思います。

 ただし、デイトレードでは必ず大引けまでに売らなければなりません。「大引不成(おおびけふなり)」の指値売り注文にしておけば、大引けまでは、指値注文として執行され、その間に約定が成立しなかった場合、自動的に大引けの成行注文として執行されます。

「不成」の注文ならば、最後には約定する可能性が高いといえます。まれに、ザラ場引けとなり、大引けに価格がつかないと、「不成」の注文が執行されないこともありますので、ご注意ください。

 デイトレードでは、私は基本的には、「成行」で注文します。板をずっと見ていて、買いと思った瞬間に成行で買い、売りと思った瞬間に成行で売ります。「指値」や「不成」は、板を見続けられない時に、「やむを得ず使うもの」くらいに考えていて良いと思います。

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