一般炭価格は夏場に向けて堅調推移へ、需要回復や対ロ制裁の影響で
中国国内の一般炭(発電用燃料)価格は最近、下落に転じたが、BOCIは夏場に向けた堅調推移を見込んでいる。需要回復や輸入量の縮小、在庫の相対的な低さに加え、国内の新たな価格統制が完全に機能していない点などが理由。世界各国がロシア産石炭の代替調達先を模索する中、供給ひっ迫感は高まっており、一般炭価格に対して弱気に転じるのは時期尚早との見方。石炭セクターの先行きへの慎重見通しを中立的に引き上げ、個別では中国中煤能源(01898)と中国神華能源(01088)をトップピックとしている。
一般炭価格に関するBOCIの強気見通しは、都市封鎖や行動制限などの緩和に伴う経済活動の段階的な正常化で、石炭需要の回復が見込まれることが一因。その半面、欧州などの対ロシア制裁で、石炭の国際相場が上昇。国内価格より明らかに高水準にある中で、輸入は低調に推移する可能性が高い。石炭積み出し港や発電所の在庫レベルもさほど高くなく、発電所は需要ピーク期の夏場に備え、さらに石炭在庫を補充する必要がある。
中国国内では国家発展改革委員会(NDRC)が5月、新たに一般炭の価格統制を導入したが、現時点ではあまり機能しておらず、主要産地の大同(山西省)と積み出し港の秦皇島におけるスポット価格はまだ、規定の価格上限をやや上回っている。
BOCIは国内の生産量の増加や、水力発電・その他再生可能エネルギーの台頭を理由に、一般炭スポット価格がより持続可能なレベルまで調整すると予想しながらも、そのプロセスはあくまで緩やかに進むとみる。これまでの高値推移を考慮し、一般炭(5,500キロカロリー/kg)の平均スポット価格に関する2022年の予想値を40%引き上げ、1トン当たり1,120元に設定。2023年、2024年に関しても46%、31%上方修正し、910元、820元とした。2022年に関する新たな予想値は前年実績比で9%高。修正前の「前年比22%の下落」から、明らかに楽観見通しに転じたことになる。
一方、中国の原料炭価格は豪州での洪水を受けて上昇した後、すでに下落に転じた。ただ、BOCIは年初からの予想以上の高値を理由に、山西省柳林産のクリーン強粘結炭の平均価格に関する2022-2024年の見通しを35%、33%、14%上方修正した。2022年予想は前年比6%高と、やはり従来予想の24%安からの大幅修正となった。
BOCIは石炭カバー銘柄の利益見通しを17-166%の幅で増額修正。中国神華能源、首鋼福山資源(00639)の株価の先行き見通しを中立的から強気に引き上げた。トップピック2銘柄のうち中国中煤能源は年間契約ベースの販売量が8割に上り、スポット価格の変動に対する抵抗力の高さが強み。中国神華能源は垂直型で多様性の高いビジネスモデルが強み。両社ともに2022年予想で8%を上回る高配当利回りも魅力だとしている。
セクター全体のレーティング面の潜在リスク要因としては、国内需要の戻りが予想以上に鈍くなる可能性、国内生産量が急速に拡大する可能性を挙げている。
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