今週の予想

今週は、基本的には神経質な米株式に連動するが、下値は2万6,300円水準で上値は2万7,300円水準

 先週の動きは、NYダウは18日に今年最大の下げ幅▲1,164ドルを記録しましたが、日経平均株価は19日(木)に2万6,150円まで下げて、週の終値では2万6,739円と前週比+1.2%、年初来安値(3月9日の終値2万4,681円)とまだ安値からは距離があり、相対的に堅調だったといえます。目先はPER(株価収益率)などの評価で出遅れ感として買われているものが目立ちます。

 今週は、22日からジョー・バイデン大統領の日本訪問があり、岸田文雄首相との首脳会談が行われます。その後、24日には豪州、インドを加えた「クアッド」の首脳会談も控えています。

 岸田首相の評価がこれによって高まる可能性があります。政府に対しては、「反市場的」と見られている部分もありますが、「新冷戦」を踏まえた国際会議であり、重要性が高いため岸田政権をアピールする意味は大きいと思われます。

 先週の日経平均の動きをみていると、2万6,000円前後は当面のフシと見られるようで、今週の予想レンジは2万6,300~2万7,300円というところでしょうか。

 目先の上値は18日(水)の高値2万7,053円となりますが、ここを上にぬけると4月21日の2万7,580円を試す可能性があります。

今週の指標:日経平均株価

 今週は、22日からバイデン大統領の日本訪問があり、岸田首相との首脳会談が行われ、その後、24日にはインドも交えた「クアッド」の首脳会談も控えています。

 日経平均は2万6,300~2万7,300円のレンジ内の動きの想定ですが、先週の高値18日(水)2万7,053円を上にぬけると4月21日の2万7,580円を試すことになりそうです。

先週の動き

 先週は、戻す場合の目先の上値は、4月21日の2万7,580円としました。逆に下値を試す場合は、2万5,000~2万5,500円を想定しました。

 しかし、前々週末のNYダウが+466ドルの3万2,196ドルと反発したことで5月16日(月)の日経平均は、一時+409円の2万6,836円まで上昇するものの、上昇幅を縮小し、+119円の2万6,547円となりました。その後、18日(水)には4日続伸となって一時+395円の2万7,053円まで上昇し、終値は+251円の2万6,911円でした。

 ところが、引け後の米国市場でNYダウが小売売上の悪化を受けて▲1,164ドルと急落したことで、19日(木)の日経平均は▲761円の2万6,150円まで下げて、終値は▲508円の2万6,402円でした、週末の20日(金)は反発し、+336円の2万6,739円で引けました。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 先週は、小売売上高の発表が注目になるとしました。週始めの5月17日(火)は、ウォーレン・バフェットのグループがシティーグループとメディア大手パラマウント・グローバル(旧バイアコムCBS)の株を取得したことで、3指標そろって大幅高(NYダウは+431ドル)となりました。

 しかし、18日(水)は、前日のウォルマートに続いてディスカウントのターゲットが市場予想を下回ったことで、注目の小売売上への失望からNYダウは▲1,164ドルと2020年6月以来の急落となりました。その後もNYダウは下値を試す動きとなり、週末の20日(金)は一時3万635ドルまで下げて終値は+8ドルの3万1,261ドルで引けました。

 今週も米国は、神経質な展開が予想されます。堅調とされてきた景気後退懸念が米国でも強まってきています。5月NY連銀製造業景気指数が予想外のマイナスとなり、注目された小売大手の決算も予想を下回り、NYダウは1,000ドルを超す急落となりました。

 こうした中、今週は4月新築住宅販売や4月耐久財受注など注目度の高い指標の発表や市場への影響の大きい小売大手やハイテク大手の決算が予定されています。直近の米株式市場では、流動性が乏しくなっているので上下動の可能性があります。

今週の指標:ドル/円

 今週も、経済指標や企業決算が予想を下回れば、米長期金利が下げてドル売り優勢が想定されます。1ドル=127.0~129.0円のレンジを想定。

先週の動き

 先週前半は、1ドル=128.5~129.7円をはさんだもみあいでしたが、18日(水)にはNYダウが▲1,164ドルと今年最大の下落となったことで、ドルが一時128.1円まで売られました。その後もドルは下げ止まらず、19日(木)には、127.01円まで下げ3週間ぶりの安値をつけました。週末の20日(金)は、少し戻して127.85円で引けました。

先週の結果

先週は、米国株の下値を試す動きで、日経平均は終値ベースで2万6,500~2万7,000円のレンジ

 先週の予測では、前々週は2万6,500~2万7,500円のレンジの下限を切って、5月12日に2万5,688円まで下げ、週の終値は13日(金)は、2万6,427円と2万6,500円に接近して引けましたので、2万6,500~2万7,300円のレンジを想定しました。

 結果的には、米国株式が安値を更新する動きとなったことで、日経平均の安値は19日(木)の2万6,150円、高値は18日(水)の2万7,053円と狭いレンジでの上下動となり、終値ベースでは2万6,500~2万7,000円の中で約500円の値幅の動きとなり、週の終値は2万6,739円でした。

 先週の日々の動きを簡単にみると、16日(月)は、前週末の米株式は3指標そろって大幅上昇となったことで、日経平均は一時+409円の2万6,836円まで上昇するものの、上昇幅を+10円まで縮小し、終値は+119円の2万6,547円で引けました。中国経済の先行き不透明感が警戒されました。

 17日(火)は、前日の米国株式はマチマチの動きとなり、日経平均も一時▲106円の2万6,440円、上値は+162円の2万6,709円と上下動しましたが、中国株の上昇を支えに+112円の2万6,659円と3日続伸となりました。

 18日(水)は、前日の米国株式が3指標そろって大幅上昇となったことで、日経平均は一時+395円の2万7,053円と2万7,000円台を回復しましたが、その後、戻り売りや利益確定の売りに押されるものの、後場にはハイテク株が高く+251円の2万6,911円で引けました。

 この時点では、25日移動平均線が2万6,730円、75日移動平均線が2万6,823円でしたので、両方を突破した形となりました。

 ところが、この日の日本市場の引け後の米国市場では、小売大手のウォルマートやディスカウントのターゲットの業績が予想を下回ったことで、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げが業績に悪影響を与えたとして、NYダウは▲1,164ドル、ナスダックは▲566P、S&Pは▲165Pと3指標が大幅下落となって、そろって安値引けとなりました。

 ただし、前週末の取引時間外の安値は割り込みませんでした。

 これを受けて、19日(木)の日経平均は、一時▲761円の2万6,150円まで下げましたが、終値では▲508円の2万6,402円で引けました。日本銀行のETF(上場投資信託)買い期待もあり下げ幅を縮小したといわれています。下げ渋る動きをみせて底堅い印象でした。

 20日(金)は、前日の米国株式は3指標続落しましたが、日経平均は+45円の2万6,448円で寄り付き、時間外での米株先物が高く、中国株も上昇したことで、上げ幅を拡大し特に中国株は住宅ローン指標金利の引き下げを好感して上昇し、日経平均は終日、堅調に推移し+336円の2万6,739円で引けました。

 20日(金)の米国市場は、景気後退懸念が強まり、3指標は大きく下落(NYダウは▲617ドル)しましたが、終盤には反発し+8ドルとなり、3指標そろって横ばいとなりました。 

 S&Pも一時▲2.3%の3,810Pまで下落し、1月4日の高値から20.9%の「弱気相場入り」となりましたが、下落率は19.0%に縮小しました。3指標そろって安値圏で長い下ヒゲを出しており、いったん底打ちの可能性もあります。シカゴの日経先物は▲55円の2万6,715円でした。