S&P500がベアマーケット入り
先週金曜日、S&P500種指数が一時今年の高値から-20%を付け、いわゆるベアマーケット(弱気相場)入りしました。その後大引けにかけて買い物が入ったので引け値ベースではベアマーケット入りを免れています。しかしザラバ・ベースでは-20%というひとつの区切りを達成しました。
ベアマーケットはリセッションの前兆
ベアマーケット成立だと投資戦略がどう変わってくるのでしょうか?
それはひとことでいうと「リセッション(景気後退)のリスクが大きくなった」ということです。
株価は常に実体経済に先行します。経済指標を見て、まだ鈍化が確認できなくても株式には先見性があるのでどんどん未来を織り込んでゆきます。
ダウ工業株価平均指数は8週連続でマイナスとなったのですが、これは1932年以来の出来事です。
一方、ナスダック総合指数は7週連続で安いですけれど、これはドットコムバブル崩壊後の2001年以来の出来事です。
つまりこれだけしつこく株が下がるということは相場が我々に何かのメッセージを訴えていることに他なりません。それは「不況が来ます!」ということに他ならないのです。
FRBはインフレ退治のためならハードランディングも辞さず
米国の政策金利はフェデラルファンズ・レートです。フェデラルファンズ・レートにはフェドファンズ先物が存在し、デリバティブ取引所CMEに上場されています。
フェドファンズ先物の取引実勢価格から逆算すると6月、7月の連邦公開市場委員会でそれぞれ0.50%の利上げが行われるという事が織り込まれています。
今回の利上げサイクルは今年3月から始まり、初回は0.25%、2回目は0.50%の利上げがありました。特に0.50%の利上げはマーケットにとってきつかったです。これまでにたった1回0.50%利上げしただけでこれだけマーケットが下がったわけだから、あと2回同じことを繰り返せば経済は壊れるリスクがあります。
連邦準備制度理事会が市場に配慮する、あるいは景気に配慮する態度をかたくなに見せない以上、(インフレ退治のためならハードランディングも辞さず)という決意を持っていることは明白です。
そうなのであれば我々はハードランディングを基本シナリオとして投資戦略を練り直す必要があります。
ハードランディングを前提とした投資戦略
ハードランディングなら石油株はダメです。だから石油株は徐々に処分してゆきたいと思います。タンカーやばら積み船などの株もダメです。これらも処分してゆきたいです。
ITセクターは数年に渡る大相場が終わったばかりなのでここが見直される可能性は低いです。まだ日柄調整が足りません。
食品などのディフェンシブ株は人件費の高騰によるマージン圧迫のリスクがあります。ここも買えません。
電力会社に代表される公益株も燃料コストの高騰でマージン圧迫の懸念があります。これも買えません。
そこで景気後退に強いディフェンシブな性格を持ちつつ、インフレの悪影響も受けないセクターとなるとバイオテクノロジーくらいしか残っていません。
既に新薬が承認されており、売上高も利益もちゃんと計上しているような実績あるバイオ株を買いたいと思います。具体的にはアムジェン(ティッカーシンボル:AMGN)、リジェネロン(ティッカーシンボル:REGN)、インサイト(ティッカーシンボル:INCY)、バイオマリン(ティッカーシンボル:BMRN)、ユナイテッド・セラピューティックス(ティッカーシンボル:UTHR)、アイアンウッド(ティッカーシンボル:IRWD)などです。
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