GAFAMが急落

 5月11日(水)の立会は年初からずっと辛い相場が続いてきた中でもとりわけ嫌な後味を残しました。

 それというのも長年米国の株式市場をリードしてきたGAFAM(ガーファム=グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)の一角が崩れたからです。

 グーグルの親会社アルファベット(ティッカーシンボル:GOOG)は-0.54%、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)は-3.2%、フェイスブックはメタ・プラットフォームズ(ティッカーシンボル:FB)に最近社名変更したのですが-4.51%、アップル(ティッカーシンボル:AAPL)-5.18%、マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)は-3.32%といった感じです。

 過去最高値からの下げ幅はGOOGが-25%、AMZNが-44%、FBが-51%、AAPLが-20%、MSFTが-25%です。

最後の支えが取り払われた

 ナスダック総合指数の高値からの下げ幅は-29.9%なのですが、今回のナスダックの下げがこの程度で済んでいる大きな理由はGAFAMが指数に占める割合が大きくそれが指数を下支えしてきたからです。

 ナスダックの中でも比較的最近IPO(新規株式公開)されたハイパー・グロース株の多くは高値から-50%以上も下げています。

 普通、あるセクターが今回のような大きな調整局面を迎えると、弱々しい銘柄はもちろんのこと、業績のしっかりとした、強い銘柄も最後には下げ相場に巻き込まれ、道連れになるのが常です。

 その意味において5月11日の主力株の下げは調整が最終局面に入りつつあることを示唆していると言えます。

コンセンサス予想は下がりつつある

 問題はGAFAMがここからどれだけ下がる? という事です。上述の下げで各社のPER(株価収益率)は以前よりは割安感が出ているものの、コンセンサス予想はじりじり下がり始めています。

 PE倍率とEPS(一株当たり利益)の両方がズルズル下がる中で株価の下値メドを決めるのは困難です。「下値のメドは立てにくい」というのが偽らざるホンネだと思います。

金利政策も影響

 加えてFRB(米国の中央銀行である連邦準備制度理事会)が、ここへきてグイグイ金融引締めに乗り出していることも重要なファクターです。

 インフレはとりわけ低所得者層の生活を直撃するのでFRBは手をこまねいているわけにはゆきません。

 金利政策はじわじわ累積的に効いてくることを考えると、3月に開始されたばかりの金利引き上げが、すぐに中止される可能性は低いです。

 それを断ったうえでいま展開しているような株安をずっと放置しておくと株で損した個人投資家が消費を手控えるという、いわゆる逆資産効果が起きかねません。

 もちろんインフレを鎮静化するには少々の逆資産効果という劇薬を使うのは効果的です。しかしそれをやり過ぎると経済はソフトランディングではなくハードランディング、すなわち不況入りしてしまいます。

 株式市場に配慮し、すこしハト派的な発言も織り交ぜる……というのがいまFRBに必要とされている対応だと思います。