今年も残すところわずかとなったが、2011年のドル/円相場は「年前半はドル高・年後半はドル安」となった。変動相場制以来のドル/円相場の循環をみると「年前半はドル高・年後半はドル安」というパターンが多いので、例年通りということになる。この「年前半はドル高・年後半はドル安」というパターンが崩れる年は、概ね諸外国に比べ米国の金利が高いときである。

ドル/円(月足) 1990年~2011年 年後半のドル安相場(黄色の部分)


(出所:石原順)

ユーロの債務問題・金融危機が長引くことでドルが相対的に高くなる相場が続いている。また、米国のFOMCで2回連続追加緩和が見送られていることでQE3観測が後退しドルインデックスも11月から上昇基調となっている。

ドルインデックス先物(日足) QE3後ズレ観測でドルの戻り相場が続いている


(出所:石原順)

ドル高が続いているので、ドル/円相場にも一段高の可能性が出てきている。現在、投機筋の興味を集めているのは、ドル/円の長期抵抗線だ。最大の注目チャートは「2007年高値から引いたドル/円月足の長期抵抗線(トレンドライン)」で、シカゴ筋の間では「ここを狙って円安を仕掛けようという投機筋が円売りポジションを構築している」という噂が囁かれている。ドル/円の週足も2010年から引いた長期抵抗線に接近しており、同様の興味を集めている。

ドル/円(月足)

2007年から引いた長期トレンドライン(赤)
20カ月移動平均線(緑)


(出所:石原順)

ドル/円(週足)

2010年から引いた長期トレンドライン(赤)
一目均衡表の<雲>(ピンク)


(出所:石原順)

ドル/円(週足)

上段:60週移動平均線(緑)
下段:14週RSI(赤)


(出所:石原順)

仮にドル/円相場が上記2本のトレンドラインを上抜いても、その先には「ドル/円(月足)の20カ月移動平均線」・「ドル/円(週足)の60週移動平均線」・「ドル/円(週足)一目均衡表の<雲>」など、強力な抵抗線が控えている。しかし、投機筋がこの長期抵抗線を試しに行くとすれば、比較的短期間で80円辺りまで円安が進む可能性もある。

ユーロは鉄の女メルケル首相が相変わらず“No”を言い続けており、イタリア国債がまたもや危険水域に入ろうとしている。ユーロは10月安値の1.3146を下抜けたことで急落し、心理的節目の1.3000も割り込んだ。そうなると、投機筋のターゲットは年初来安値の1.2874となる。遅かれ早かれ、そこを試しにいくだろう。

イタリア10年国債金利(日足)


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足) 13-21日移動平均バンド(水色)21日移動平均線を越えられず…


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足) 次の下値ターゲットは?


(出所:石原順)