2022年1-3月期は実質8%増益、韓国の好調がコロナ禍の中国の不振をカバー

現地コード 銘柄名
01876

百威亜太控股

(バドワイザーAPAC)

株価 情報種類

19.66HKD
(5/5現在)

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 アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社、バドワイザーAPACの2022年1-3月期決算は、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が前年同期比7.6%の伸びを示した。韓国での力強い販売の回復が、ゼロコロナ政策の続く中国の不振をカバーした形。BOCIは行動制限の緩和や地場ブランドの3月の値上げを理由に、韓国での売れ行きがこの先さらに回復に向かうと予想し、EBITDAマージンの拡大に寄与するとみている。中国ではコロナ感染に絡む不確実性がくすぶるとしながらも、長期的には商業投資効率が向上し、販路拡大戦略も進むとの見方。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 地域別に1-3月期決算を見ると、韓国を主力とする「APAC(アジア太平洋)東部」のノーマライズドEBITDA(非支配持ち分や純金融費用、関連会社持ち分損益、非経常損益などを除外したEBITDA)は前年同期比45.6%増。販売量が6.7%増加した上に、平均販売価格は3.3%上昇し、10.3%の増収の確保。これに伴うプラスの営業レバレッジが利益成長率の押し上げに寄与した。うち韓国での売上高は市場シェアの拡大を背景に2桁増。営業レバレッジの改善やマーケティング費の縮小により、EBITDAも2桁増を確保した。韓国ではコロナ抑制措置が4月に全面解除されており、今後は業務用の売れ行きが一段と回復する見込み。BOCIは加えて、韓国地場系ブランドが3月に値上げしたことによるプラス効果が、向こう数カ月にわたって期待できるとしている。

 一方、主に中国とインドで構成される「APAC西部」では、1-3月期の売上高が前年同期比0.2%減少したにもかかわらず、ノーマライズドEBITDAは3%増(販売量は3.8%減、平均販売価格は3.7%上昇)。うち中国では3月半ば以降のコロナ再燃に伴う行動制限や2022年旧正月の時期的なずれが影響し、販売量が4.3%減。ただ、製品構成の高付加価値化で、平均販売価格は3.2%上昇。売上高は前年比で1.3%減少したが、コロナ前を上回った。中でも好調だったのがハイエンドのスーパープレミアムで、売上高はコロナ前の2019年同期比で2桁増。コロナの影響が大きい地域でのタイムリーな投資の抑制も奏功し、中国のEBITDAは前年同期並みだった。また、インドでは、引き続き事業環境が改善。プレミアム、スーパープレミアムが2桁の力強い伸びを示した。

 BOCIは中国での売り上げと粗利益率に関する見通しの下方修正に伴い、2022年、2023年の予想EBITDAをそれぞれ2%、1%引き下げた。APAC西部と東部にそれぞれ2022年予想EV/EBITDA倍率25倍、13倍をあてはめ、目標株価をやや下方修正しながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。レーティング面での潜在リスク要因としては、市場競争の激化、商品インフレ、プレミアム化のペースダウン、新型コロナによる影響の長期化などの可能性を挙げている。