ゴールデンウィーク中の5月第1週は、2日(月)、6日(金)の2日間しか株の取引が行われません。今週の展望と来週5月9日(月)からの1週間を予習もかねて概観します。
今週:FOMCで0.5%利上げ確実。中国北京の封鎖が心配
先週、連休前の日経平均株価は2万6,000円台前半まで下落するなど乱高下しました。
米国の急速な利上げでお金の巡りが悪くなり、景気が落ち込むのではないかという不安が株価急落につながりました。
ゼロコロナ政策の中国で新型コロナウイルスの感染が拡大し、上海に続いて首都・北京でも都市封鎖が行われる懸念が重しとなりました。
株価が割高なハイテク株が集まる米ナスダック総合株価指数は2022年の最安値を更新し、年初からの下落率は20%に。
中国の上海総合指数も1年10カ月ぶりの安値をつけるなど、米中の株価は、円安が追い風になっている日本株以上に下落しています。
先週発表されたアルファベット(グーグルの親会社:GOOGL)やアマゾン・ドット・コム(AMZN)の決算が予想を下回るなど、巨大IT企業の悪い決算が全体相場の下げにつながりました。
日本市場が連休に入る今週最大のイベントは、米国の金融政策を決める5月4日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)。
通常の0.25%の倍となる「0.5%の利上げ」が確実視され、米国中央銀行FRB(米連邦準備制度理事会)の総資産を減らすQT(量的金融引き締め)も開始される見込みです。
CPI(消費者物価指数)が前年比で8%以上も上昇するなど、米国で続く40年ぶりの物価上昇は、ウクライナ危機による資源・穀物高もあり、当面、収まりそうにありません。
市場では6月、7月開催のFOMCでも連続して0.5%の利上げ、ひょっとすると0.75%の利上げもありうるのではないか、という恐怖感が広がっています。
急速な利上げで好調な米国景気が失速するようですと、FRBの権威が低下し、米国株の長期低迷につながる可能性もあります。
ただ前回の3月FOMC通過後は、「悪材料出尽くし」ということで米国株も日本株も反転上昇に転じています。
3連休中の米国株動向を反映して、6日(金)の日本株が大幅高で始まる期待もあります。
今週は2日(月)夜に米国製造業の景況感がわかるISM(米サプライマネジメント協会)の4月製造業景況指数、6日(金)には米国雇用統計も発表になります。
FRBが強硬な連続利上げを進められるのは、前回の雇用統計で失業率がコロナ禍前の水準近辺まで低下するなど、国内の雇用状況が堅調だから。
4月の非農業部門新規雇用者数は40万人の増加が見込まれていますが、予想を下回ると、株価の急落につながる恐れもあります。
来週:ロシア戦勝記念日、日本企業の決算ピークで事態好転!?
来週、連休明けの5月9日(月)はロシアの対独戦勝記念日です。
プーチン大統領が記念日を境に戦争の幕引きをすれば、株価が急騰する可能性もあります。
とにかく戦勝記念日以降のロシア軍の動向は、連休明けの株式市場に大きな影響を与えるでしょう。
11日(水)発表の米国の4月CPIも注目です。
3月のCPIは前年同期比8.5%高と伸びが加速。食品が8.8%上昇、ガソリン価格にいたっては48.0%上昇と戦争の影響が強く出る結果に。
しかし、中古車価格の下落などから食品とエネルギーを除くコア指数の前月比の伸びは0.3%に鈍化。この傾向が続けば、インフレのピークアウトが意識され、株価に追い風です。
先週から本格化した2022年3月期の日本企業の決算発表では、決算結果がアナリスト予想を下回ったファナック(6954)など、中国での売上高が多い機械、鉄鋼、建機株が下落。
来週は、10日(火)に資源高の恩恵を受ける三菱商事(8058)、成長軌道への回帰が鮮明なソニーグループ(6758)、11日(水)には円安が追い風になりやすいトヨタ自動車(7203)、12日(木)に半導体製造装置大手の東京エレクトロン(8035)など、決算発表がピークを迎えます。
好調な米国景気の恩恵を受けやすいトヨタ自動車など輸送機器や半導体関連が好決算を発表できるかに注目が集まるでしょう。
岸田文雄政権はガソリン補助金の拡充など物価高騰に対する6.2兆円の緊急対策をまとめました。日本国内では拒否反応も多いですが、円安で魅力的になった国内への訪日外国人の受け入れが再開すれば、インバウンド需要で内需株の持ち直しに期待できます。
「円安=悪」ではなく「円安=チャンス」という発想が必要でしょう。
ただし、連休中はウクライナ危機紛争激化や中国のロックダウン懸念など、不安材料も満載。株のことはあまり考えず、しっかり休養をとって心と体をリフレッシュしたいものです。
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