大きな株価の下落で、一定数の個人投資家が退場していった

 世界的なインフレ、金利上昇に加え、独歩安ともいえる急速な円安進行もあり、日本株ははっきりしない動きが続いています。

 日経平均株価を見る限りは方向性のない横ばいの動きにみえますが、個別銘柄はかなり値動きが異なっており、金利低下局面で大きく買われた成長株を中心に値を下げる展開となっています。

 ここから反転上昇に向かえばよいですが、金融相場から業績相場への移行を飛ばして一気に逆金融相場ともなれば、株価の大きな下落も懸念されるところです。

 筆者は株式投資を始めてから24年になりますが、この間何度も株価の大きな下落を経験してきました。そして、その度に個人投資家が大きな損失を被って株式市場から退場していったのを目の当たりにしています。

大きく負ける、四つの典型事例

 では、なぜ株価の大きな下落で個人投資家が大きな損失を被ってしまうのでしょうか? これが分かってしまえばあとは簡単な話です。大きな損失を被る原因が生じないような行動をしていけばよいだけだからです。

 大きな損失を被って株式市場から退場してしまう典型的なケースは次のようなものです。

〇信用取引などでレバレッジをかけている
〇銘柄分散があまり図られていない
〇含み損が生じても損切りせず我慢してしまう
〇さらなる株価下落でパニック売りをしてしまう

 例えば100の投資資金があり、その全額で株を買ったところ、株価が50に下がってしまえば50の損失(含み損)となります。

 ここで信用取引を行うと、100を担保に300まで買うことができます。ところが、300で買った株が30%下がって210になると、含み損が90になります。すると証券会社が強制決済をし、結果として90の損失が実現して投資資金が10しか残らないことになります。

 銘柄分散があまり図られていないケースも要注意です。例えば1銘柄に集中して投資していた場合、その銘柄の業績が急速に悪化したり、不祥事を起こしたりしたら株価は大きく下がってしまいます。時には5分の1、10分の1にまで下がることもあります。

 もし10銘柄に銘柄分散が図られていたら、そのうちの1銘柄の株価が10分の1になってしまっても、全体でみれば資産の目減りは9%で抑えることができます。

初心者が陥りがち。こんな思考は要注意!

 含み損が膨らんでも損切りせず我慢してしまうのも非常に危険な行動です。損切りしなかった結果、株価がさらに大きく下落してしまうと、多額の含み損を抱えた塩漬け株に長年苦しむことになります。

 ただ、本格的な下落相場の恐ろしさを知らない、経験年数の短い個人投資家の方だと、「下がっても業績良いからそのうち戻るさ」と気楽に構えてしまうケースをよく見ます。

 しかし、株価が戻るどころか、業績の悪化も進み、想像をはるかに超える下落に進展してしまうことも決して珍しくありません。2008年のリーマン・ショックのときがまさにその状況でした。

 さらなる株価下落でパニック売りをしてしまうのも良くありません。こうしたケースは大抵の場合、株価下落が20%程度であれば我慢できる人が多いです。

 ところが株価が下げ止まらず、50%、70%、90%と下がっていくと、「もうこの株を持つのが怖い」という気持ちになり、安値で投げ売りしてしまうのです。安値で投げ売りするなら、もっと株価が高いところで売っておくべきなのです。

筆者が目指す安全性の高い長期投資の姿とは?

 ですから、株式投資で大きな損失を出さないためには、信用取引でレバレッジを掛けるのを控え、複数の銘柄に資金を分散させ、株価が下落したらその初期段階で損切りを実行すればよいのです。

 ネットなどで投資関連の投稿をみると、特に長期分散積立投資をしている方は、株価が下がったときが買い時だとして、喜んで買っているようにみえます。

 でも、株価が下がっている時の買いは、さらに株価が下がったとき損失が膨らんでしまいますので得策とは言えません。

 筆者自身も長期投資に反対することはありませんが、株価が下がっているのにもかかわらず我慢して持ち続けるのもリスクが高いなあ、と常々思っています。

 株価が上がっている時は保有を続け、下がっている間は保有を控えて様子見をする…。長期投資だけれども株価が下がっている間は保有しないようにすれば、利益の拡大と損失の最小化を同時に満たせるはずです。

 実際に株価が大きく下落してからあたふたしたのでは遅すぎます。今のうちからしっかりルールを決め、大きな失敗につながる行動は未然に避けるようにしてくださいね。

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