先週の日本株は上昇傾向が続きましたが、22日(金)に米国の金利上昇を嫌気して急落。いってこいで終わりました。今週4月25日(月)~28日(木)も金利や米国巨大IT企業の決算、ウクライナ情勢を受けて乱高下しそうです。

先週:連続0.5%利上げ予想が上昇ムードに冷や水!

 先週の日経平均株価は19日(火)から21日(木)にかけて上昇。1ドル=129円台に到達した円安を好感して、輸出株や半導体株が買われました。

 メディアでは「悪い円安」といわれますが、海外投資家にとっては円安になるとドル建てで見た日本株が割安に映るので、買いの好機になります。

 20日(水)には、ロシアも参加したG20の財務相・中央銀行総裁会議が開催されました。

 ロシア代表の発言時に米英など西側諸国の参加者が席を立って抗議するなど、先進国vs新興国対立の兆しは世界経済全体の成長にとって暗雲です。

 会合では、鈴木俊一財務相と米国のイエレン財務長官が急速な円安について適切に対応することを協議した模様です。

 これは、1ドル130円を超えるような円安に為替介入も辞さずという日本政府の意思表示かもしれません。円安を食い止めるための為替介入は株価にとってネガティブです。

 反対に今後も円安が続くようなら、日本株は多少なりとも堅調に推移する可能性があります。

 しかし、状況が激変したのは21日(木)の夜でした。

 米国の中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が、米国の金融政策を決める5月4日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、通常の倍となる「0.5%の利上げが視野に入る」と発言。

 6月、7月も0.5%以上の利上げが続くリスクが高まり、長期金利の指標となる10年国債の金利が3%の大台目前まで上昇しました。翌22日(金)の日本株も大きく下落しました。

 米国株は、割高なハイテク株が多く金利上昇に弱いナスダック総合指数が21日(木)~22日(金)に大幅下落、22日(金)にNYダウ工業株30種平均が1,000ドル近く下落するなど「暴落」に近い総崩れで終わりました。

 日本株では、東証グロース市場で時価総額の高い資産運用サービス・ウェルスナビ(7342)が週間で15%安。IT、ウェブ関連の成長(グロース)株が大打撃を受けています。

 米国では19日(火)の2022年1-3月期決算発表で、会員数が過去10年で初めて減少した動画配信のネットフリックス(NFLX)の株価が35%も下落。時価総額約7兆円が1日で消え去りました。

 これが高成長を続けることで株高が続く成長株の怖いところ。いったん成長が止まると株価が半値以下の水準までたたき売られてもおかしくありません。

今週:米国巨大IT企業の決算や経済指標に注意!

 今週は、日本時間の26日(火)にマイクロソフト(MSFT)アルファベット(グーグルの親会社:GOOGL)、27日(水)にメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック:FB)、28日(木)にアップル(AAPL)アマゾン・ドット・コム(AMZN)が決算発表します。

 5社あわせて「GAFAM(ガーファム)」と呼ばれる米国巨大IT企業の決算発表時間は、いずれも日本市場が始まる直前の早朝です。

 予想外に悪い決算の場合、日本のハイテク株も巻き添えを食って急落する可能性が高いでしょう。

 実際、2月初旬には、メタ・プラットフォームズの決算が予想を下回り、一夜で時価総額約29兆円が消失。日本市場も急落に見舞われました。

 同社の株価は2021年9月高値からすでに半値以下まで下落しています。

 米国株の上昇を支えてきたGAFAMですが、アルファベット、アマゾン、アップル、マイクロソフトの残り4社にも成長鈍化の兆しが出てくると大変です。

 10年以上、世界最強のパフォーマンスだった米国株も曲がり角を迎えるでしょう。逆に、好決算で不安を一時的に払拭(ふっしょく)する可能性もあります。

 今週発表の米国経済指標では、26日(火)の4月消費者信頼感指数、28日(木)の2022年1-3月期GDP(国内総生産)速報値、29日(金)の3月個人消費支出のPCE価格指数が注目です。

 特に29日(金)のPCE価格指数の結果次第では、40年ぶりの物価高を抑えるために5月だけでなく6月、7月のFOMCでも0.5%、ひょっとしたら0.75%の利上げを行う市場見通しが高まりそうです。

 日本市場は29日(金)以降、5月2日(月)と6日(金)を除いてゴールデンウイークの連休に突入。

 GW中には米国のFOMC、GW明けの5月9日(月)はロシアの対独戦勝記念日があります。

 ロシアの軍高官がウクライナ東部だけでなく、南部の港湾都市オデーサ(オデッサ)への侵攻や隣国モルドバにまで軍事介入する意向を示すなど、戦争の深刻化、長期化がとても心配です。

 あまりにも見通しが悪すぎることもあり、連休前には機関投資家が株の保有ポジションを減らす可能性もあります。

 株安が一段と進むリスクもありえるので十分に注意しましょう。