ドル/円相場は先週、80円レベルを明確に割り込んでしまった。3月17日の安値から4月6日高値までの上げ幅の61.8%レベルを切れたことで、全値押しリスクも浮上している。折しも、日本のFX取引の証拠金規制(8月1日からのレバレッジ規制50倍→25倍)の期日が接近しており、弱いところを突くのが得意なファンド勢はドル/円の売りポジションを増やしている。
ドル/円(日足)
上段:オプションボラティリティ(青)・20日ATR(赤)
下段:フィボナッチのリトレースメント
別に新たな円買い材料が出ている訳ではない。投機筋のドル売り・円買いの狙いは「ストップロス・ハンティング」だ。レバレッジ規制に伴うポジション整理を狙っているのはもちろんだが、円買いの投機筋が期待しているのはデジタルオプションの発動による円高である。
76~72円まで仕組債絡みのオプションの建玉が大量にあるため、相場の材料に関係なく円高が進みやすい。3月16~17日の相場でもデジタルオプションの発動が円高を助長したが、仮に相場が76円を割り込むような事態となれば思わぬ円高もあり得るので注意したい。
ドル/円(日足)
76~72円までデジタルオプションの建玉が並んでいる。円高のトリガーとなる可能性があり注意したい。77円割れは介入の可能性も…。
一方、投機筋が恐れているのは日本の当局の介入である。「3月・9月の決算期以外の日銀介入はたいしたことがない」「77円までは介入してこないだろう」という一部投機筋の読みもあるが、自治体の為替デリバティブ損失拡大が懸念されるなか、円高のスピードが上がれば介入が行われる可能性が高まる。本日も流動性のない時間帯に中東筋の買いが出て、ドル/円が急伸する場面があったが、介入に対して市場が敏感になっていることは確かなようだ。
ドル/円(5分足)突然、円安に…
ドル/円は直近安値78円45銭を下抜けると3月安値76円80~20銭までサポートがない。直近の相場は不気味な小康状態となっているが、ブローカーの話では78円45~40銭レベルには逆指し値の円買い(介入警戒のストップロス注文付き)を置いている投機家が少なからずいるようで、警戒すべきだろう。
豪ドル/円は依然として21日ボリンジャーバンド-2σ近辺の逆バリがワークしている。これは、豪ドル/ドルがレンジながら強含みで推移しているからだ。しかし、7月の中旬以降、相場の連動率は上昇傾向にあり、ドル/円が78円45銭を下抜けてしまうと下値リスクが増大する。ポジション調整やリスク管理(ストップロス注文)を徹底したい。
毎年、7~8月の相場は波乱含みである。短期的な相場動向については、ブログ『日々の泡』を参照されたい。
豪ドル/ドル(日足)
上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド2σ(赤)
豪ドル/円(日足) ドル/円の動きを注視したい
上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド2σ(赤)
ドル/円(日足) オプション市場は警戒を緩めていない。突然動き出すので要注意!
上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
中段:21日ボリンジャーバンド2σ(赤)
下段:オプションボラティリティ(赤)・20日ATR(青)
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