今週の予想

今週は、ウクライナ情勢の緊迫化が高まれば乱高下の可能性も

 先週は、12日(火)に日経平均の日足チャートはマドを開けて2万6,304円まで突っ込み、約1カ月ぶりの安値をつけました。しかし、その後は海外の連休を控えた買い戻しや反発狙いの買いによって週末は2万7,000円台を回復して引けました。

 この間、ドル/円は、約20年ぶりの126円台の円安まで上昇しました。日米金利差拡大や日本の経常収支の悪化を背景に円売りが一段と強まる見方がありますが、円安が事実上、株価下落の足止めとなっています。

 海外の依存度が大きいトヨタ、TDKなどは収益面でもプラスが見込まれ株価は上昇しています。一方で円建て取引が多く円安メリットを受けにくい半導体製造装置関連は上値が重いままでした。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め策は、5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.5%の利上げ、さらに6月会合でも連続決定があると観測されており、来年前半にも政策金利目標の3%に突入すると言われています。株式市場が米金融引き締めを織り込むには時間を要することになります。

 そのような状況の中で、今週以降は、米国で納税申告期限にあたる4月18日を前に現金を確保するための株売りが行われたとし、期日通過でアク抜けするという見方があります。 

 一方では、ウクライナ情勢は緊迫化しており、日経平均は乱高下する展開が想定されます。

 日経平均が、3月25日に2万8,338円の戻り高値をつけましたが、そこから2週間以上調整を続けています。つまり年初の三角保ち合いからの下放れで「陰転」したチャートは、まだ下げ基調にあり、2段下げの懸念をかかえています。

 先週は4月12日(火)の2万6,304円を下値に2万7,200円まで切り返しましたが、割り込んだ75日移動平均線(15日時点2万7,268円)までのアヤ戻しというレベルでポイントとなる52週移動平均線(2万8,324円)には、ほど遠い状況です。

 評価損益は▲12.7%と悪化傾向にあり、早急に2万8,000円を回復しないと3兆円もある信用買い残が重荷となってきます。基本的にリスクを少なくする人は、2万8,000円台を大きく回復するか、あるいは大きく下へ突っ込むのを待って動くという様子見がよいと思われます。

今週の指標:日経平均株価

 先週の予測では、目先の25日線を守って反発できるかどうかを注目としました。下値では2万6,500~2万7,500円のレンジの下限を想定しました。

 結果的には、週始めの米株の下落を受け、日経平均は週始めの2日で約600円の大幅下落となり、12日(火)の▲486円の下落では2万6,304円まで下げて、2万6,334円で引けました。

 しかし、13日(水)には、大きな下落の反動や125円台の円安、時間外の米国株先物の上昇を受け、+508円の2万6,843円と大幅反発しました。

 さらに14日(木)も海外では126円台の円安、米国3指標そろっての大幅高、中国株の上昇を受け、一時2万7,200円の高値をつけ、終値は+328円の2万7,172円でした、週末は一時▲387円の2万6,784円まで下落するものの終値は▲78円の2万7,093円で終わりました。

 今週は、企業決算における新年度の業績見通し、ロシアのウクライナ攻撃の緊迫化が懸念され、2万7,000円をはさんだ乱高下となる可能性があります。2万6,500~2万7,500円のレンジが想定されるところです。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 先週は、金融株を皮切りに決算シーズンがスタートしましたが、急速な金融引き締めが実施されていることで景気減速への警戒感が強まることになります。また、15日が休場ということもあり、持ち高調整が先行する可能性もありました。結局、3万4,000ドル台でのもみあいとなりました。

 週始めの11日(月)は、長期金利が上昇したことで、ハイテク・グロース株が下落し、一時的な原油安もあってエネルギー株も下落し、3指標とも大幅下落となり、NYダウは▲413ドルの3万4,308ドルでした。

 12日(火)は3月消費者物価指数が+8.5%と41年ぶりの高い伸びを受け3指標そろって続落。

 13日(水)は、長期金利の低下でNYダウは+344ドルの3万4,564ドルと大幅反発しました。

 3連休前の14日(木)は、注目の大手金融株の決算が好悪マチマチだったことで、NYダウは▲113ドルの3万4,451ドルと反落して引けました。15日(金)は休場でした。

 今週は、FRBの利上げスタンスは強く、5月に0.5%の利上げはほぼ確定していますが、6月も連続して0.5%と強い観測となっています。

 そのため上値は重いといえますが、今週以降は納税申告期限にあたるため、4月18日(月)を前に現金を確保するために株売りが強まったとされており、18日以降はアク抜け感が出て上昇に転じるとの見方もあります。

 一方でウクライナ問題が緊迫化しており、地政学的リスクとして株が売られる局面も考えられ米株は乱高下するかもしれません。

今週の指標:ドル/円

 FRBの利上げスタンスの強さに変わりなく、来年早い時期にも目標の3%になるとみられています。利上げを織り込むのに、まだ時間がかかり高値圏でもみあいながらドル買い・円売りが進みそうです。

先週の動き

 先週は、週前半は、一時、原油安に加え3月消費者物価指数が強く、長期金利も上昇して125円台半ばの動きとなっていましたが、13日(水)は、3月生産者物価指数が強い動きとなり、為替は一時20年ぶりの126円台となりました。一服したあと、株式市場は15日(金)は休場でしたが、為替は一時126.70円まで上昇し、126.44円で引けました。

先週の結果

先週は、週前半25日移動平均線を切るが、大きなもみあいのあと2万7,000円台回復

 先週の予測では、200日移動平均線(2万8,217円)と52週移動平均線(2万8,324円)にアタマを抑えられての下落ですので、3月25日の2万8,338円が戻り高値となっての調整となっています。

 チャート的には、「2段下げ」に向かう可能性が生じたことになりました。

 4月8日(金)に2万6,764円まで下げ、25日移動平均線を守っての反発で終わったことで、先週は、そのまま切り返すことも期待されましたが、先週から始まった日米の企業決算で現状のロシア・ウクライナ戦争、原油高からのインフレなどの影響がどう出るか注目するところです。

 決算シーズンに入る中での原油高や地政学的リスクは意識され、戻りはあっても全体相場の上値は重くなる可能性は高いとしました。

 25日移動平均線を守って反発するのか、下回って下値模索となるのか様子見とし、レンジを2万6,500~2万7,500円としました。

 結果的には、25日移動平均線を切ったものの、円安、米国株高にサポートされて大きな上下動となりました。

 週始めは、長期金利の上昇を背景にナスダックや半導体関連株が下落したことで、日経平均は11日(月)▲164円、12日(火)▲486円と2日間で600円近く下げ、一時2万6,304円の安値をつけました。

 しかし、13日(水)は、2日間で下げた600円の反動に加え、時間外での米株先物の上昇で、先物主導で+508円の2万6,843円と大幅反発し、引け後の米国で3指標そろって大幅高となったこともあり、14日(木)は、126円台の円安も加わって2万7,200円まで上昇し、+328円の2万7,172円と2日連続の大幅続伸となりました。

 この日は25日移動平均線2万7,036円を上回って引けました。

 しかし、週末の15日(金)は、前日の金融株の決算が好悪マチマチだったことで、3指標が反落し日経平均も朝方は、一時▲387円の2万6,784円まで下げましたが、為替が126円台の円安になると+31円の2万7,203円まで反発しました。前場は短期筋の先物売買で荒い動きとなりましたが、後場は比較的安定しました。

 全般的には半導体などグロース株中心に軟調となり、東証プライム銘柄の70%が下落しました。週末の米国市場は休場。為替のみが動き引け値で、1ドル=126.44円と20年ぶりの円安更新となりました。